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友だち幻想 人と人の〈つながり〉を考える


本について

読んだ本

友だちは何よりも大切。でも、なぜこんなに友だちとの関係で傷つき、悩むのだろう。人と人との距離感覚をみがいて、上手に“つながり”を築けるようになるための本。「みんな仲良く」という理念、「私を丸ごと受け入れてくれる人がきっといる」という幻想の中に真の親しさは得られない。人間関係を根本から見直す、実用的社会学の本。

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とあるように、友だちとの関係について著者の考えが書かれた本です。「友だち」というとやはり学生時代の方が悩みやすく、本書は学生をメインターゲットに書かれていると思われます。

しかし、「友だち」に限定せず「人とのつながり方・距離の取り方」という意味では誰もが悩むことであり、そういった視点で読むと学生でなくとも多くの気づきがあると思います。

読もうと思った理由

実際の投稿を見失ってしまったんですが、インスタでフォローしている読書系インフルエンサーの方が紹介しており、気になったので読んでみました。

以前、会社の人に「いい人すぎる」と言われたことがあり、それをきっかけに人とのつながり方について考えることが増えており、ちょうどタイミングよくこの本に出会いました。

感想

「理解してもらえないのは当然」と理解することがスタート地点

むしろ「人というものはどうせ他者なのだから、百パーセント自分のことなんか理解してもらえっこない。それが当然なんだ」と思えばずっと楽になるでしょう。だから、そこは絶望の終着点なのではなくて希望の出発点だというぐらい、発想の転換をしてしまえばいいのです。

—『友だち幻想 ――人と人の〈つながり〉を考える (ちくまプリマー新書)』菅野仁著https://a.co/guYLKv4

僕は根本的に「人と人は話せばわかるし、きっと理解しあえる。そうでないのはまだコミュニケーションが足りないから、その努力を自分ができてないから」と考えがちです。そして今までもこの考え方に苦しみましたし、冒頭に書いた通りで「いい人すぎる」と言われてしまう始末。

もちろん、「いい人」であることで他人が私に接するハードルは下がるし、「人当たりの良さ」と思えば決して悪いことだけではないのは認識しています。でも、幾度となく自分自身が苦しんできました。

この本を読んでいると、こちらの本で学んだことととてもリンクしているように思います。それぞれの本で表現は違えど、「自分と他人には明確な境界があり、その境界を前提にお互いに理解を深めよう」という根本的な考えは同じように思います。


仕事におけるチームは偶然集められた集まりでしかない

本書では学生をメインターゲットに書かれているので、やはり「クラスメイト」「クラス」という単位での話がよく出てきます。そのなかで、クラスを運営する先生は何を意識すれば良いのか?について触れた一節がこちらです。

先生は、基本的には自分がわかってもらえなくてもいいくらいの覚悟が必要なのです。  本当にやらなくてはいけないのは、生徒たちに自分の熱い思いや教育方針を注入することよりも、自分の教室が一つの社会として最低限のルール性を保持できているようにすることです。

—『友だち幻想 ――人と人の〈つながり〉を考える (ちくまプリマー新書)』菅野仁著https://a.co/guYLKv4

これ、「クラスを運営する先生」に限らず、仕事においてチームをリードする社員、マネジメントするマネージャーも同じことが言えると思うのです。

偶然同じ会社・同じチームで働いてるだけであって、出身も育ちも経歴も違うわけなのです。だからリーダーはチームの急成長・急変化が起きるようなことをいきなり目指すのではなく、まずは一つの社会・チームとして機能することに集中すべきなのではないか、と感じました。

ここでいう「チームとして機能する」というのは、チームに与えられた業務を問題なく進め、少なくとも現状維持できている状態をイメージしています。そのうえで、初めて次のステップとして業務を改善したり、「1+1が2以上の価値を生むチーム」になったりすることを目指していけると思うのです。

いま、私がリーダーとして関わっているチームも、発足して2-3ヶ月が経過して、ようやく「チームとして機能する」状態になった気がします。そう考えると、

  • ようやくチームとして付加価値を生み出していけるフェーズにきた

  • 今まではできてなかったけれど、それは決してリーダーとして間違っていたわけではなく、最低限の機能は果たせていたのであり、悲観することではない

というように思えます。

まとめ

僕自身が人との関係や仕事の進め方で悩みストレスを感じる場合の多くが、「どこまでいっても他者でしかなく、自分とは明確に境界があること」を忘れていたり、他人の問題を抱えてしまっているときのように思います。

もっとシンプルにいうと、「他人のこと、他人から見た自分のことを考えすぎ」なのです。本書を通じてそんな自分を俯瞰して観察することができました。


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