見出し画像

占星術と天文学

はじまりは同じ所だったそうですが
今は、随分違う立場にあります。
勿論当然なのですが、
占星術と天文学は、切っても切れない間柄です。
わたしも、国立天文台発表の情報が欠かせませんが
どこからこうなっていったのかなと整理しながら
2023年5月に音声で配信したものを
こちらにもテキストで残しておくことにしました。
良かったらおつきあいください。


音声でもお聞きいただけます

占術と宇宙

さて、わたしは占星術の知識はありますが
天文学となると、
「ここに書いてあることは、占星術と同じことを言っているね…」
と、解ることは時々ありますが、いまいち自信がありません。
知らないことがたくさんあります。

ですから間違うこともあるかもしれませんが
今わたしが知っていることや
思うことをお話したいなと思うのです。

以前にもお話したのですが、ちょっと寄り道、はじめに
わたしが占星術を選んだわけからを聞いてください。

占術には色々なモノがあるなかで
なぜ占星術が好きなのか。

実際の所は、俗にいうチャネリングのようなことも併用しているので
厳密にはちょっと違うかもしれませんが、やっぱり占星術!なのです。
10代のころは、タロットやトランプなどのカードを使って
観てもいましたが、結局、星が一番好き、
それは、いつでもそこにあるからです。

「今そこに、あの星がある」と見える 
あれがこんな風に刺激してくれているのかなあっと思えるからです。
自然が示すものが今そこにあって、それは誰でもが確認できるのです。

大宇宙・マクロコスモスに対して、自然の一部である人間の内側には
小宇宙・マクロコスモスがあり、これが呼応する、その元が目で見える、

「わたしたちも自然の一部だなあ」と実感できて嬉しくなる、
だから選んだ占星術なのです。

古代の空をみた人たち

そして元々は、天文学も占星術も
この星を観測することからはじまっています。
ですからはじめは一緒だったのです。

でもたとえば、多分観測のはじまりの頃の大昔、星空に注目した人は
「蠍座がみえた。じゃあもうすぐ暑くなるんだ」とか
「オリオン座があそこにみえた。じゃあもすぐ寒くなるのかな」とか
そういう発想だったことでしょう。

でも今の時代は、逆ですね。仕組みも解っているから
「夏になりました、もうすぐ蠍座が見ごろですよ」というように
変わっています。

そしてもっといえば
「太陽が昇った、沈んだ」これを1日として、
また「お月さまの形が変わるなぁ」と気づき、その満ち欠けから28日を数え、
今の一ヶ月を観測したことでしょう。
そしてさらにその単位を元にして計算をして、観測を続け、
「この星がまたここにのぼってきたよ」などと、
久しぶりに帰ってきた星を確認しては、
一年という単位を見つけて、暦ができたようです。

マヤ暦

どの星を基準にしたかは、各地で少し違いがあります。
有名なところでは、古代マヤでは金星の周期が基本の暦です。
だから太陽のリズムでも月の暦でもない、独自の文化でもあります。

金星周期と太陽暦を表わす石彫

マヤ人は、金星を戦争、狩り、破壊などを象徴する重要な星として観測しました。この作品はチチェン・イツァの金星の基壇を飾っていた彫刻で、図像には中央メキシコの影響がみられます。584日の金星の周期の5回分が、365日の太陽暦の8年に当たることが示されています。

古代メキシコ展ガイドより

縦の長方形が5、丸が8個で表されています。

ちなみにマヤの数字はこんな感じ。
こちらにまとめましたのでよかったらみてください↓

古代エジプト

そして古代エジプトのこのお話はもっと知られていますが
まず注目されていたのがシリウスと言う星です。

これが明け方の東の空、地平線に現れた時が、新年はじまりだったそうです。

これは今の7月なのですが、毎年この時期にナイル川が氾濫していたそうです。
ただ、砂漠が多い所ですから、これは災害ではなくて、むしろめぐみの氾濫、
作物が育つよいことだったそうです。それがこのシリウス(おおいぬ座)が空に現れた時におきます。

古代の人は、しばらく地面の下にもぐって見えなくなっていたシリウスが
もう一度顔を出した時に、ナイル川が氾濫すると、とらえます。
だからここが一年のはじまり、としたのが古代エジプトの人たちです。

王とアトゥム神のレリーフ

今なら「地球がまわっている」ですけれど
勿論、「星々がまわってくる」という発想です。

これは紀元前3000年のことだそうですが
その頃も、もうすでに1年365日だと観測してしていたそうです。
うるう年の考えにまでは少し時間がかかたそうでが、
それにしても、人の目と計算だけですから凄いことだと思います。

そしてエジプトの神といえば太陽神ラー
ラーは夜になると、地下世界に降りるのだと、そして、西から東へと移動をし、朝になるとまた姿をみせてくれる、という考えられていました。

神殿の柱/プトレマイオス朝時代

そして、当時既に、
天体をいくつかに区切って観測することをしていますから、
ラーがひとつの星の区分=お部屋を通りすぎたら、
ひとつ星が上にのぼってくる
、とも言われたそうです。
分け方はというと、円は360度ですから、それを36にわけました。
太陽を基準に36の部屋それぞれに星をあてがって
グループ分けしていたのだそうです。

これはのちにデカン(Decane)と呼ばれます。
これは、その当時の物と今の物は少し違いますが今も使われています。

以前、わたしの配信で、各星座の特集をしたときに、
ひとつの星座を3分割して占星術上のその傾向を話したことがあります。
それと通ずるものだと思います。

つまり、例えば牡羊座を更に3分割していたわけです。
12星座ができるより前、初めの方が細かく分けていたと言えます。

*各星座の3分割の傾向を記したものは👇のマガジンの中にあります


現在に通じる黄道12星座

さて黄道12星座としていま使われているものは
紀元前6世紀、違う説では紀元前3世紀ともいわれています。
諸説ありですが、古代バビロニアで生まれたようです。

古代バビロニア、なんだかうきうきしてしまう響きです。

現在、例えば「魚座に太陽がある(太陽が魚座にいる時に生まれた)」等と占術で使っているものも、勿論、元々は天体観測のための目印でした。
そしてこれらは神話と結びついていきます。天体の動き、自然のうつりかわり、これらはもう科学がない時代には神秘でしかないですね。

今でも私は、例えば「科学的に地軸が斜めでこうなっていて
太陽側に傾斜しているから北半球はこの時は夏です」

といわれても、何となくそんなものなのか…としか思えないレベル、
単にわたしが理系に弱いだけと言えばそれまでですが、そう言うものだ説明されると「なるほど」と理屈はわかるのですが、なぜそうなっているのか、やっぱり本当の所では理解できないままなのです。

その仕組みを見つけたことはすごいけど、元々、このように動いている星々や自然は人智を超えているものだから、とそんな風に思ってしまうのです。

仕組みが解ったからといってそれを把握したわけではない、
それを創り出したわけではないのだから、それは神秘であり、
畏怖の対象であってほしい
とも思うのです。

理屈を知っているからといって、
人間が支配しているわけではないのです。
でも、多分、きっと、本当に研究している方や学者さんは、
そんな思いも勿論もちながら、ロマンを感じたりもしていらっしゃるかなと思ったりもしていますがが。

自然現象と神話~古事記

ともあれ、昔の人も、神秘と畏怖があり、
それで神話と結びついて行ったのだと思います。
仕組みが解らないことは神の仕事です。

少し話がそれますが例えば日本の古事記などの神話でも
自然の驚異が神話になっているいう説も観られますね。

例えば出雲のスサノオのヤマタノオロチ退治斐伊川の洪水、暴れ川
この川は、近くでみると本当に大きくて、勢いがあって、大蛇(おろち)といわれれば、全くその通りだと感じます。

その他にも、天照大御神が天岩戸に隠れたのは日食、という言う説があるそうです。ただ、日食で世界が暗くなる時間は長くても数時間です。
ですから、もう少し長い時間だったのではないか、そうであれば、日食ではなく、火山の噴火ではなかったか、と唱える方もいらっしゃいます。
噴火によって火山灰がずっと空を覆い、暗くなっていたという説です。

天岩戸伝説は宮崎の天岩戸神社ですから、火山といえば霧島も近いですね。
そして少し南ですが、桜島もあります。こちらは今も活火山ですが、
「江戸時代の安永噴火では7日間夜のように暗かった」
という記録があるそうです。
ですから、古代にも、こんなこんなことがあったのかもしれないと
研究なさっている方もいらっしゃいます。

ともあれ、例えば、このような現象が神話になったという説は
私はとてもロマンがあっていいなあと思うのですよ。

鹿児島県 桜島にはアマテラスではなくツクヨミが祀られる月読(ツキヨミ)神社

ちなみにヒンドゥの月食についての神話を話した回はこちら↓

ギリシャ神話の場合

ついでに、わたしは西洋占星術がメインなので火山つながりで、こちらも記しておきたいのですが、例えばこの火山でいえばイタリアのシチリア州の
ボルカ-ノ島、
英語の火山ボルケーノ(Volcano)の語源となった火山島があります。

ギリシャ神話では、鍛冶の神ヘパイストスの鍛冶工房・作業所がここにあったということになったりして、キュクロープスたちが手伝っていたとされています。

このキュクロープスはウラノスとガイアの間に生まれた、ゼウスたちより前の巨人の神々であり、雷にも関係する神、一族だともいわれていています。
火山が火を噴く、それを鉄を鍛える時の火花とみたという説だそうです。

そしてこちらも以前お話したこともありますがヘパイストスを覚えていらっしゃいますか?ヘラが独りで産んだ子ともいわれている、本来ならオリンポス神に入れられてもよい存在なのに冷遇されていていた神です。

それに怒り心頭だったヘパイストスはヘラに直談判をして
「せめて自分の要求を呑め、アフロディーテと結婚させろ」と要求し結婚をしたけれど、アレスと浮気していた妻アフロディーテを得意の仕掛けを施して、ベッドを創り、そこで捉えて、神々にさらしたあの旦那さんです。

詳細はこちらに

自然現象から、ちょっと神話の方よりになってしまいましたが、ともあれ、不思議なサイクル、乱れることなく動く一定の星、時間、それにより暦と言う物ができる、この秩序がそのものも不思議で、脅威で、畏怖の対象でもあり、ありがたいものでもあり、きっと、現代以上に神秘的だったのは想像に難くないことだと思います。

そして神々は天空にいる、という神話は皆さんよくご存知ですね。
だから空で起きていること(天空の星の動き)が神事となったのだろうとも思います。

だから星に神様がついて、守護神とかできて星がうごいた、神様がうごいた
それはどんなご神託なんだろう
、何てことも考えたかもしれません。
そして神の御意志、こちらが占星術に繋がったのだと思います。

でも一方、それは今も一緒ですが、どうしてそんな風に動くのだろう?
どんな仕組み?と観測して研究していく人たちがいて、こちらが天文学となったのだろうと思います。

季節を知り、農耕を始めたころには種を植える時期をしる、船の旅や移動をする時に、星に動き目印にする、生活の全てに関わる大切なものとして
星の運行を把握してくれて、皆に教えてくれたのでしょう。

そしてその際に、先に記したように黄道12星座をベースにして動く星を観察していったわけです。見上げる空には星の図があると解りやすいから、今の形の星座を描き出しました。

ちなみに、プトレマイオスが認定した最初の星座は黄道12星座ふくめて48星座あったそうです。けれど今は88星座となっています。

天文学の星座と占星術の星座

ただ、占星術でいう所の「○○座」と言う星座と、実際の天空の星座の場が、今現在は、ずれています。

バビロニア時代に黄道12星座が作られたわけですが、この黄道12星座の分け方は、春分点を起点にして、太陽が描く円の軌道を30度ずつ分け12等分し、太陽が通る道=黄道の12星座と設定されました。
これがゾディアックです。

でも実際の天空の星座の並びは、当たり前ですが、全部均一の同じ大き(長さ)ではありません。ですから実際の星座と12宮とはずれが出るのです。

更に実際の天空の話になりますが、当時牡羊座にあった春分点が、今は魚座に動いていいます。これは歳差運動というそうです。
歳差により春分点は1年で約50″ずつ前進、約72年で1°、約2150年で30°ずれることになります。

ですから、例えば、今も牡羊座の生まれと呼ばれるのは、春分から4月20日くらいまでの人ですが、実際の空をみれば、この時期は、魚座の時=魚座生まれですと言う方が正しいということになります。この時期は、太陽が動いている背後で、一緒に回っているのは魚座ということになります。

正直なところ、この点では、例えば太陽だけを見る太陽星座別の占術などは、今の牡羊座生まれの人は魚座生まれになるのだから、その傾向も違うということにはならないのかしらと、思ったりしてます。

それへの考えは観る人それぞれでしょうが、ともあれ、区別はして起きたいというのは本音です。ですから例えば「今日の満月は天秤座でおきます」などと占術の方で申し上げても実際はずれいていますから、本来はその区別のために天秤座と言わずに天秤宮と呼ぶのが正しいということを、今一度添えておきます。

ただこの宮の呼び方がなかなか浸透していないので、通りがよいように
「何座」といってしまいますが、再度ここに呼び方もしるしておきます。

牡羊座=白羊宮(はきようきゅう) 牡牛座=金牛宮(きんぎゅうきゅう)
双子座=双子宮(そうしきゅう) 蟹座=巨蟹宮(きょかいきゅう) 
獅子座=獅子宮(ししきゅう) 乙女座=処女宮(しょじょきゅう) 
天秤座=天秤宮(てんびんきゅう) 蠍座=天蝎宮(てんかつきゅう)
射手座=人馬宮(じんばきゅう) 山羊座=磨羯宮(まかつきゅう)
水瓶座=宝瓶宮(ほうへいきゅう) 魚座=双魚宮(そうぎょきゅう)

ということで、ちょっと既に長くなりましたが、先日からちょっとお話したかった占星術のはじまり天文学と関係でした。最後までお読みいただきありがとうございました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?