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祈りのカタログ・第二十四話「四谷怪談のトラウマ」

 ちょっと怖そうなお話ですみませんが『四谷怪談』もトラウマになりそうな物語だと思ったので、そのことについて少し書きます。まずは思うことですが、芝居などにある東海道四谷怪談の四谷は、本当は甲州街道にあります。しかし、ゴロが良いので東海道なのかと思います。
 あの物語は、実は忠臣蔵とセットになったものです。講談の忠臣蔵を秋から冬にかけて話した後、春から夏にかけては四谷怪談の話をするのです。
 四谷怪談の主人公はお岩さまですが、その夫の田宮伊右衛門は、取り潰された塩冶えんや家の浪人なのでした。
 塩冶家の殿様・塩冶判官は忠臣蔵の赤穂の殿様のことです。昔、映画『忠臣蔵外伝四谷怪談』と言う作品がありましたが、あの中に出て来るのが本来の忠臣蔵だと思うのです。それに忠臣蔵は、播磨の国の陰陽師たちの物語ですので、祈りとか、呪いとか、祟りに満ち溢れた物語なのでした。
 これを思うと、キアヌ・リーブス主演映画『47Ronin』は、案外、的外れではないかもと思います。しかし、お岩さんのことについてはあまり表立って描かれていません。理由は、それらのことを知っていることが前提になっていたからです。
 昔の本の中にはすでに知っていることを、
「くどくどしいので略す」
 と書いていて詳しく描かないことがあります。物語がくどくなることを好まなかったのです。
 以前に東京で借りていたウィークリー・マンションは、なぜか気に入っていました。この場所は駅から遠いにもかかわらず、とても好きでした。ここは東京の佐賀町と言う場所にありました。
「なぜだろう?」
 とも思いましたが、ある日、ふと、気付いたことがありました。

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