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2050年みんなの未来の描き方 Ⅱ-1

こんにちは。貸本屋モトです。未来の描き方パート2です。第一回目は、思考法を整理しました。
過去の記事は下のリンクから。

具体的に未来を考える方法論に入る前にとても参考になった書籍があるので紹介したいと思います。

未来を予見する「5つの法則」

こちらの書籍は2008年に発売された書籍ですが、15年たった今読んでも全く色褪せていない、むしろ納得して感動してしまうような内容。

田坂広志さんの書籍は初めて読みましたが、読みやすい書籍であっという間に読めてしまいます。
この書籍では、未来を予見する法則を弁証法をベースに展開されています。
弁証法といってもピンとこない方も多いと思いますが、簡単にいうと「対立する物事から新しい見識を見いだす」方法です。弁証法についてのご参考。

5つの法則を説明する前に、私が書籍を読んだ時にまとめているマインドマップのノートを掲載したいと思います。
マインドマップは、慣れない人には見にくいと思うので、どのように読み解けば良いか今回の「未来の予見の法則」の書籍ノートを例に解説しようと思います。

マインドマップでノートに残す

別立てで書いても良いくらいかもしれませんが、日頃マインドマップでノートにメモしています。私がマインドマップでノートを書き始めたのは、たまたま古本でお値打ちに販売しているのを発見したのがきっかけでした。書き始めてみると、なるほど理にかなっていて書くのが楽しく、ノートを見返すことも多くなりました。

マインドマップとは

マインドマップは、あるキーワードから次のキーワードを連想し、それが放射状に広がっていく脳の発想の仕方に由来したノートの描き方です。
本来脳は、箇条書きでは発想していないということです。箇条書きのテキスト情報から、絵のような視覚的な情報に変わるのもノートを見直す楽しさに繋がっているかもしれません。
マインドマップは、脳の発想の仕方で自身のアイディアを膨らませる時に使うことも出来ますし、講義や書籍の内容をワードを関連付けながらメモをとって、後から自分の考えを付け足すなど、成長するノートを作ることも出来ます。

実際に観てもらった方が早いと思うので、今回の書籍の内容をメモにしたのが下の画像です。
だいたい、1冊を見開き1ページにまとめています。
読み方を後ほど示します。

「未来を予見する5つの法則」貸本屋モトのノート

マインドマップの読み方、書き方

さて、マインドマップの書き方ですが、書籍を参考に次のようなルールで書いています。
基本ルールは、中央に題名や日付など、人それぞれと思いますが、私の場合は、10時の方向から時計回りに1周周るように書き進めています。
1周して書ききれなかった場合は、⑨のように余白に最後に書き込んでしまうこともあります。
私の場合、中央の題名の枠からのばした線(下図では番号)のくくりで色分けをしています。題名枠から線をのばし、線の上にキーワードを記載し、その外側に線とワードを付け足しながら書き込んでいきます。

「未来を予見する5つの法則」貸本屋モトのノート読み方

読み方を踏まえて、ノートを見ながら、「未来の予見の5つの法則」のエッセンスを書いていきます。
ノートの写真と解説を照らしてみてもらってもいいと思います。
では、本の中身を紹介したいと思います。

「未来を予見する5つの法則」貸本屋モトのノート

①弁証法

改めてですが、本書は弁証法を基本に記載されています。
未来は不連続で非線形で加速度的な変化があると。
そのため、予測は困難だが法則を知れば予見することは可能だといいます。
その法則として述べられているのが弁証法です。

ヘーゲルの弁証法はよく知られていますが、
ソクラテスの対話も
マルクス弁証法的唯物論も
サルトルの実存主義も
般若心教の「色即是空。空即是色。」も
道教の「陰極まれば陽。陽極まれば陰」も
禅の矛盾との対峙も
同様のことを示していて、
テーゼ(正)とアンチテーゼ(反)、意見とその反対意見から、言い換えると正と反からジンテーゼ(合)が生み出されること、アウフヘーベン(止揚)によって、より高次なものに昇華していくプロセスは普遍であろうということです。止揚については第五法則で改めて説明が出てきます。

②第一法則「螺旋的プロセス」

進化とは何か?
進化とは古いものが新たな価値を伴って復活してくるプロセスだといいます。古いものが消えてゆかず新しいものと共存、共生していくというのもポイントです。紙の本と電子書籍のように新しいものが古いものを完全に淘汰するわけでなく、両方が残ると言います。つまり、進化とは多様化のプロセスであると説きます。

次に、螺旋的プロセスについて説明していきます。
螺旋階段の手すりの手元だけを見ていると、ある曲率で延々と進んでいるように感じるでしょう。また、螺旋階段を進む様子を上から見ると同じ場所をグルグルと回っているようにも見えます。しかし実際には階段を上っていて、進んだ先は同じ場所に戻ったようで一段高いところに進んでいる。これを螺旋的プロセスと呼んでいます。
いくつか例も示されていましたが、一つだけ紹介します。
情報伝達の方法について。昔は、手紙が主要なコミュニケーションでしたが、電話の出現で主流が変わったといいます。しかし、Eメールが出現したことで手紙と同じように、再び文章でメッセージを書いて届けるコミュニケーション文化が復活したといいます。これは単なる復活ではなく、新たな価値を伴った螺旋的発展であると。

ここからは、私の付け足しですが、最近はコロナもあってZoom等のWeb会議が急速に進みました。これは、電話のコミュニケーションに近い、音声を使ったコミュニケーションの復活とも言えると思います。さらに音声だけでなく顔を見ながらコミュニケーションがとれて、資料も投影できる。まさに新たな価値を伴った螺旋的発展と言えるのではないでしょうか。
今後は、よりリアルに近いコミュニケーション手段が実現し、メタバースでのコミュニケーションも進むと思われますが、それと同時にリアルの価値が見直される時代が来るとも思われます。

近頃NTTが発表した、在宅を基本勤務スタイルとし、出社を出張扱いにするという新しい働き方がニュースになっていましたが、一方でテスラのCEOイーロン・マスクは、「遠隔勤務の希望者は「最低でも」週40時間オフィス勤務する必要があるとし、「さもなければテスラを退社するように」と言い放った。」とのニュースも出ていて、勤務の仕方が揺れ動いているようにも見えます。そんな中、イーロン・マスクの発言は見方によってはリアルの価値が重視される先を見ているようにも感じます。

少し脱線しました。本題に戻ると、
螺旋的プロセスは、かけ登る時代に突入していると言っています。
過去7年の変化が1年で起こるドッグイヤー、さらに過去18年の変化が1年で起こるマウスイヤーになっていくと。昔は、螺旋プロセス一周に時間がかかっていたので一生の内に、何周も体験することがなかったのに対して、これからの人たちは螺旋的プロセスを一生の内に何度も体験する時代に入ると。
そのため、ビジョンや政策の陳腐化も早いともいっています。

進化するときには、重要なものから合理化、効率化が進み、その次に重要度の低い機能が復活する現象が起こるといいます。
例えば、チェーン展開の進んだコンビニの先には、個店主義や地域密着の差別化が進むだろうといっています。

③予見のプロセス

予見のプロセスは、以下のように示されていました。
1.何が復活してくるか を知るために
2.何が消えていったか を見にいく
3.合理的、効率的でなかったもの を知りその段階での課題を調べる
4. 最近の技術、制度で復活できないか? 考えてみる
これによって、予見が可能になるといいます。

④第二法則 現在の「動き」は必ず将来「反転」する

第二法則は、反転の法則です。螺旋階段で現在の動きを否定しその先で反転が起こり、くるっと一周して一段高い位置にいる=否定の否定による発展が起こるといいます。
価格競争は、ある段階で必ず付加価値競争に反転するといいます。
例えば、オンライントレーディングでネット証券会社が急増し価格競争を行なったが、ある時点で、オンライン以前の対面サービスで行なっていたような付加価値競争に反転したといいます。
「ハイテク」を追求したのちに人間の優しさを大切にする「ハイタッチ」に向かうと言っています。

ネット革命の本質は、「企業中心」から「顧客中心」に進化することだとAmazonを引き合いに出して螺旋プロセスで説明していました。
どういうことか、少し詳しく見てみます。
ネット革命が起こり、中間業者は死に絶えると言われていました。つまり、生産者と顧客がネットで直接繋がって、直接販売が増え中間業者が淘汰されていくと。実際そうした淘汰は起こりましたが、その後にAmazonのような新たな中間業者が復活してきたといいます。
ここで変化があったのは、従来の中間業者は企業を向いた販売代理を行う中間業者であったのが、新しい中間業者は顧客を見て購買代理を行う中間業者になったことです。
このような例をみて次の主戦場がどこにいくか予見できれば先回りの戦略を取ることができるといいます。

⑤第三法則 「量」が一定水準を超えると、「質」が劇的に変化する

「量」が一定水準を超えると、「質」が劇的に変化する身近な例を。
水を温めると温度という量が増大し、100度を超えると沸騰し水蒸気に変わります。つまり「液体」から「気体」に「質」が変化します。
それと同じことが社会や市場でも起こるといいます。
「シェア」が一定水準を超えると「事実上の標準」ディファクトスタンダードとなり質が変わるといいます。
中間業者の例で説明します。
顧客を向いた中間業者が過去出てこなかったのは大きな「コストバリア」があったからだといいます。インターネットの出現により、企業が顧客に情報を届ける「情報伝達コスト」を従来の「千分の一」に下げたため、
「情報伝達コスト」の劇的低下という「量」の変化が
「新しい中間業者への進化」という「質」の変化をもたらしたといいます。
インターネットのブロードバンドが与える大きな変化は、「人々の意識」を変えることにあるといいます。顧客中心市場に変化させたこともその一例です。
SNSなどユーザー数が一定以上になることで人がいるということが価値となるネットワーク価値が生まれるといいます。また、ユーザー数が一定以上になると「自己加速」が起こるともいっています。
「量」の一定水準の目安はキーワードが忘れられたかどうかだともいっていました。

⑥第四法則 対立し、競っているもの同士は互いに似てくる

対立物の相互浸透という現象の解説です。
古いものと新しいもの、否定するものと否定されるものなど
対立し、競っているように見える2つのものは、互いに相手を包み込んで行き、結果として両者が「融合」し「統合」されていくといいます。
例は枚挙にいとまがなく、
リアルビジネスとネットビジネスが融合していった様子。
証券会社と銀行がそれぞれユニバーサルバンクへ進化したこと。
営利企業と非営利企業が社会貢献企業へ進化するだろうこと。
資本主義と社会主義。
確かになと頷かされる例が出てきます。

⑦第五法則 「矛盾の止揚」による発展

前の4つの法則の根底に存在する最も基本となる法則。
矛盾が世界の発展の原動力であるといいます。
利益追及と社会貢献など一見相反しているように見えるものを「割り切らない」ことが重要であると説いています。
マネジメントにも同じことが言えて、マネジメントの本質は矛盾のマネジメントで、その要諦は、「割り切らない」こと。
振り子のようにバランスを保つことで組織の学びを促していくことが重要だといいます。
割り切ることは「生命力」や「原動力」を失うことにもなりかねないと。

止揚:アウフヘーベンとは

互いに矛盾し、対立するかに見える2つのものに対して、いずれか一方を否定するのではなく、両者を肯定し、包含し、統合し、超越することによって、より高次なものへと昇華していくこと

器の大きな人物は「矛盾」と対峙し格闘し続けられる人のことだといいます。
リーダーに求められるのは、対話を通じて本質を洞察する「対話力」。
対話と議論、討論の違いについても述べられていました。
この辺りは、「学習する組織」で使われる共創的な対話のメソッドとかなり近いので下記の記事も参考にしてください。

弁証法は、対立した意見の持ち主が対話を行うことによって、互いにより深い思考に向かっていくための、思考を深める技法だといっています。

さて、ここまでで、5つの法則を紹介しました。
残り1章の紹介を残しているのですが、この最終章が非常に内容的に濃かったので、次回の紹介にしたいと思います。

(蛇足)ノートやペン

蛇足ですが、愛用しているノートは、A4無地のLIFEノートです。
B5方眼タイプ→B5無地を経てA4無地に落ち着いています。
罫線はいらないなと無地に移行し、B5だと物足りなくなり、見開きでA3になるA4無地ノートに落ち着きました。
蛇足の蛇足ですが、ペンはEmottの12色を愛用しています。

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