素材づくりから始まるデザインが持つ強み「マテリアルとの向き合い、ゲスト|狩野佑真」を終えて

SHIBORI HAPTIC TEXTILE展、会期|2018年3月4日[日]-10日[土]、会場|セコリ荘 で行われたギャラリートークのtwitter実況まとめ
Togetter|https://t.co/dIwj3K58sF?amp=1

2018年3月4日[日]、月島・セコリ荘で開催されるSHIBORI HAPTIC TEXTILE展に合わせて、ギャラリートーク「マテリアルとの向き合い方」を行なった。サビやネジといったマテリアルから数々のプロダクトを発表するデザイナーの狩野佑真さん[studio yumakano]をお招きし、彼のプレゼンテーションを踏まえつつ、出展者らと「ハプティックなテキスタイルとの向き合い方」を議論したことで気がついたことを記録する。

Rust Harvest(2017)
引用|studio yumakano, http://yumakano.com/projects/rust-harvest/

狩野さんのプレゼンで非常に興味深かったことは、造船場の一室に事務所を構える彼だからこそ身近な存在であるサビを素材〈マテリアル〉として見出した着眼点もさることながら、それを加工する中でアクリルの厚みや断面の中に美しさを見出して精度を高めていったことだろう。

約2年のアプローチの中で、当初はオブジェクトでしかなかったサビを封じ込めたアクリルの板が、厚みや大きさを伴うことで家具のマテリアル足り得る表現へと進化していった。自ら海水を汲んだり、土に鉄板を埋めたりしながら美しいサビのパターンを検討しつつ、製品や家具として成立しうるサイズや寸法の調整を図っていく。こうした素材と製品の間を何度も往復する中で、マテリアルとプロダクトの精度が段々と高まっていったと話す。最新の家具は2018年のミラノサローネのサテリテに出すそうなので、参加者の方にはぜひ実物を見てもらいたい。

ウールの縮絨加工と絞り染めを施すことで、3種類の触覚の違いを表現したキッズ用の帽子を制作。
Designer|村口実梨[まり木綿]

太古から身につけていたテキスタイルのひとつである麻を選び、染色した生地に塩縮加工を施した。
Designer|伊藤木綿[まり木綿]

翻って、テキスタイルの展示を見つめなおすと、10ヶ月程度の制作期間の中で出展者らが見出した「触覚的なテキスタイル」の可能性はもう少し言語化できる余地を残しているように思う。(それは僕の仕事でもあるのですが。)メタプロダクトであるテキスタイルだからこそ、想像を超えるプロダクトへの応用可能性を示していけるはずだ。

嵐絞りの技術を応用し、シワの形状記憶加工と染色を2度を行った本革を用いたスニーカーの試作。
Designer|得能慎司[有限会社 絞染色久野染工場]

今回の企画で出展者には、触覚についてそれぞれで調べてもらうところからスタートし、小さな素材を用いた加工実験、マテリアルあるいはプロダクトの試作にまで落とし込んでもらうようにファシリテーションをしてきた。今回は言及があまりできなかったそれぞれの素材が持つ機能性や生産性など、短い制作期間でそれぞれが感じた課題と可能性を引き続き考えてもらうことになるだろう。

自然から見出した幾何学な形態をテキスタイルに描写することを試みたおどろおどろしい見た目から想像する柔らかさや硬さのギャップがおもしろい。
Designer|泉水綾乃(テキスタイルデザイナー)

狩野さんとのトークでは、マテリアルを作ることから始まるデザインが持つ強度について改めて認識を深めることになった。最終日の3月10日に行われる「ハプティックの行方」では、認知的なアプローチでコミュケーションデザインなどを試みる和田夏実さんとともに「触覚に訴えかけるテキスタイルの可能性」について議論をしていきたいと思う。ぜひこちらもお越しいただきたい。


ハプティックのゆくえ
ゲスト|和田夏実 Natsumi Wada

手話×テクノロジー×デザインによる「Visual Creole」(ビジュアルクリオール)などの開発など、異なる知覚体系の人々とのコミュニケーションを研究する和田夏実さんをゲストに迎え、「ハプティックのゆくえ」と題した座談会をおこないます。
日 時|2018年3月10日[土]13:30-15:00
ゲスト|和田夏実[慶應義塾大学大学院]
備 考|申込不要、会場の都合により、来場者多数の場合は、入場を制限することもございます。予めご了承下さい。

[ゲスト略歴]1993年生まれ。手話を第一言語として育ち,大学進学時にあらためて手で表現することの可能性に惹かれる・現在は慶應義塾大学大学院で視覚身体言語の研究を行ないながら、さまざまな身体性をもつ方々と協働して、それぞれの感覚を共に模索するプロジェクトを進めている。2016年度未踏IT人材発掘・育成事業「スーパークリエータ」認定。

展示概要

SHIBORI HAPTIC TEXTILE展

会 期|2018年3月4日[日]ー10日[土]
会 場|セコリ荘(都営大江戸線・東京メトロ有楽町線 月島駅 10番出口より徒歩3分)
マップ|Google Mapを開く
時 間|11:30ー20:00(5日[月]は15時閉場、10日[日]は16時閉場となります。)
入場料|無料・事前予約不要
*会場の都合により、来場者多数の場合は、入場を制限することもございます。予めご了承下さい。
*ご来場の際は公共交通機関をご利用ください。

企 画|浅野 翔(デザインリサーチャー)
協 力|有限会社絞染色 久野染工場、まり木綿

https://shiborihaptictextile.com
https://www.instagram.com/shiborihaptictextile/

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素材づくりから始まるデザインが持つ強み「マテリアルとの向き合い、ゲスト|狩野佑真」を終えて

Kakeru Asano

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Kakeru Asano

浅野 翔〈アサノカケル〉 名古屋と京都の2拠点で活動するフリーランス・デザインリサーチャー/サービスデザイナー。「デザインリサーチによる社会包摂の実現」を理念に掲げ、新規事業創出、ブランディングなど一貫したデザイン戦略に携わる。 http://kakeruasano.com

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