見出し画像

「フランク・ロイド・ライト-世界を結ぶ建築」(パナソニック汐留美術館)

 滝と岩棚の上に一軒家を建てた落水荘、ビル内にある樹状の柱が特徴的なジョンソン・ワックス・ビル、連続性の高い渦巻き型がとにかく目立つグッゲンハイム美術館など、アメリカの代表的建築を多数手がけたフランク・ロイド・ライトの回顧展。日本でも帝国ホテル(二代目、現在は一部移築)や自由学園の明日館などを手がけられた方でもあり、また浮世絵の蒐集家でもありました。
 「自然との調和」を意識した建築が特徴で、自然を一方的に支配せず、かといって支配されきることもなく、適度な関係性をもって風景に溶け込んでいる印象です。建物自体は水平・垂直などの20世紀的な幾何学的構造が意識されている一方、ライト自身が好んだ日本文化のあれこれも少なからず影響を与えたようで、それは低層構造や中仕切りの少ない建物内部などにも反映されているように思いました。写真を撮らせても、空間をたっぷり作る撮り方は非常に広重的です。

 建築関連の展覧会ということもあり、建物に関しては設計図や構想図、文字情報といった二次情報が中心ではあったんですが(椅子や内装、ガラス戸などは実物展示)、その「設計図」「構想図」が鑑賞に耐えられるほどハイクオリティな「作品」に仕上がっているなと思います。斜め上から見たアングル(鳥瞰図)には絵としての動きがあり、非常に的確で詳細な建物、周囲の木々の描写は実際の風景を十分に想像させるもの。展示後半にある都市構想などのような、さらに巨大規模の設計となると、ライト自身が持つ「夢」の大きさを感じます。

 展示室もそんなライトに影響されたのか、展示室のパーテーション(中仕切り)も気持ち減らしていたのも印象に残りました。展示室自体がそこまで広いわけじゃなく、その割と情報量が多いので完全に排除というわけにはいかなかったみたいでしたが(排除したパーテーションもせいぜい全体の1/3程度)、展示する内容と展示室のデザインコンセプトが一致している(させようとしている)展覧会は見てて楽しいです。

#japan #museum #japanesemuseum #instaart #art #artexhibition #美術鑑賞 #美術館巡り #美術展巡り #FrankLloydWright #建築 #フランクロイドライト #フランクロイドライト展 #パナソニック汐留美術館

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?