見出し画像

ジョニ・ミッチェル(Joni Mitchell) / BLUE ディスクレビュー

「唯一を作り出せる行為」

この作品はジョニ・ミッチェル4作目のオリジナルアルバムである
彼女の初期に作られた最も人気の1枚と言える作品の一つである
「A Case of you」や「California」や「River」が収録されている
アルバムの中でも印象的だった数曲をあげていきたいと思う

まずは「A Case of you」この曲はまずメロディーが気持ちいい
言葉がわからなくても心がキュッとなる音作りで
ヴォーカルの譜割りとギターとの組み合わせが絶妙にマッチしている
しめ鯖と日本酒でもかなわないぐらい重なりが抜群である

彼女のテンションも素晴らしくエモ過ぎず冷め過ぎずで切なさが増している
歌詞もわざとらしい悲しみではないから余計グッとくる
恋することは怖いことだけどしてしまうそんな虚しさや可愛さを
全て抱きしめてイエスをくれる曲だと思う

次は「Blue」アルバムタイトルでもあるこの曲だがずっと新しい曲だと思う
どこにもない曲だけどパワーがあって今を切り裂いてくれる旋律と歌である
悲しみと遣る瀬無さと少しの希望と愛が詰まっていて
どうしようもないけど生きて行くんだという意思を感じた
飾らないピアノのシンプルな音が真っ直ぐ突き刺さしてくる
短いけど濃い完璧な曲の一曲だと思う

後は「Carey」旋律の気持ち良さだけじゃなく感情が溢れてノリのあり曲
そして「River」クリスマスソングだけど切ないこの人の愛はどこに行くのだろう


まず歌の強さに心が惹かれて知らない間にこの作品の世界に入り込んでいた
ギターのバランスや重なりの気持ち良さで足し算引き算のお手本を作り上げていて展開も美しく枠組みを軽く飛び越えていくけどそこには確かな理論がある

ルールは自分の中に有ればいいんだよとこちらに教えてくれているかのようだった
これは日本だと難しいことかもしれない隣をみれば誰かが近くにいて
どれほど素晴らしくても誰かと比べられるのが常である

どれもこれもが素晴らしく自分の心だけ見とけばいいはずだということを
この作品に気付かされ自分のちっぽけさに可笑しくなってしまった
無理がなくやりたい事だけをやっているから何度も聞けるアルバムだと思う

無駄に媚を売ったり華やかにしない事をこれほど体現するには
とても孤独でくたびれる作業を積み重ね信じ続けることが重要だと思う
なぜならそれこそが唯一を作り出せる行為であるからだ

ここまでの作品を作っても別に苦行を見せつけるわけでもなく
ユーモアも見せてくれてそう言ったところも人間として惚れる才能だ

まだ聞いたことがない人は是非聞いてもらいたい


変幻自在のクリエーターユニット「KATANAGARI」です。基本ミュージシャンとライターです。Apple musicなどでカバー音楽、オリジナル音楽を配信しています。 https://itunes.apple.com/jp/artist/katanagari/1288449046