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【詩】熱気

東の地平に、陽がのぼる
目覚めた大地は、夜露に濡れて
靄を吐き出し、沸いている
南中を、目指す日ざしが
北回帰線を、たどってゆく

明々とかがやき、山野を照らし
放つ光で、地肌を灼いて
汗を滾らす、草や樹は
風の行き来を、さぐっている

降りそそぐ、熱の礫てに
地を這う命は、茂みにかくれ
白雨のしぶきを、待ちわびている

人は、喘ぎにうなされながら
欲望の火を、懸命に焚き
飽きることなく、沸いている
日夜の宴に、喉を枯らし
逃げ水の瀬を、追いかける


©2023  Hiroshi Kasumi

お読みいただき有難うございます。 よい詩が書けるよう、日々精進してまいります。