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君もきっと会社員になるので伝えておこう【第3章】マスオ、管理部門と絡む②

前回までのあらすじ。

寿司屋の出前機能を持つドローン、その名も「トローン」の独占販売権を獲得した海山商事のエース、フグ田マスオ。販売開始に向けて、社内の管理部門の助けを借りながら忙しい日々を送っていた。

ついにトローンの販売に漕ぎ着けたマスオ。しかしあまりに時代を先取りしすぎたのか、思うように成約が伸びない。

実はトローン事業の開始にあたって、マスオは上司から6ヶ月以内の黒字化を条件とされていた。もし黒字にできなければ、事業は中止。今までの苦労が水の泡になってしまう。

マスオは焦る気持ちを抑え、まずは現時点での損益(どれだけ儲かったのか、あるいは損をしているのか)をしっかり把握すべく、経理部に問い合わせを行った。

経理部とは、会社の収入と支出を逐一記録して、その差としての儲けや損を記録する部署だ。

トローン事業について言えば、トローンの売り上げが収入となり、トローンの仕入額、配送コスト、広告宣伝費、人件費(マスオさんの給料)などが費用となる。収入>費用であれば儲けが出るし(黒字)、逆なら損(赤字)になる。

こうして計算される部署毎の儲け/損を会社全体で集計したものが、会社の「決算」となる。会社の成績表みたいなものだ。

決算は少なくとも毎月あるけれど、普通は1年で一区切りとする。なので1年の終わりの決算(決算期という)が一番大事な決算となる。

経理部の人が一年で一番忙しいのはこの決算期が終わったあと、決算の数字を完成させるまでだ。日本の会社の決算期は4月で始まり、3月で終わるところが多いので、経理部の人の繁忙期は4月に当たる。

ちなみに上場している(=株式が市場という場で売り買いされている)会社、すなわち上場企業の場合は、四半期決算も公表するので、もっと忙しい。

さらに言うと、経理部は会社の儲け/損に基づいて、いくら税金(法人税など)を納めるかを計算する役割もある。これを税務といって、とても大事な役割だ。

さて、経理部からトローン事業の採算を知らされたマスオ。まだ諦めるには早いと自らを鼓舞し、売り込みに出かけていったのであった。

その後、トローン事業は急展開を迎える。

毎晩ため息をついているマスオを心配したサザエが一計を案じ、ワカメのツイッターとカツオのインスタグラムにトローンの動画を投稿させると、トローンが寿司を運ぶちょっとシュールな光景に注目が集まり、話題沸騰。テレビや雑誌から取材の申し込みが海山商事の広報部へと相次いだのであった。

広報部とは会社のことを会社の「中」と「外」に広く知らせる役割を担っている。

「中」の例で言えば、社員に自分の会社やその社員のことをよく理解してもらうために、社内報を発行したりする。「外」で言えば、今回のような取材に対応したり、テレビや新聞などのメディア向けに最新情報を流したり、テレビCMや新聞広告などを通じて、会社やその商品を宣伝したりする。

それから、上場企業では、その会社の株式を持っている人や、これから買いたいと思っている人(投資家)に対して、会社の情報提供を行うIR(Invester Relations)の機能も、 広報部が担っている場合も多い。但し、IRは財務部など別の部署が担当しているケースも多い。

こうした役割を担っているので、広報部は「会社の顔」と言われたりする。

広報部の丁寧な取材対応が実を結び、全国各地の寿司屋から次々にトローンの受注が舞い込んだ。マスオの営業課にはひっきりなしに電話が入り、海外からも問い合わせが殺到したのだ。

6ヶ月目の黒字化も一気に現実的になり、マスオはホッとして息をついた。しかし、そんな安堵のひとときは、ある人物からの一本の電話によって吹き飛ばされてしまったのであった。

次回、第4章最終回に続く!

(写真はドローンであって、トローンとは何ら関係ありません。それから、このストーリーは会社というものを分かりやすく理解してもらうための私の全くの創作です。念のため。)



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