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『ストーカーとの700日戦争』読書感想。

内澤旬子さんのリアルなストーカー体験記。
警察への届出から弁護士とのやり取りや裁判などが時系列で細かく記述されている。
めんどくさい書類や手続きの話が多いけれど、それを素直な感想交えて面白おかしく書いてくれているので、とても読みやすい。
書類などの面倒なやり取りが何重にもある上、被害を受けた側の方が逆恨みによる再被害を防止するために引っ越しを余儀なくされるなんて、、しかも自費で。
割に合わない。泣きっ面に蜂。
初めて知ることが多かったので、衝撃を受けた。
作者の内澤旬子さんはある程度収入のある方なので、まだ対処できたのだろうけれど、例えば収入の芳しくない女性がストーカー被害に合い、同じような流れになり、且つ親戚など頼れる人たちもいない場合は、引っ越しや弁護士の費用を立て替えるために借金し、身を持ち崩して風俗へ‥なんてこともありうるのでは。。
弱者は泣き寝入りするしかないなんて惨すぎる。

お金もかかるし、精神的にもやられるし、普通の精神状態ではいられないような状況で、失敗を繰り返しながらも試行錯誤し、問題解決に注力した内澤旬子さん。
彼女が辿り着いた答えが”ストーカーの心をケアする”ということ。
ストーカーをしてしまう人の思考癖はある種の精神疾患と類似するもので、実際に認知行動療法などで改善する場合も多々あるらしい。
「大変だ!」「由々しき事態だ!」と騒ぎ立てるメディアは多いけれど、二次被害を防ぐために根本的な改善策を模索し提示してくれたものは今までなかった。
しかも体験に基づいているものなので信頼もできる。
ストーカーにあったときはないけれど、あった時のノウハウ本として、そしてそうなったときの心の支えにもなるだろう、人に寄り添う一冊だった。

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