かすみを食べて生きる65:きたぞ3回食!
脳梗塞 発症2か月と2日目:リハビリ病院2か月目⑫
・食事:脳梗塞(ワレンベルグ症候群)の後遺症のため、嚥下ができなくなり訓練中。食事はミキサー食と鼻からの経管栄養。首を左に向けると飲める。食事以外の時間は一口にスプーン半分の量の水分であれば飲んでもよい。
・状態:歩けるようになってきた。終日、館内フリー歩行自立。きょろきょろすると少しめまいがする。
これまで朝、昼食のみだったミキサー食を、今日からいよいよ夕食もいただく。
発症2カ月過ぎに、やっと3回食にたどり着いた。
これまでの記録はこちら『かすみを食べて生きる 序文と目次』
<発症2か月と1日目:リハビリ病院2か月目⑪
発症2ヵ月と3日目:リハビリ病院2か月目⑬>
おいしく食べたいミキサーがゆ
朝、昼、夕の3回食が始まる前に、どうしても対策を打っておきたいことがあった。
毎食、必ず出てくるミキサーにかけられたおかゆ。
これがどうしても、難敵。
おかゆの優しい味でもったりとしている。
粘り強く咀嚼しないと飲みこめない。
トロミ剤と一緒にミキサーにかけられたおかゆは、ボリューム感が増している。
ごはんのお供としてうめびしおという梅ペーストがついているが、これでは半分も食べきれない。
混ぜることのできるおかずを食べきってしまうと、ひたすら真っ白でぼんやりした味を食べ進めなければならなくなる。
このおかゆの途中で心が折れそうになるのをひそかにホワイトアウトと呼んでいる。
ここまで気合と勢いで食べきってきたけど、一日に3回も白い世界に陥るのはつらい。
そこで言語聴覚士の下浦さん(仮)に、おかゆに調味料を使えないか相談をした。
リハビリ医の四谷先生(仮)に確認してもらい、調味料の許可が下りた!
さっそく売店に買いに行く。
まずはこれ。
これが一滴あるだけで、世界が変わる。
試すとミキサーがゆが、磯辺焼きのような味になった。
他にも、家から粉末のコンソメを持ってきてもらった。
かけると炭水化物+コンソメで、コンソメ味のポテトチップスを彷彿させる味になった。
また友人で言語聴覚士のみやこさん(仮)に聞くと、介護施設で人気のおいしいごはん用のソースがあることを教えてくれた。
教わって即Amazonで購入。家族にもってきてもらった。
とくに「たまご」がとてもおいしくて、卵かけご飯の味になる。
もっとおかゆが欲しくなる。
血圧を下げる薬も続いているので、塩分過多になりすぎないように、奥の手として最小限で使う。
こうして私のミキサー食ライフは充実していった。
スピードを求めて:朝ごはん#8
今日からいよいよ夕食も口から摂る。
まずは朝食!
今日はとても天気がいい。
献立はこちら。
キャベツとツナの煮びたし
マンゴーペースト
ソフール
おかゆ
これまで先におかずとおかゆを合わせて食べて、残りのおかゆをマンゴーペーストと合わせ、最後にデザート感覚でソフールをいただいていた。
でもそうすると序盤でおかずを食べきってしまい、中盤、後半と甘々の世界が続きペースが落ちてしまう。
触感の差が少ないミキサー食にとって、味の緩急は命。
そこで今日から思い切って、最初にソフールを食べ、次におかず、最後にマンゴーがゆを食べる作戦にした。
ソフール100ml。15分かかった。悪くないペース。
キャベツとツナの煮びたしとおかゆをまぜ、それでものこったおかゆはマンゴーペーストでいただく。
所要時間1時間。
甘々の世界にはまってしまうことを回避できた!
八十八夜:お昼ごはん#21
さてさてお昼ごはん。
今日はなにかな。
めずらしい!お昼にプリンがついてる!
なるほどもうすぐ八十八夜なのね。
献立はこちら。
鯛のお茶煮
小松菜の煮びたし
煮奴
おかゆ
お茶プリン
鯛に小松菜に豆腐。全体的に食べやすい。
鯛はうっすらお茶の香り。
これいいかも。ミキサー食にも向いている。
覚えておきたい。
所要時間は55分!
デザート込みでこの時間はなかなかいいタイム。
久しぶりの夕食:夕ごはん#1
一日の最後にもうひと頑張り。
久しぶりの夕食!
そうです、夕食です。食の字を少し失敗。
献立はこちら。
扶養蟹
春雨の煮物
おかゆ
さすが夕食。これまでここでまだ会ったことのないお料理。
芙蓉蟹って何だろう。
気になりすぎてググるとどうやら、かに玉的なものらしい。
確かに緑はグリーンピースの味。
黄色い部分は卵感があって、茶色い部分は何だろう。
蟹感はあまり感じない。
所要時間45分!最速出た!
ーー振り返って
ミキサー食の食べ方について、いろいろ考えていろいろ試しました。
食べる順番、おかずとおかゆの合わせ技、味変用の調味料。
私の中では様々な発見があり、担当の言語聴覚士の下浦さん(仮)のリハビリのたびに、冒頭で食事報告となりました。
ただどうしても、食事については孤独でした。
デイルームで回りを見渡してもミキサー食を食べている人は見当たりません。
一人だけが食べ続けているミキサー食という謎の食べ物。
味や発見を共感できる人はいませんでした。
やっぱり食事は人と一緒に、おいしいねと言いながら食べたいものだなぁと思いました。
ミキサーがゆの味変は画期的でした。
最後1/3くらいがなかなか減らずに食べ終わらない、という状況を醤油一滴、コンソメ一振り、そしてソースたちが助けてくれました。
ごはんにあうソースは業務用を買ったので退院時に持って帰ったのですが、家族も気に入り食べ尽くされてしまいました。
おいしさを共有できたことはうれしかったです。
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