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【11】カムヒルメ(製鉄法)81~88首

カムヒルメ(カタシフキミチ 製鉄法)

目にはみえないコトワリ(物理)であるが

当時の製鉄の仕方をこのウタで伝承している。
まず、材料は火山から溶出した鉄塊(自然の鉄鉱石)を集め、山頂から吹きおろす強い風を利用して、山の斜面に設けた焼きもの用の炉にて金目、(金層成分)を含む鉱石を焼く。(金芽、要焼)
自然の鉄塊を焼くことによって、その塊の表面からタラリタラリと流れ落ちるものを溜める方法が(流れおちる硫化鉄を溜める技術のこと)第一の工程である。その時、炉に風を送って燃焼させ鍛造(たたく)ことによって、吹きわけて金属分をとる方法(鍛冶吹き技法は現代でも使用されている)これは天然の溶融理にかなった技法である。

次に、自然の鉄塊を焼いて流れおちる黒い鉄塊と栗毛色の針状鉄を、火床の焔の中で風を送って焚き焼きを行い、赤橙色(あかねいろ)になるまで加熱する。炉に風を送って燃焼させ、たたきながら吹きわける鍛冶吹きの技法である。
栗毛色に尖った自然鉄は、赤い焔の火でやきながら焔の金槌で打撃し、ひやしてさらに焔の中で焼く。この工法を通過することによって、艶(つや)のないくすんだ鉄が黒色の銑鉄の状能になり、白色の添いだ粗鋼の段階へ進む。たたいて炉に風を送って燃えさせ、鍛冶吹きの技法によって金属分をとる。とり出した金属分は、熱が冷めるまで連続的に打撃する。冷えたら、今度は白い色の輝きのある高熱焔の中で再び焼く。

この高熱で焼成するときには、重い鉄槌で調子を合わせながら打撃して形身を締めるのである。それは鍛冶吹きの技法である。
その後は、焼いた土の泥を塗って、もう一度繰り返して焼く。(泥に水を混ぜたものをぬれば直火の酸化を防ぎ火を弱めて再焼きできる)
引き続き、高い響音をださせながら、鉄槌で廻し打ちして、鋼材の形の歪みを無くす。
ためしなおしとした鋼材を燃成している火床にさし入れ、状態をみながら自由に引き出して打撃することを繰り返すと材質は熟成された焼成になる。
それを熟成湯の池に入れて、またそれを火床の傍において徐々に加熱して焼く。

火焔の立たない火床でひきのばして、焼く鉄板の伸びが一方に片よるように打ち、片刃をつける。煌く火の火床で白色焔に加熱して統湯の池に入れて焼き入れを行う。
上部をはさみでつまんで仕上げ打ちを行う。これは日本の伝統的鍛冶吹きの技法であり、天然の溶融理にかなった技法である。


第81首

【カムナガラ】       

目には見えない直観の物理であるが
      コトワリ


【オロシホムロギ】     

山頂から吹きおろす強い風を利用して 
      オロシ
            

山の斜面に設けた焼き物用の炉にて
     ホムロギ

【カナメヤキ】       

金目・金属成分を含む鉱石を
カナメ

焼く(金芽・要焼き)
ヤキ

【ホコネクシカネ】     

火山から溶出した鉄塊
ホコネクシカネ

(自然の鉄鉱石)を焼いて

※ホコネクシカネ=オロチクシカネともいわれている

【タルミタナ】       

自然の鉄塊を焼くことによって

その塊の表面からタラリタラリと
   タルミ

流れ落ちるものを溜める方法
        タメ

※流れ落ちる硫化鉄を溜める技術のこと

【カタシフキミチ】    

鍛造(たたくの意)し、
カタシ

炉に風を送って燃焼させ、
            

 吹き分けて 金属分をとる方法
フキ          ミチ

(鍛冶吹きの技法)

【カムヒルメ】        

これは天然の溶融理にかなった技法である
  カムヒルメ



第82首

【カムナガラ】       

目には見えない直観の物理であるが
      コトワリ

【タルミクロカネ】     

自然の鉄塊を焼いて流れ落ちる
   タルミ

黒い鉄塊と
クロカネ

【クリケカネ】       

栗毛型の 針状鉄を
 クリケ  カネ

【ホホコフキタキ】     

火床の焔の中で
 ホホコ

風を送って 焚き焼きを行い
 フキ   タキ

【アカネヤキ】       

赤橙色になるまで 加熱する
アカネ      ヤキ

【カタシフキミチ】    

鍛造(たたくの意)し、
カタシ

炉に風を送って燃焼させ、
            

吹き分けて金属分をとる方法
フキ         ミチ

(鍛冶吹きの技法)

【カムヒルメ】       

これは天然の溶融理にかなった技法である
   カムヒルメ


第83首

【カムナガラ】       

目には見えない直観の物理であるが
      コトワリ

【アカホカゲウチ】     

銑鉄状の鉄塊(栗のように尖った自然鉄)を

赤い焔の火で焼きながら 焔の金槌で打撃し
アカホ         カゲウチ

【ホホデヤキ】       

さらに焔の中で 焼く
   ホホデ  ヤキ

【クスミクロカネ】     

この工法によって 艶のないくすんだ鉄が
          クスミ

黒色の銑鉄の状態になり
 クロカネ

            
【シラミソゲ】       

白色を添いだ粗鋼の 段階へ進む
シラミ       ソゲ

【カタシフキミチ】      

鍛造(たたくの意)し、
カタシ

炉に風を送って燃焼させ、
             

吹き分けて 金属分をとる方法
フキ          ミチ

(鍛冶吹きの技法)

【カムヒルメ】       

これは天然の溶融理にかなった技法である
 カムヒルメ


第84首

【カムナガラ】       

目には見えない直観の物理であるが
      コトワリ

【ハラヒツチウチ】     

熱が冷めるまで 連続的打撃をする
ハラヒ     ツチウチ

【カガビヤキ】       

白い色の輝きのある 焔の中で 焼く
    カガ    ビ    ヤキ

【アワセオモツチ】    

もう一度高音で焼成して 重い鉄鎚で
            オモツチ
            

調子を合わせながら打撃して
   アワセ

【カタミシメ】       

形身を 締めるのである
カタミ シメ

【カタシフキミチ】      

鍛造(たたくの意)し、
カタシ

炉に風を送って燃焼させ、
            

吹き分けて 金属分をとる方法
フキ          ミチ

(鍛冶吹きの技法)

【カムヒルメ】       

これは天然の溶融理にかなった技法である
    カムヒルメ


第85首

【カムナガラ】       

目には見えない直観の物理であるが
      コトワリ

【ハニドロマブシ】     

焼いた土の泥を 塗って
 ハニドロ   マブシ

【モドシヤキ】       

もう一度繰り返して 焼く
  モドシ     ヤキ

(泥に水を混ぜたものを塗れば、直火の酸化を防                                                     ぎ、火を弱めて再焼きできる)

【カカラツチウチ】     

高い響音を出させながら
  カカラ

鉄鎚で廻し打ちして
ツチウチ

【タメホナシ】       

鋼材の形と歪みを 無くすのである
タメホ      ナシ

【カタシフキミチ】      

鍛造(たたくの意)し、
カタシ

炉に風を送って燃焼させ、
            

吹き分けて 金属分をとる方法
フキ          ミチ

(鍛冶吹きの技法)


【カムヒルメ】       

これは天然の溶融理にかなった技法である
   カムヒルメ


第86首

【カムナガラ】       

目には見えない直観の物理であるが
      コトワリ

【ホザシククウチ】     

ため直した鋼材を
    ホ

燃焼している火床に差し入れ
         ザシ
            

自由に引き出して打撃することを
        ウチ

繰り返すと
クク

【ニギミヤキ】       

材質に 熟成的焼成をする 

ニギミ   ヤキ

【サワシユケイレ】     

熟成湯の 池に 入れて
サワシ  ユケ イレ

【アブリヤキ】       

またそれを火床の傍らにおいて 

徐々に加熱して 焼くに
  アブリ   ヤキ            

              

【カタシフキミチ】      

鍛造(たたくの意)し、
カタシ

炉に風を送って燃焼させ、
            

吹き分けて 金属分をとる方法
フキ          ミチ

(鍛冶吹きの技法)

【カムヒルメ】       

これは天然の溶融理にかなった技法である
     カムヒルメ


第87首

【カムナガラ】       

目には見えない直観の物理であるが
      コトワリ

【クスミホコトコ】     

火焔の立たない 火  床で
クスミ     ホコ トコ

【ナメシヤキ】       

引き伸ばし 焼きを行う
ナメシ   ヤキ

【ハビノヨセウチ】     

鉄板の伸びが
ハビノ

一方に片寄るように 打ち
   ヨセ     ウチ 

【カタハツケ】       

片刃を つける
カタハ ツケ

【カタシフキミチ】      

鍛造(たたくの意)し、
カタシ

炉に風を送って燃焼させ、
            

 吹き分けて 金属分をとる方法
フキ          ミチ

(鍛冶吹きの技法)


【カムヒルメ】       

これは天然の溶融理にかなった技法である
    カムヒルメ         

             

第88首

【カムナガラ】       

目には見えない直観の物理であるが
      コトワリ

【カガビホコトコ】     

煌く(かがやく)火の 火床で
カガビ       ホコトコ

【ホシラヤキ】       

白色焔に 加熱して
ホシラ  ヤキ

【スメロユケイレ】     

統湯の池に 入れて 焼き入れを行う
スメロユケ イレ 

【キヨミウチ】       

上部をハサミでつまんで
      キヨミ

仕上げ打ちを行う
   ウチ

【カタシフキミチ】      

鍛造(たたくの意)し、
カタシ

炉に風を送って燃焼させ、
            

吹き分けて 金属分をとる方法
フキ          ミチ

(鍛冶吹きの技法)

【カムヒルメ】       

これは天然の溶融理にかなった技法である
     カムヒルメ


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