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yutoriのゆとらないトークセッションvol.3 『Afterコロナの"リアル"店舗』with JANAICOFFEE 明円卓 ・不純喫茶ドープ 福山俊大

片石:
『Afterコロナの"リアル"店舗』というテーマで、JANAI COFFEEと株式会社kakeru代表の明円さんと、トーキョーギョーザクラブや不純喫茶ドープを手掛ける福山さんにお越しいただいております!早速ですが自己紹介をお願いします!

明円:
明円と申します!8/14にJANAI COFFEEというバーを立ち上げた共同代表になります。表向きはコーヒー屋さんのふりをしていて、ある秘密を解くとバーに行けるというお店です。今は12月まで予約がはいっている状況になってます。

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表向きはコーヒー屋のバー「JANAI COFFEE」@恵比寿

福山:
REAL BBQ株式会社の共同創業者で役員をしている福山と申します。その子会社のwackwack creative株式会社でトーキョーギョーザクラブと不純喫茶ドープという飲食店を運営していて、そこの役員でもあります。トーキョーギョーザクラブは昨年の12月にオープンしまして、日本一メロンソーダが売れる餃子屋で、飲み物全体の注文の40%がメロンソーダで女性に人気なお店です。ビールは10%くらい。不純喫茶ドープは7月29日にオープンして、オープン前日に食品サンプルがTwitterでバズっていろんな方に知ってもらえたという感じです。

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トーキョーギョーザクラブのメロンソーダ

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不純喫茶ドープの食品サンプル

片石:
自分も自己紹介。株式会社yutoriの片石と申しまして、4つのアパレルブランドを運営しています。オフライン周りだと、運営している9090(ナインティナインティ)というブランドのポップアップを直近東京・大阪で開催しました。1000人くらい参加希望応募があって、今後はオフライン周りも強化していきたいなと思ってて、来年あたりに店舗も出したいなと考えてます!

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9090ポップアップストアの様子

明円:
ちなみになんでオフライン強化していこうって思ってるの?

片石:
オンラインだけだとどうしてもお客さんの声や顔がわからないこともあって、企画とお客さんの求めているものに差分が生じてきてしまう。なので、どういうファンがついているのかを実際に見て、お客さんの要望なども引き揚げたいなと思っています。あと純粋にポップアップとかは文化祭感覚になってぼくら側もテンション上がりますね!

明円:
オフラインは最高ですね、お客さんのリアクションの手触り感は何にも変えがたいなって思います!

片石:
そんなオフライン最高な明円さんは、どういう経緯で店舗をつくることになったのですか?

明円:
元々は電通に勤めていてテレビのCMだったりを手がけていたけれど、やっぱりエンドユーザーの顔が見えなかったからオフラインへの憧れはずっとあって。今年の6月末に会社を退職して、オフラインに挑戦してみてる感じです。

独立して様々な業種業界の人たちを繋ぎ合わせるってビジネスをしようとしてて、kakeruという会社を立ち上げました。まずはいろんな人と知り合わなきゃいけないなって思って、人と繋がるための溜まり場をつくろうと思ってバーを作りました。

片石:
JANAI COFFEEのコンセプトとかはどこから着想を得たんですか?

明円:
電通の時の案件で「試着室の奥に本物のポップアップストアがある」っていう空間を企画したことがあって、その制作が凄く楽しくって。仕掛けが小学生の時の憧れような感じの、そういう平和な仕掛けで面白いと思ってくれる人向けに場所作りが出来たらいいなと思って出来ました。けど、JANAI COFFEEに関してはコンセプトがちゃんと伝わるかは不安で不安で...。

片石:
オープン1週間前くらいに相談もらいましたよね。

明円:
絶対うまくいかないって思っちゃってげっそりした顔してました。けど片石くん含めその時に相談したメンバーのひとりのカツセマサヒコさんという方の来店投稿をある漫画家さんが見てJANAI COFFEEに来店してくれて。で、その漫画家さんがバーのことを漫画に描いてくれてそれがバズって予約が埋まったって流れでした。狙ってバズらせるってことは全く出来なかったので、一生懸命積み上げていったらお客さんの元に届きました..。

漫画家ホリプーさんによるJANAI COFFEEのツイート

片石:
友達繋がりでバズるっていう、ビジネスとプライベートが良い感じで混ざっていて美しい循環ですね!

明円:
飲食業界のレジェンドといっても過言じゃない福山さんの話も聞きたいです!

福山:
レジェンドだなんて...むしろわりと飲食やってるって感じは出さずにひっそりやってる方だと思います。最初はREAL BBQを7年前から。芸能人とかはプライベート空間のような場所でBBQをやってるけれど、他の方にもそういう場を提供したいなと思って目をつけたのが中小規模のオフィスビルの屋上。銀座のビルの屋上とか非日常になる空間でのBBQのサービス提供を始めました。

ただ、BBQが開催できる場所も限定されるし、10月末の支払いを終えてから次の4月末までほぼ入金がないので、10月末段階での残高を毎回かなり気にするようになって。他にも飲食事業にトライしたいなっていう気持ちもずっとあったのですが、ちょうどオフィス移転を検討していた時にたまたま良条件の物件を見つけることができて、ほぼノーリスクで飲食にチャレンジできる環境ができたからトーキョーギョーザクラブも始めたって感じです。

片石:
めちゃくちゃ堅実的に展開されてたのですね!餃子が儲かりやすいとかっていうのはあるんですか?

福山:
儲かりやすいとかではなく、BBQもそうなんだけど餃子ってやっぱり男臭いイメージがあって、写真を撮っても肉の塊。そこをカラフルに彩りたいなと思って餃子を選びました。食体験って食材だけで決まるわけじゃなくて、そこの居心地とか空間とかによっても左右されるから、そこを意識してたって感じかな。

明円:
餃子にメロンソーダ?って思いませんでした?

福山:
元々推していたわけでなくて「なんかロゴ入りグラスと緑の相性いいね」ってなって。壁を背景にグラスを撮影するだけで誰でも良い感じに撮ることができる。美味しさをコトバで伝えるって難しいから写真で誰でも美味しそうに撮れるようにして共感を産んでいくようにしたら、自然とバズっていったかな。

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「#トーキョーギョーザクラブ」インスタグラム検索結果

片石:
”男臭いものをユニセックスにしていく”っていう考え方は9090とも似ているところがあって。90年代のストリートって、基本ゴツい・男・不良みたいなイメージがあるのを、インスタを使っているオシャレな女の子が着やすいようにポップに解釈して、それが一気に広まったっていうのはあります。”興味はあるけど男臭くて馴染みがなくて手が出せない”って層へのアプローチは面白いなぁって思ってます。

明円:
福山さん質問です!完全に師匠と化してるのですが..。バズったお店って人来てくれますか?消費されるスピードが早くなって興味持ってもらえるのが年内までくらいなんじゃないかってすごく怖くなって。話題になっても話題にならなくても不安っていう...。

福山:
今は来てくれてますよ!ゆーてうちも1年も経っていませんが..。

片石:
音楽とか服って無限に消費できちゃうけど、飲食だと席数に制限があるから構造的に需要と供給のバランスを保つ構造になっていて、それが死期を遅めるっていうのはあるかもしれないですね。

福山:
バズると本来ターゲットにしていない層に見つかってあーだこーだ言われて現場が混乱してやるべきでない事にも手を出すのがぼくは怖いですね。トーキョーギョーザクラブだと「子供騙しだ」とか、不純喫茶ドープだと「喫茶とはもっと崇高なものだ!」っていう人もいます。

片石:
「バズって困ったことありますか?」っていうのは質問でも来てたのですが、明円さんもありますか?

明円:
バーってお酒を飲むには少し高価格帯な場所。今は学生の方も来てくださるんですが、僕らが大学生の時にチェーン居酒屋しか行ってなかったようにバーがどういう場所かっていうのはあまり伝わってなくて。お酒一杯1000円くらいの値段で出しているので、バーに行き慣れている人からすると「これでいいの?」って方もいるのですが、学生の方とかだと金銭感覚が合わない方が多いかもしれないです。

片石:
ぼくは相当安いなって思いましたけどね!レシピとかもいろいろ混ぜられていたり、場所もいいし、体験的にもしっかりしてるし、総じて安っ!って思いました。

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JANAI COFFEEのバー店内

片石:
けど、そこらへん難しいですよね。抽象化するとどこまでお客さんの要望に答えて、どこまで自分たちのスタンスを貫くか。アパレルも一緒でブランドだと「こういうカルチャーなんだよ」っていう導いていくものだけどそれが先行しすぎちゃうとお客さんは離れちゃうし、要望に応えすぎても飽きられちゃう。

福山さんも、ポリシーみたいなものとかってあるんですか?

福山:
BBQをやる人が減っている中で、週末に都内で非日常空間のBBQ体験の機会を提供するっていう「文化をつくる」とかも大事だなと思ってます。

営利組織で収益上げていかないとなので数字も大事にしつつ、カルチャーも大事にしたいと思ってます。喫茶店とかも衰退してどんどん潰れている中で昭和の良き空気感とか残していきたいって思いがあって喫茶店を居抜きで使って雰囲気は残しつつ今っぽさをミックスしてます。

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不純喫茶ドープの店内

片石:
コンセプチュアルなことと、ビジネスのロジックとしても成立させるっていうのはいいですよね。居抜きだからお金がかからないっていうビジネス視点と、居抜きにして雰囲気残して喫茶店のカルチャーを残していくっていうコンセプトの部分が両立するみたいな。

ちなみに、店舗経営のビジネスとしての難しさってどういうところにありますか?

福山:
固定費の重さはありますね。飲食業の倒産件数はコロナ前の時点で過去最悪って言われていたから、コロナ倒産って言われているけどその前から難しい状況にはなっていて。実店舗もかなり多いので過当競争になっているのと、土地の値段も上がってきていて、払うお金は増えているけど競合が多いから価格下げざるを得ない状況になってきて、かつ外食する人口も減っているので難しい状況ではありますよね。

片石:
どうやって儲けを出していくんですか?

福山:
固定費をいかに変動費化するかってところ。例えばREAL BBQだと、土地代を払うのではなく、レベニューシェアで売上の歩合という形で費用を支払う体制にしたりとか。他は、トーキョーギョーザクラブだと他の人が手をつけないだろうなという土地を選んだり。

片石:
土地の話は難易度は高いけれど、やっぱりコストは低いですもんね。他の人が攻めない部分を攻めるっていうのはyutoriも似てるところがあって。中国系とか韓国系とかのガールズファッションをやっているブランドが多い中、ぼくらだけ古着を展開していて、当時は「なんで古着やってるの?」って突かれることもあって。

けど、古着は絶対にカルチャーとして廃れないなと思ってて、原宿Kawaiiカルチャーが流行った時もありましたが、そういう大きいトレンドは流れが目まぐるしすぎて怖いというか。昔だったらビンテージとかに価値があって珍しいものが欲しいって思想でしたけど、今は古着っぽい雰囲気のファッションをしたいっていう思想になっているから古着はもちろんだし、古着じゃなくても古着っぽい新品でもいいっていうのでオリジナル商品をメインに展開しています。

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9090の古着風オリジナル商品

明円:
JANAI COFFEEは、誰かを誘う時に「ここ知ってる?」っていう風にワクワクしながら誘えるようなお店を作りたかったのですが、ビジネスとして大きくベットするには危険すぎますよね。伝わらなかったらどうするんだっていう。

福山:
不純喫茶ドープもオープン前日に通りがかった人の食品サンプルの写真がバズるっていう予測不能なこともあります。どうバズらせるかとかは難しいですが、来店数に対してのお店に関する投稿数とかは追いかけてたりしてます。

片石:
UGCはバカに出来ないなと思ってて。ポップアップ当選者に招待状を送ったらそれをインスタグラムのストーリーズに多くの方が上げてくれたり、来てくれた方が買った服やスタッフとの写真を上げてくれたりで、結果1週間で8000人程度フォロワーが増えました。元々18万人ほどフォロワーがいたのでそこからの上乗せでこれだけ増えるってすごいなって。既存のお客さんにいかに熱狂してもらって、そのお客さんの熱量をどう伝播させていくかが大事だなと痛感しました。

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ユーザーによる招待状やポップアップ当日の様子の投稿

明円:
あと、思っていたことがあって、トーキョーギョーザクラブも不純喫茶ドープも、店舗単体でビジネスを考えているのではなく、ブランドとして考えているのかなと思ってて。ぼくもJANAI COFFEEをやる時に会社名を株式会社JANAIにして、その時に思ったのが、”JANAI”ってブランドでどう横展開していくかを考えてました。一番熱狂してくれる、”好き”と言ってくれる人に会えるのがオフラインだからまずは自分たちの味方になってくれる人をつくれる店舗かなと思ってて、そこからプラスECとかイベントとかもありかなと考えてます。飲食単体でビジネスやるってあまり現実的じゃないかなって思ってます。

だから『Afterコロナの”リアル”店舗』っていうのを何かなぁって考えた時に、”熱狂的な仲間をつくる装置”かなって思います。

片石:
今この瞬間ぼくらも、zoomで話すよりもこの現場で話しているからこそ盛り上がっているっていうのもありますよね!

福山:
オープン当初のトーキョーギョーザクラブに来てくれてた30-40代の男性客とかも密にコミュニケーション取って大事にしてて。「来ました!」ってツイートに対して、「乾杯!」ってTwitterで返信したり。拡散力とかは女の子の方がすごいなって思いけど、初期の頃に来てくれてた男性ファンの人たちは「ここに来たら誰かしらと会える」っていうので足繁く通ってくれるから大事にしたい。

あと、トーキョーギョーザクラブも不純喫茶ドープも一ブランドとして扱っているっていうのはそうで、ターゲット層が被ってる部分もあるし、そうなると「このレーベルが出してるなら間違いないだろう」っていうファンをつけることもできたり。ただ一方で消費されすぎるのもあれなので休める時は休むのもありかなって思ってます

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ユーザーとのTwitterでのやりとり

片石:
ビジネスだとどうしても不健全なサイクルになりやすかったりもするからいかにそれを自然にやるのかっていうのはぼくも意識してて、1つのブランドのトップラインを上げすぎないとか、どのブランドにも愛を持つだったりとか。

では、、時間も迫ってますので、最後に今後の展開とか聞けたらと思うのですが、どうですか?

明円:
株式会社JANAIとしてJANAI COFFEE以外にも全然違うこともやろうかなと思ってます。JANAI〇〇でオフラインとしてもオンラインでも色々できるかなと思ってます。最初は2店舗目なんて全然考えてなかったですけど。

福山:
年内に2個くらい出せたらなと思ってます。今は店舗が先にあってその後にECとかがあってっていう感じだけれど、場合によっては先に架空のコーヒー屋さんとかをつくってECをやってみて、その後リアルでつくってみるとかもありかなと思ってます。すでに土地を持ってるから、ポップアップストアみたいな感じで一時的に店舗の中身を別ブランドに変更したりしてみるとかもありかなって思ってます。

片石:
ぼくらも展望として来年は店舗を考えてます。表層的な新しさに囚われず、オンラインから始まった自分たちだからこそできるお店っていうのにチャレンジしたいなって思ってます。めっちゃアナログなんだけれど、ぼくらにしか考えられない組み合わせとかを作りたくて、それこそクローゼットの先に常連しか入れない場所があるとか。新しいことではないけど、アパレルの世界では新しさがあったり。

これらに興味ある人いたらゆとらない採用もお願いします!

明円:
ぼくが大学生だったらyutoriに絶対入りたい。

片石:
入ってください!

それでは本日はありがとうございました〜!

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「洋服が好き」という気持ちで、好きな人と好きなことをやっています。