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【詩】戦場坂

宮崎市、大塚と浮田をつなぐ
緩やかに、峠を越える曲がり道
行き来する車は絶え間なく
袂を取りもつ信号は、明滅を繰り返す
道急ぐ人影は、傾斜の罠にため息をつく

戦場坂、近隣でその名を知らぬ者はない
だが、その名は地図には見当たらない
名を刻む道碑をみつけることもない
いにしえの戦いの舞台であったという
人から人へと伝える坂

一勢に、駆けくだりくる鬨の声
胸突き八丁、息を切らせて
のぼる車列が、迎え撃つ
すれ違い、合図し、右折左折に交差する
ここは、日々往来の戦場だ

坂道を見守る眺めは変わったけれど
厳めしい名は、あらぬ想像を刺激する


©2023  Hiroshi Kasumi

お読みいただき有難うございます。 よい詩が書けるよう、日々精進してまいります。