ミスコミュニケーションを防ぐ、根本的な方法
チームメンバーに「明日中に仕上げてね」と伝えたはずが、当日の夕方になっても全然報告が上がってくる様子がなく、しびれを切らして「あの件どう?」と聞いたら、「もう少しでお渡しできます」なんて返事が返ってきて、結局連絡が来たのはその日の22時過ぎ…。そんな経験をしたことがある人は少なくないのではないでしょうか。
「言った/言わない」によってトラブルに巻き込まれたことや、相手に伝えたつもりが理解しておらず問題が起きるというミスコミュニケーションの経験は、誰しも一度や二度、いやそれ以上にあるものです。
では、どうしてミスコミュニケーションは起きるのでしょうか?
そして、どうすればミスコミュニケーションを防ぐことができるのでしょうか?
本稿では、心理学であるNLP(神経言語プログラミング)の理論をもとに原因と対処法を紹介します。
ミスコミュニケーションの原因
ミスコミュニケーションの原因は、言葉の裏にある話し手と聞き手の体験の差異から生じます。聞き手は話し手から言葉を受け取るとき、自身の体験をもとに翻訳します。そのプロセスにおいて「省略」と「歪曲」が起きることでミスコミュニケーションが生じます。
抽象的な言葉(ビッグワード)というのは解釈の幅が広いものです。抽象的な表現を投げかけられると、聞き手は自分の体験を引っ張り出して言葉の意味を翻訳します。
たとえば、同僚から「あのプロジェクトは本当に大変だったよ」と苦労話を聞かされたものの、感情移入できず聞き流してしまったということはないでしょうか。同僚はいかにも大変そうな表情で「もうあんな苦労はしたくない」と嘆いていますが、苦労感がなかなか伝わってこない。
当たり前ですが、聞き手のあなたは同僚と同じ「苦労」の経験をしていないため、友人が感じた「苦労」をそのまま理解することができません。
具体的にどのような「苦労」があったかが省略されているため、聞き手も自身の「苦労」体験と重ねることもできません。そのため、「苦労」という言葉に実感がともわないのです。これが先述した「省略」によるミスコミュニケーションです。
つづいて「歪曲」は、話し手の言わんとすることと聞き手の翻訳にズレが生じることです。たとえば、同僚の「苦労」は三日三晩の徹夜仕事かもしれませんが、私が「苦労」と聞いて思い浮かぶのは利害関係者の調整に時間がかかり思うように仕事が進まないというイメージかもしれません。
あるいは、あなたにとっての「明日中に仕上げてね」という尺度は「明日の17時頃まで」かもしれませんが、他者にとっては「明日の23時59分まで」かもしれません。
では、どうすればミスコミュニケーションを防げるでしょうか。
ミスコミュニケーションを防ぐ方法
ミスコミュニケーションを防ぐポイントは、「省略」と「歪曲」を最小化することです。
話し手であれば、抽象的な言葉ではなく、できるだけ具体的な言葉を使うことで、話し手と聞き手の解釈の幅を狭めることが有効です。
聞き手であれば、相手の真意を理解するために、質問を投げかけて具体的に情報を引き出し、解釈のブレを減らすことが重要です。
具体的に見ていきましょう。
「省略」については、たとえば「あのプロジェクトは本当に苦労したよ」と一言で片付けるのではなく、
といったように、聞き手の頭の中に映像が流れるように具体的に体験を語ることで、「苦労」という言葉を使わずとも同僚の「苦労」感も伝わります。
「歪曲」については、「明日中に仕上げてね」ではなく、「明日の17時までに仕上げてね」と伝えることで解釈のズレはなくなります。
「数字で語ることが大事」とよく言われますが、数字は解釈の余地がないため、コミュニケーションにおいても有効です。
コミュニケーションをとるときは、言葉の裏にある聞き手の体験に意識を向けることが肝要です。
参考書籍
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