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生贄にならないあなたへ

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創作大賞に応募した短編です。三万字くらい
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#甲冑

「生贄にならないあなたへ」第八話

「生贄にならないあなたへ」第八話

前回

 桜の舞う前日のことだった。
 臼田直義は呆けたように輝くシャンデリアを見つめていた。
 街のはずれには城がある。校内で噂は何度か聞いていた。誰が住んでいるのかは、人によって様々だった。ドラキュラと言う人もいれば、東京のヤクザと言う人もいた。
「君だったなんてね」
 臼田は目の前で背を向ける少年に言った。
「驚いた?」
 少年がくるりとこちらを向いた。臼田に比べると小柄に見えるが、160セ

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「生贄にならないあなたへ」第九話

「生贄にならないあなたへ」第九話

前回

「アーマーゲドン……!」
 木戸はその破滅的な名前を繰り返した。
 西洋甲冑のどす黒い殺気が強まる。
 木戸は氷川を背後に隠す。塚本が気絶したままである今、彼女の命は木戸が守らなければならなかった。
「あの甲冑知ってるの」
 氷川の質問に、木戸は首を横に振る。
 アーデルベルトと目の前の甲冑は何の繋がりがあるのか。木戸が思案する暇はなかった。
「全員粉砕だ! 千斤担ぎのヴィルヘルムよ!」

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