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プロサッカー選手を目指している君に伝えたい”サッカーが上手くなる為に絶対に知っておくべき4つの事”

 サッカーを長く続けているお陰で、嬉しい事に僕のtwitterにはたくさんの質問が届きます。
「プロになりたい!」
「サッカーが上手くなりたい!」
「どうしたらサッカーが上手くなりますか?」
「今、何をすべきですか?」
 子ども達からのこうした質問は本当に嬉しいです。

 一方で、SNSにはドリブル理論やキックの解説動画、体幹トレーニングなど個人技術・能力を高めるための情報がたくさん出ていますよね。またサッカーの原理・原則や理論などを学んでる指導者も増えてきました。

 そうした環境の中でサッカーをしているのに何でこんな質問が届くのだろう...と疑問でした。

 そこで、僕がJリーガーになりきれなかった2回の経験と共に、SNS上にはない指導者も教えてくれないサッカーが上手くなる為に絶対に知っておくべき事を伝えたいと思います。

 小学生や中学生の子たちには少し難しいかもしれないけど、きっと今後の上達に役立つと思うから、頑張って最後まで読んでもらえたらと思います。


①個人技を高めると見えなくなってくるもの

 僕が子どもの頃にしていた事は、部活が終わり家に帰ってから近くの公園に行ってドリブルやシュートの練習、家の前ではリフティング、学校ではデコボコの石垣で壁あて、ボール1個分の高さしかない塀でパスの練習…などなど。

 まわりにある環境を活かして自主トレと毎晩自分で決めた約2~3kmのコースをタイムを測りながら走っていました。

 高校では後輩の守備が上手い2人の選手に付き合ってもらって、1対2の練習をしていました。朝練では誰よりも早く行ってFKの練習をしていたそうです。(僕は覚えてませんが友人が教えてくれました。)

 高校では1年の時に3年生の試合も出ていたのに、大学進学そして栃木SC(当時JFL)へとサッカーのキャリアを進めるにつれて出場機会は激減。試合に出れたのは数える程度でした。

 栃木SCの時はあまりにも試合に出してもらえなかったので、使ってくれない事に腹が立ちコーチと口論になって帰った時もありました。

 その時はまだ先発の選手より僕の方がドリブルが上手い、走れる、強い、仕掛けられる...このような考え方や比べ方しかできず、"サッカーをする上で大切な事"が見えていませんでした。

 その後、クラブのJ2を目指す形が明確になると選手のプロ化が進みました。そのシーズンはうまく結果が出ていなかったため途中で監督が変わりました。新監督は柱谷幸一さん。僕はその後、自身初のプロ契約を結ぶ事ができ試合に出れるようになりました。しかし、シーズン終盤のある事がキッカケでプロ2シーズン目を栃木SCで迎える事ができずに移籍する事になりました。

 次の佐川印刷SCでも試合に出れたのはたった10試合。ギラヴァンツ北九州(当時JFL)ではプロ契約できるもののシーズン2/3を過ぎたあたりから試合に出れなくなり、翌年は夢だったJリーガーにはなれましたが出場は1シーズンわずか10分程度。もちろんチームを去る事になりました。

 その間、自分の武器だったクロスボールの精度を高めるための練習は毎日欠かさずにやっていたので技術や体力は伸びていきました。つまり、自信だけが強くなっていきサッカーで大切な『チームにおける自分の役割』が見えていなかったんです。(そりゃ〜試合に出れるわけないよって話ですね)

②サッカーってどんなスポーツ?

・11対11
・戦術や決まり事がある
・GKとFPがいる
・試合は90分
・勝ったら嬉しいけど負けるとメチャメチャ悔しい
(育成とプロでは多少の違いはあります。)

 という事は...サッカーってチームスポーツでありチームの中に選手がいるので、そのチームの目的を達成する為に選手1人1人の役割があるという事も変わらない。

 プロの選手たちはみんなそれを理解しています。もちろん君の大好きなあの選手もこのプレーをやりたいからやるという様な自分勝手なプレーをしている訳ではなく、サッカーがチームスポーツであるという事を理解し、その中での役割を担ってプレーをしているんです。 

 彼らがサッカーを自由に、そしてプレーを楽しめているのはチームにおける自分の役割をきちんと理解しているからとも言えます。


③チームにおける選手の役割とは?

 プロの世界では勝つ事が目的です。(現在の日本の育成は勝つ事ではなく選手自身の発想や自主性を目的にしているところがありますね。なので勝つのはクラブではなく選手たちの目標という感じでしょうか。)そのためにチームはどうやって戦うかを決め、それを元に各選手たちの役割が決まります。

 例えば、ネイマールがドリブルで仕掛けて何度もボールロストしてるのに、またドリブルで仕掛けているのはなぜか考えた事はありますか?

ドリブルが好きだからですか?
点取りたいからですか?
メンタルが強いからですか?

 そして、なぜチームメイトは彼に怒らないのでしょうか?

 僕はネイマールはパリ・サンジェルマンが試合に勝つための『彼の役割を果たしている』だけだと思って見てます。

 ネイマールのチームにおける役割とは何か。彼の1番の武器は決定力以上にやっぱりあのドリブルですよね。なので突破やボールキープから得点を演出するのが彼の役割です。相手のディフェンスはパリの攻撃カードを1つ1つ抑えていく作業をします。もし彼がドリブルで仕掛けなくなったらディフェンダーは相手の攻撃力を弱め失点するリスクを抑えた事に成功した...となります。つまり、パリの得点できる確率が下がってしまう事になります。

 そして、隠されたもう1つの役割があります。それは相手の攻撃の抑止力になっているという事。相手チームは怖くなくなったネイマールに2人も3人も守備に行かせる必要がなくなるので、その分攻撃に人数をかけることができるようになります。つまりパリが負ける可能性が出てくるという事です。だから、彼は仕掛け続けなくてはいけないんです。


④あなたは自分のいるチームをどのくらい知っていますか?

 タイに来てから僕は気付きました。『チームにおける自分の役割』がとても大切なことを。

 助っ人外人として来ている僕は何よりも結果を求められます。だから、日本でプレーしていた時のように自分のプレーだけを出す事ばかりを考えなくなり、結果を出すための最善の策を考えるようになりました。

『どうやったら”このメンバーで”勝てるのか?』

 監督の作りたいサッカーチームを知り戦術を理解することに努めました。仲間の性格を観察したし、それぞれの選手の得意不得意も見ました。監督の戦術と自分に求めるものや仲間のキャラクターを見てチームにおいて自分のすべき事は何かを明確にし、いつ自分のストロングポイント(好きなプレー)を出せるのか?を考えました。すると、自分のプレーの質も上がっていきました。自分のプレーばかりに気を取られていた時よりも倍速で上手くなったしチームに必要とされるようになりました。

 監督の戦術を理解し仲間を知った事で自分の役割が明確になったんです。試合の見方も上手くなったし得意なプレーを発揮するタイミングや状況なども整理できるようになりました。その甲斐あってか、タイ1年目にオールスターに選ばれチェルシーと試合する事もできました。

 そして、38歳の現在でもプロとしてプレーし続けられています。

 僕が子どもの時と同じように練習している子ども達が多いと思います。そうやって頑張っている子たちに僕と同じような失敗をしてもらいたくないし、2回も3回も遠回りして欲しくないんです。

 個人技はあくまでも自分のボールを扱う技術のレベルを上げるためのもに過ぎません。なので"個人技を上げていく事=試合に出れるようになる"ではありません。重要なのはそのレベルの上がった自分をチームにどう活かすか?なのです。

 僕が子どもの時にこんな事を教えてくれる指導者がいたら良かったなとすごく思っています。サッカー大好きな子ども達が上手くなる為に少しでも役立ててもらたら嬉しいです。

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