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中国の科学技術省改革(VOA記事)

写真出展:Peggy und Marco Lachmann-AnkeによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/peggy_marco-1553824/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=1019852

 2023年3月16日にVOAは、中国の科学技術省改革に関する記事を発表した。内容は、科学技術省の組織再編、中国共産党と政府機関との分掌改革を紹介し、その影響について概観するものである。中国の科学技術政策は失敗が多いが、一方で5Gのような分野で大きな成功を収めてもいる。今後の中国の科学技術政策の方向性を探る参考として、本記事の概要を紹介させていただく。

↓リンク先(China Reorganizing Science and Tech Ministry for Self-Sufficiency)
https://www.voanews.com/a/china-reorganizing-science-and-tech-ministry-for-self-sufficiency/7007587.html

1.本記事の内容について
 ・3月6日の中国全人代で、習近平国家主席は「アメリカをはじめとした西側諸国が、中国を封じ込めようとしており、これは前代未聞の厳しい状況である。」と発言した。この意向を受け、科学技術の自主独立を確立するため、科学技術省の改革についても合わせて発表された。
 ・2020年10月、中国は2035年までに科学技術自主独立を達成するという目標を掲げ、政策を推進してきており、今回の改革もこの一環であると見られている。今回の計画では、科学技術省をより専門的に改組し、特定の科学技術研究の事業から撤退させ、ハイテク産業政策を他省庁や他の委員会に分散させるとしている。その代わり、科学技術省は政府基金の活用についてより強い権限が与えられることとなった。その他、中国共産党主導による新しい中央科学技術委員会が創設され、科学技術省支援の下、科学技術政策を推進することとなった。
 ・今回の改革について、有識者は様々な意見を述べている。ある識者は、中国が海外に依存しているチョークポイント技術の基礎研究に資金を投入することにより、チョークポイントを克服しようとしていると述べている。この典型例として、中国は半導体産業に、2014年から2030年までに1500億ドルを投入することを計画している。
 ・ただ現状として、中国は苦境に立たされている。ファーウェイやSMICはアメリカの制裁により先般半導体を開発できておらず、YMTCも政府の支援を受けているにも関わらず、生産力を増強できていない。
 ・バイデン政権は、中国封じ込め政策を推進してきている。3月3日のウォールストリートジャーナルの記事によると、アメリカが最先端を行く技術の中国競合企業に対する投資を禁じることを予定していると報じられた。またこの動きに歩調を合わせ、オランダ政府は中国への最先端半導体や半導体生産技術を禁輸することとした。
 ・中国企業の成功は、西側諸国の最先端技術を取り入れることにより達成されている。アメリカの技術禁輸措置は効果的であるが、アメリカが最先端を維持している分野に限られる。中国は多くの技術分野で最先端を維持しており、今回の製作の成否は中国共産党の取り組み次第である。

2.本記事読後の感想
  中国は政府よりも党に科学技術を担わせたいようである。最も、中国は党の持ち物であり、政府も人民も党の風下に置かれているわけであり、自由にコントロールしたいと思うのは当然であろう。党が科学技術を主導するとなると、より明確に軍民両用の機微技術を発展させる方向で政策がすすめられるだろう。同時に、党のような統制が取りにくい組織となると、不正や腐敗もはびこり、却って成功が遠のく可能性もある。
  おそらく保守系論者は、こういった取り組みが無駄であると分析し、保守系の人々を安心させる、ないしは満足させるかもしれない。確かに、中国の失敗事例は枚挙にいとまがなく、一見うまくいっていないように見える。しかしながら、粗製乱造の中から何か一つでも当たりが出ればそれでいいというのであれば、失敗は全く問題にならないのである。こういった情報に安心して、中国の試みを軽視してはならない。
  中国のことわざで、「たくさん仕事をすると、たくさん失敗する。」というものがある。日本人にはあまり理解されないことかもしれないが、科学技術の発展には多くの試みが必要であり、こういった寛容の精神を持つことが重要である。失敗に不寛容な日本が科学技術の分野で凋落しているのを見るにつけ、失敗の大切さが良く分かるというものである。
  ただ、日本の岸田政権には全く期待できないのも確かであり、統一地方選で敗退し、5月のサミットを持って勇退してもらいたいものだ。ただその後出てくる政権について、無条件に支持することがあってはならない。岸田政権は救いようがないが、後継者が優れているとは限らない。科学技術政策が主たる政策の柱となるよう、厳しい世論を突き付けていくべきである。

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