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イメージの百人一首12「天つ風―」

※このノートでは、百人一首のご紹介をしています。詳細な訳や、古語の解説、詠み手の経歴などは他書に譲り、各和歌のざっくりとしたイメージをお伝えしたいと思っています。イメージを伝える際、あたかもその歌を詠んだ歌人になったかのような気持ちで理解できるように、二人称を採用しています。どうぞ、お楽しみください。

【第12首】
天つ風 雲の通ひ路 吹き閉ぢよ をとめの姿 しばしとどめむ
《あまつかぜ くものかよいじ ふきとじよ おとめのすがた しばしとどめん》

 あなたの目の前で、美しい少女たちが、舞を踊っています。五節《ごせち》の舞と呼ばれる、新嘗祭《にいなめさい》という祭りにおいて行われる舞です。きらびやかな服装を身につけた少女たちは自らの美しさと相まって、まるでこの世のものとも思われません。

 もしかしたら、彼女たちは、本当は天女なのかもしれない。そんなことを思ったあなたは、空を吹く風に願います。天上界から地上へと続く雲の道を吹き飛ばして欲しい、そうすれば、彼女たちがしばらく天上界へと帰れなくなって、その美しい姿を見ていることができるからと。

 僧正遍照《そうじょうへんじょう》

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