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11/06 Battles Japan Tour 2019 & 平沢進+会人 戦法STS @名古屋クラブクアトロ

10月のはじめ頃だったか、ツイッターのフォロワーさんにこんな情報を教えてもらった。

それによると、ワープレコード所属のエクスペリメンタル・ロックバンド、Battlesの日本ツアーのオープニングアクトとして平沢進が出演するという事だった。

今年(2019年)のフジロック出演が大きな話題を呼んだこともあってか、東京公演はヒラサワ出演決定のニュースが発表された直後にSOLD OUTしたようだ。

しかし名古屋と大阪は若干余裕があったようで、イープラスの発券状況は「○(余裕あり)」だった。

Battlesは(正直な話)よく知らないバンドだが、ヒラサワが「大好きなバンド」と言うくらいだから行って後悔する様なものではないだろう。そして何より名古屋で(前座とはいえ)ヒラサワが観れる

という事で、その場(全く関係ないがディズニーシーの行列中だった)でチケットをポチっとやってしまった。早い話がヒラサワに釣られたのである。

P-MODELやソロ初期の頃はクアトロとかダイアモンドホールにちょくちょく来ていたみたいだけど、自分がヒラサワを知ったのは地方ツアーなんてとっくにやめてしまった後で、ましてや始めて観たのも第九曼荼羅の大阪公演という新参ぶりのため、まさか名古屋で観れる機会に恵まれるとは思わなかった。

ちなみに見た感じBattlesファンと平沢ファンは半々くらいという感じだったけど、さすがにフロア最前かじりつきや後方の段でゆっくり観ている人はBattlesファンが殆どのようだった。

平沢進+会人

ヒラサワのライブは毎回SE(出囃子)からのつなぎが凝っているので1曲目にどんな曲を持ってくるかが楽しみの一つだが、今回のOPは「死のない男」だった。フジロックからの流れで「Town-0 Phase-5」あたりかな・・・と雑に予想していたが、正直こんな初期の曲を持ってくるとは思わなかったので驚いた。やっぱりBattlesとの対バンを意識してビートの効いた曲を持って来たんだろうか。

しかし・・・近い。

フロア真ん中少し前方だったが、それでも3、4m向こうに会人とヒラサワが居る。レーザーハープの形状までばっちりである。

そもそもクアトロ系列自体そんなに広いハコではないのだが、名古屋のクアトロはその中でも特に狭い。渋谷クアトロがキャパ750人なのに対してわずか550人ほどである。

回=回のZeppなんば公演で最前陣取った時も近いなーとは思ったけど、次元の違う近さだ。戸川純+Vampilliaやパスピエも同じ名古屋クアトロで観ているので近さには慣れているつもりだったが、ちょっと面食らった。

その後はフジロックで披露された「ジャングルベッド1.5」、近年の定番ナンバー「アディオス」。何度も言うがこんな近くでヒラサワが「アディオス」を歌っているというのが非現実的すぎる。

あと、今回はサポートドラムを迎えてのバンド編成(これもBattlesとの対バンや規模の小さいハコを意識した構成だろう)だったので、ヒラサワのライブにあるまじき「バンド感」マシマシの演奏だった。今回参加していたユージ・レルレ・カワグチ氏は今までP-MODELや平沢ソロに参加したドラマーの誰とも違うスタイルのプレイヤーで、平沢ソロやP-MODELにはあまりない三連符のフィルや裏打ちのスネアが出てきたときは新鮮だった。

続いて「仕事場はタブー」が演奏されたのは本当にビックリした。ライブ回=回では人気がありながらも封印していた曲が多数登場して驚かされたが、最近は昔の曲も場合によっては引っ張り出す方針なのだろうか。イントロのギターの運指がよく見えたのは狭いハコならではの楽しみだ。


そして最後は「フル・ヘッ・ヘッ・ヘ」で締め。この曲の手拍子、やってみたかったのでとても嬉しい。「ありがとう」の一言すらなくサッと引っ込むヒラサワ。

転換中、Battlesの機材が運び込まれてくるとサウンドチェックでイアン・ウィリアム氏登場。機材の確認がてらオーディエンスに愛想を振りまく。いよいよ本編であるBattlesのライブだ。

Battles

「Fort Greene Park」で幕を開けたBattlesのライブ。一応予習として音源(新譜の「Juice B Crypts」と過去のアルバム2枚程度)は聴いてきていたが、まずテーマを奏でる音がギターだとは思わなかったのでかなり面食らった。ヒラサワも大概変なギターを弾く人だが、イアンのギターもまた別のベクトルで変態だ。

そしてジョン・ステイナーがビール片手にドラムの後ろに座って一発「ドン!」

これがまた強烈な音で驚いた。もちろん音源やライブの動画では聴いていたが、生音の迫力は格が違う!バスドラを踏む音の一つ一つが身を貫かんとする勢いで飛んでくる。

音源でもものすごい力でドラムをしばき回しているのは想像できていたが、やはり音源は音源、ライブほどのダイナミクスが封じ込められているとは言い難いし、あまりにタイトな演奏なのも相まって「これループなんじゃないの?」と見くびっていた部分はある。

しかし実際ライブで体感してみて、スタジオ盤そのままのどタイトなリズムが10倍くらいの圧を持って飛び込んでくる(しかもそれを寸分の狂いもなく1曲の間維持している)のは圧巻の一言であった。少ないながらも今まで観たライブの中で、生の方が絶対に良いと断言できるミュージシャンはいくつか居る(Queenのボーカルに起用されたアダム・ランバートとか、再結成ツアーで観たナンバーガールとか)が、Battlesに関してはハッキリ言ってスタジオ盤は楽曲の記録としての役割しか持っておらず「ライブで観ないと意味がない」クラスであるように思った。

元々タイトなスネアを力いっぱい鳴らすタイプのドラマーが好き(高橋幸宏しかり、スチュワート・コープランドしかり)なので、この瞬間を境にジョン・ステイナーは自分のお気に入りドラマーの一人となった。

Battlesは一応エクスペリメンタルやポストロックというジャンル分けにはなっているものの、ジョンの叩くビートとイアンが繰り出すミニマルなリフに会場は踊らされっぱなしで、ほとんどファンクやアシッドテクノ状態と言うのが正直な印象。新曲の「Titanium 2 step」や代表曲「Atlas」の演奏中などフロア前方は半狂乱状態だった。

この曲、音源で聴いた時から薄々感じてはいたが、リズムが何と言うか阿波踊りっぽいので日本人の感性にも合っているんだと思う。


あんまり関係ないけど、ライブ中唯一のMCの内容が

シャチホコーーー!!!(byイアン)」

だったのはさすがに笑った。(気に入ったのかその後もぶつぶつ「Shachihoko...」とつぶやいていた)

ちなみにイアンに「シャチホコ」を教えたのはどうやらこの人だった模様。

記事の初めに記した通り最初はヒラサワに釣られて観に行ったライブだったが、当然というべきか2組ともとても良いライブで満足度は非常に高かった。特にBattlesは音源や動画だけでは絶対に魅力が分からなかっただろうから、生音が聞こえるほどの狭いハコで観られたのは相当にラッキーだったと思う。もちろん最初のお目当てだったヒラサワのライブも短いながらレア曲目白押しで大満足、来年2月のソロライブが一層楽しみになった。

ひとつ心残りなのは、終演後にBattlesの二人が物販に立って来場者にサインをしたり一緒に写真を撮ったりしていたのだが、ロビーの混雑と電車の時間を気にして物販に寄れなかったことくらいか・・・。

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