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【詩】水鏡

風もなく、波のない川床に
水面は、ひらたく張りついて
土手のみどりを、うつしている
たいらな、あおい銀盤に
さかさまに、浮かんでいる
かがやく、鮮やかな水のおもてを
まなざしが、泳いでいく

つめたく、しずかな鏡のうえを
滑るように、クルマが流れて
声もなく、カラスが追いかけていく

陽が翳れば、深く沈んで
まるごと、横たわる逆さ絵が
黙ったまま、ひかっている

匂い立つみどりに、突っ伏して
奔流の気配を、つかもうとしても
反射のむこうに、突き抜けて
あべこべを、あてなくみつめるだけ

©2023  Hiroshi Kasumi

お読みいただき有難うございます。 よい詩が書けるよう、日々精進してまいります。