ダメになる会話「特撮ヒーロー」

俳優「監督、お疲れ様です!」

監督「おお、来てくれたか。急な話ですまんな。
   急に特撮番組の主役なんかたのんじゃって、大丈夫だったか?」

俳優「はい!自分は昔から変身ヒーロー大好きです!」

監督「それは良かった。」

俳優「それで監督、ボクまだ正式な台本もらってないんですけど
   今日の撮影大丈夫ですかね?」

監督「今日は変身のシーンを撮るだけだから大丈夫だよ。」

俳優「良かった!楽しみだなあ!『未来刑事ハイブリッター』か。
   古代の超文明と未来科学のハイブリッド戦士って、
   カッコ良さそうですね!」

監督「あ、それ仮タイトルね。正式名決まったから。はいこれ、台本。」

俳優「『粘着星人 ケロリンダー』…… え?あれ?」

監督「じゃあ、さっそく始めるか!」

俳優「ちょっとっ! ちょっとだけ、待ってもらっていいですか?」

監督「どうした?ケロリンダー?」

俳優「待って。その名前で呼ぶのもう少しだけ待って。
   タイトルから刑事要素もハイブリッド要素もなくなっちゃって
   ますけど?」

監督「なんかね、最終的にスポンサーの確認取りにいったら
   もうひとひねり欲しいって言われたらしくて。」

俳優「ひとひねりどころか、ひねり過ぎてねじ切れる勢いなんですが。」

監督「あと、カエルをフィーチャーして欲しいっていうオーダーが
   あったらしい。」

俳優「なんでカエル? 恐竜とか、メカとかならわかりますけど。」

監督「カエルは子供に大人気だからって。ほら『ケロロ軍曹』とか
  『ど根性ガエル』とか。」

俳優「むしろその二つしか思いつかないですけど。」

監督「『けろっこデメタン』とか。」

俳優「知らないです。それいれたって3つしか無いじゃないですか。
   あと"粘着星人"ってのはなんなんですか?」

監督「”未来刑事”だと、有名な”宇宙刑事”とゴッチャにされそうだから
   異星人って設定に変えたらしい。」

俳優「そうなんですか…じゃあ星人ってのはいいとして、粘着のほうは?」

監督「ケロリンダーは体のあちこちがネバネバしていて、それを武器に
   戦うんだ。」

俳優「気持ちわるッ!むしろ怪人っぽいんですけど!?」

監督「もういいか?」

俳優「いいっていうか、受け入れるしか無いっていうか。」

監督「よし、じゃあ撮影はじめるぞ!第一話変身シーン!
   はいヨーイ! スタァっ!」

俳優「『そこまでだナメクジ将軍!行くぞ!ケロリピョコピョコ
   ケロミピョコ!ヘンシンピョコケりょっきょっ…』」

監督「カァーット!言えてないっ!」

俳優「メチャメチャ言いにくい!早口言葉っぽい上に変なタイミングで
   ”ケロ”が割り込んできてスゴく言いにくい!」

監督「がんばれ!変身の掛け声は大事だぞ!もう一回!」

俳優「『行くぞ!ケロリピョコピョコケロミピョコ!ヘンシンピョコケロ
   ピョケロケろんりっ…だめだ!』」

監督「おしい!あとちょっとだ!もう一回!」

俳優「『行くぞ!かえるピョコピョコケロミピョコ…』」

監督「最初っから間違えてるぞ!ケロだぞ!もう一回ケロッ!」

俳優「『行くぞ!ケロリピョコピョコケロみょっ…』痛って!ベロ噛んだ!」

監督「負けるなケロリンダー!もう一回ケロ!」

俳優「ケロケロいわないでっ!
『行くぞ!ケロリピョコピョコケロミピョコ!
 ヘンシンピョコケロピョケロケロ!ケロリーンッチェーンジ!』」

監督「よーしっ!オッケイッ!」

俳優「ああ!やっと言えた!はぁ、疲れた… でも監督、これ子供が
  マネ出来ませんよ?」

監督「何?それはまずいな。じゃあ最後の『ケロリンチェンジ』だけ残して
   あと全部カット!!」

俳優「ケロォッ!?」

-END-

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