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撮影で録音に悩んだら、本を読め

昔から不思議に思っていたことがありました。

<録音>についてです。

どんなに調べても、誰に聞いても、
「録音はどうすればいいか」という悩みをスパッと解決してくれないんです。

本を読んでも、
ネットで調べても、
人に聞いても、

もやもや感が残ったままで終わる。

最初は、
みんな隠してるんじゃないか、
俺に教えたくないんじゃないか、
と考えていました。

録音には何か、
壮大な秘密が隠されてるんじゃないか。

それこそ、人類が滅ぶくらいの
ぜったいに触れてはいけない
核心のようなものがあるんじゃないか。

でも、
探せば一人くらい、
うっかり口を滑らせる人もいるかもしれない。

または、誰か優しい人が
僕を助けてくれるはずだと。

だから、僕はいろんな人に聞き続けました。

 * * * *

誰も、僕の録音の悩みを解決してくれない。

でも、映画は作り続けてましたから、
とりあえず目の前の撮影をなんとかしなきゃいけない。

だったら、こっそり見つけ出すしかない。
仕方なく、僕はスパイ活動を始めました。

せっせと人の撮影のお手伝いに行き、
その現場で使われてるマイクのメーカーをチェックする。

読み方がわからないことも多く、
でもガン見して字面を覚えて
こっそりノートにメモしたりしてました。

そうやって苦労しても、
メモした機種名を調べるとそれはマイクではなく
ヘッドホンだったりと、笑い話もたくさんあります。

あまりにも効率が悪かったので、
だんだん面倒になってきて、

「ええい、もう買ってしまえ」

となりました。

お金が無駄になるかもしれない。
でも、もういい。

紹介されてたマイクを買ってみる。
ネットでいいと書いてあったマイクを買ってみる。

どうやら同じ用途だけど、
でも、こっちがいいと書いてあったから買ってみる。

無線マイクがいいのか
有線のマイクがいいのかわからない。

だったら、両方買ってみる。


もちろん、お金には限りがありますから、
金額の上限は決めてました。

ただ別の方向の悩みもあります。

「安い機材がなぜダメなのか」もわからない。

「これいいよ」という情報は見つかるものの、
それ以外がなぜダメなのかがわからない。

だったら、安いのも買ってみるしかありません。

今、うちにあるものを
ざっと調べてみたら・・・

※カメラについてくる小さいマイクも含めてます。

オーディオテクニカ
ゼンハイザー
アツデン
ヤマハ
SONY
オリンパス
ROLAND
TASCAM
ZOOM
Saramonic
BLUE
Marantz
RODE
ほかに、ロゴが入ってないものも。

長い年月をかけて買ってきたものたちです。

 * * * *

誰もスッキリ教えてくれない録音。

しかし、自分で機材を買って、
自分の撮影で使い続けていると、

気づけば、僕が人から
「どのマイクがいいですか?」
と聞かれるようになってきました。

いやいや・・と
心の中で苦笑いしながら、
でも僕は、誠心誠意答えようとします。

そこではたと困りました。

「マイクはこれを買ってください」
「これであなたは悩みから解放されます」

なんて、スパッと答えることができなかったからです。


そう。

そのむかし、
誰もスパッと答えてくれなかったのは、

録音が、
スパッと答えることができないから、
だったのです。

僕は10年くらいかけて
ようやくそれを学んだのでした。

しかし、話はここで終わりません。

 * * * *

それから年月は経ち、

書籍もネット上の情報も
あふれかえる時代となりました。

僕はネット上の情報を見て、
時代の変化を感じずにはいられません。

なぜなら、ネット上には、

「マイクはこれがいいよ」
「マイクはこれがオススメ」
「自分はこれを使ってます」

という情報が大量に見つかるからです。

昔、誰も教えてくれなかったことを、
今は、誰も彼もが次々とオススメを発信する。

いいじゃないか。

・・・と、そう思いますか?

一度見てみてほしいのです。

みんなそれぞれ
違うものをススメているんですから。

昔の僕は、
「みんなが答えてくれない」から困った。

しかし、今の初心者は、
「みんなが違うものを薦める」から困る。

結局、解決してねーじゃねーか・・・。


僕は僕なりにある程度、
映像の世界で経験を積んできたつもりです。

だから、少し話したり、
その人の書いたものを読むと、

相手の経験値が、透けて見えてくるんです。

その僕がネット上の情報を見ると、

なぜこの人はこの程度の経験で
「これがいい」などと断言しているのか・・
と首をかしげることもある。

考えられる理由は2つだけです。

理由1:深く考えてない
理由2:無責任である

悪気はないんでしょうけれど、
自分の知識経験が誰にでも有効だと考えてしまう。

今はさらに、スマホアプリも加わり、
情報は複雑さを増しています。

どこかで聞きかじっただけで、
「このアプリでノイズが消せるよ」
みたいなことを、さらっと言う人が現れる。

これ、
こう例えたらどう感じますか?

「この株に投資すればすぐ儲かるよ」
「このシステムを使えば売上が上がるよ」

そう簡単に口にする人をどう思うでしょうか。


「マイクはこれがいいよ」
「このアプリでノイズが消せるよ」
などと軽く口にする人に対する
僕の居心地の悪さを感じていただければと思います。

 * * * *

断言しますが、何も知らないなら、
録音については、書籍で学んだ方がいいです。

経験がない人は、
ネット上の情報を選別することは厳しいから。

録音に関する本は片っ端から目を通す僕が、
3冊の超絶オススメ本を紹介します。

本の中から、
皆さん自身の撮影現場に近い例を見つけ、
そこを集中して読む、という方法がいいでしょう。

※この順番は単に発行年度順です。

【オススメ1】

『ビデオグラファーのための音声収録&整音ハンドブック』
2017年 玄光社

前半の基本原理とか波形とかそういう知識はすっ飛ばし、
途中からの具体的な収録方法を読むといいですね。

撮影現場の収録方法だけでなく、
録った音声からノイズを取り除く方法まで載ってます。

【オススメ2】

『映像制作の現場ですぐに役立つ録音ハンドブック』
桜風 涼 著
2020年 玄光社

プロの技術を、ビデオグラファーやユーチューバーなど
一般の映像制作者にも活かせるようにまとめられています。

いろんな機材の具体的な違いも助かる情報です。

【オススメ3】

『iPhoneでお金をかけずにビジネス動画を作れるようになる本』
オリカワシュウイチ 著
2023年 ペンコム

iPhone専用なのが心苦しいですが、
iPhoneのあらゆる録音の手法について
約20ページにわたってまとまってます。

おそらく、iPhone録音についての情報は全て、
と言っても過言ではないんじゃないかなあ、と思います。


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