「ヘブンメイカー」/スタープレイヤー2

⭐︎スタープレイヤーの掟

  • スタープレイヤーは、スターボードを使用し〈十の願い〉という力を与えられる。

  • ただし、元の世界に戻るという願いは、スタートより百日後でないと叶えられない。

  • 元の世界に戻る、と願ったら、残りの願いの数にかかわらず終了する。

  • 願いはスターボードで文章の形にする必要がある。

  • 文章を送るとフルムメアが審査し、それが通れば、願いを確定させることができる。

  • 抽象的だったり、観念的だったり、物理法則の土台を変えてしまうような願い、十の制限をとったり、矛盾をはらんだ願いは却下される。

  • 願いを叶えられるのはこの惑星のなかだけであり、スターボードの地図に記入されていない場所には何もできない。


おめでとうございます🎉
あなたは「スタープレイヤー」に当選いたしました。

あなたは最初に何を願いますか?
この始まりの、何もない、誰もいない、見知らぬ場所で。。。。。



「ヘブンメイカー」
恒川光太郎 著  角川文庫

500ページ近くある小説ですが、スラスラと読めてしまいました。

ストーリー

寂しく、そしてワクワクする物語です。


ストーリーは主に2人(途中でもう1人)の視点で進んでいきます。


鐘松孝平の視点

鐘松孝平は見知らぬ家で目覚めます。
家から出てもそこは見知らぬ町。

オートバイに乗っていたら後ろからトラックが迫っていて、路肩に避けたら幅寄せされて。。。

記憶はそこで止まっています。

その後どうなったかは覚えていませんが、身体は怪我も痛みもありません。

誰もいない町を歩いていると、何人かの人に出会いますが、他の人もここがどこだかわかっていません。なぜここにいるのかも。

大きな時計台の前の広場に辿り着いた時、数百人の人だかりができていました。
その人だかりの前に大きなプレートがあり、そこには、

・あなた達は死者
・二度と地球には帰れない
・再び命を得て甦ったのであなた達は生者
・この町、ここにある全てはあなた達のもの
・ここを創った私は神ではないし、もう存在しない
・幸福な人生を、ここを天国に出来る事を私は望んでいる

事が書かれていた。

皆戸惑っていたが、ここで生きていく為に協力し合いながら生活していく事になり。。。。。


佐伯逸輝の視点

こちらは誰かに宛てたメッセージのようです。

過去の話、中学校の頃の話から始まります。

中学時代に好きになった女性がいた事。
大学生になってから、その女性と再会した事。
再開した時、その女性は別の男性と付き合っていた事。
が書かれています。

その男性と別れて、ちゃんと佐伯逸輝と付き合うと言ってその女性と別れて数日後、その女性は付き合っていた男性に殺されてしまいます。

その男性はすぐに捕まりましたが、佐伯逸輝は何も手につかなくなっていきます。

ある日海を見ていると、白塗りの2メートルはある男を見かけます。

大道芸人か何かと思っていた男はいつの間にか目の前に。

クジを引く事を促され、クジを引くと「一等」が当たり、
「スタープレイヤー」
に。

すると突然見知らぬ場所へ。。。



感想(なるべくネタバレしないようにしているつもりバージョン)

先程も書きましたが、スラスラというか、本の厚さに辟易する事なく読めました。

展開が気になる事もあるし、ワクワクするんです。

知らない事を知ろうとする事はこんなにワクワクするんですね。

でも危険とも隣り合わせなんです。

この本ではなく、私たちの現実世界もそんな危険を乗り越えてきた先人たちのおかげで今があるんだなと、改めて感謝してしまいます。

そんな先人達のやってきた事を見ているような感じです。

それと、1人でできる事ってそうなくて、仲間って必要なんだなって思いました。

1人では出来ない事でも仲間がいれば出来てしまう。

そういう事も学んだというか思い知らされるお話でした。

ただ、仲間は大切ですが、行きすぎた仲間意識はときとして破滅をもたらします。

人はコントロール出来ない。
自分で気づくしかない。

そんな気づきを言葉にして残せる人間って良いなって思います。



何書いてるかわからない感想になってしまいましたが、この本を読んでの私の感想でした。


あと、この本のタイトルである
「ヘブンメイカー」
ってどういう意味だろうと考えてみました。

そして、こういう意味ではないか?と思い至りました。

おそらくですが、私達は。。。。。



感想(ネタバレありバージョン)

ここからネタバレありの感想を書いていきます。

ので、途中からは見れないようにしました。

章毎に感想を書いています。

章毎に感想を書きながら読むのは楽しかったです。
先の展開がわからないうちに書いているので。

この読み方はオススメかもしれません♪


ヘブン・始まりの日

始まりは死者の町から始まる。
何もわからない状態から、自分が死んだと聞かされたらどう感じるだろう?
それに、見知らぬ場所で「日本人」がいるとか、言葉が通じるのも不思議かも。
でも安心感はあるかな。

サージイッキクロニクル I

話は変わって、スタープレイヤーになった人の始まりの話。
願いが叶うとわかって、死んでしまった好きだった人をすぐに生き返らせないところは考えてるなと思った。
自分なら見境なしに生き返らせたかもしれない。。。
それにしても何もないところからの願いって、自分ならどう願うだろうか?
そんな事を考えてしまう。

ヘブン・友人たち

孝平パート
何もない、何もわからないところに放り出されたら、やはりグループを作った方が生きる確率が上がると思った。
情報の交換は生きるために必要だし、1人では出来ない事もできるようになるし。
役割を分担すれば快適度も上がっていくだろうし。
今現在の私達の暮らしはそうやって成り立っているんだなと思う。
感謝しないといけない。。。
この章最後の
「おそらく人類が古代から数千回繰り返してきた、知恵を武器に世界を獲得する戦いを、自分たちは開始したのだ」
は、しびれた。
過酷で大変そうだけど、同時にワクワクもしてる。

サージイッキクロニクル II

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