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お金を出して花を見る

先週、筥崎宮の花庭園へ行ってきた。
この時期は冬牡丹が見頃なので毎年行っている。入園料は500円だが、時期によって金額が変わるので行かれる方は事前にご確認を。

さて、私が冬牡丹を見に行くようになったのは20年程前。当時東京で働いていた私は、会社の近くの上野東照宮に初詣に行っていて、東照宮のぼたん園を知ってからは毎年冬牡丹を見に行った。
初詣と言っても年末年始は九州に帰省していたから、松の内も過ぎた頃に東照宮にお詣りして帰りに冬牡丹を見る。そんな時期だからかいつも人がまばらで、私は牡丹と一緒にのんびりひなたぼっこをしているようなものだった。

そのことを友人に話すと「お金出して花を見に行くの?!」と呆れられた。当時私たちはかなり若かったし、まあ確かにお金を出して牡丹を見るような年代ではなかった。

それでも、新書一冊くらいの金額で「百花の王」と言われる花の前にしゃがみこみ、
「なんか日差しがあったかくて気持ちいいなー。牡丹も『なんか明るいし暖かくなってきたからそろそろ咲いてみるかなあ』とか感じてるのかなー」
とかぼんやり考える時間は、かなり贅沢で貴重だったと思うのだ。
だから冬牡丹を見るのが毎年楽しみだった。

福岡に越して来てからは筥崎宮の花庭園に来るが、こちらは人がそこそこ多いので、しゃがみこんで考え事などできない。でも園内を歩きながら、やっぱりぼーっと考え事をしている。

美しい花を見る。贅沢な時間を買う。自分の精神的満足感を買う。
コーヒー1杯分、文庫本1冊分、ケーキ1個分の金額で。
花を見るのにお金をかけても、笑われることのない年齢になった。まあ、人に笑われても自分の満足感の為にお金を出すことには躊躇しないが、こういうときは年を取るのも悪くないな、と思うのだ。

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