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小説【 dreamers 】6


日が暮れて帰らないわけにいかず英理は帰宅したが「ただいま」を言えないまま2階に上がった。自分の部屋に入った。

着替えていると階下から「おかえり英理」と母の声がする。「ご飯よ」

いつもと同じ声だった。不倫してきて男と寝てきて、いつも通りにできるってどお?

英理は怒りが込み上げる。しかし冷静にならないと。ラブホテルに入ったからと言ってすることをしたとは言えない。カラオケがあると聞く。ゲーム機もあると聞く。出先でただふたりになりたかっただけ。

帰宅までに何度かそう言い聞かせたが無理だった。それならカラオケボックスに行けばいいしゲームセンターに行けばいい。することをするから、したいからのラブホテルで――決まっている。

でもヒステリックにわめいていい方向に行くはずない。

英理は深呼吸してから階段を下りた。洗面所で手を洗いダイニングに行く。席につく。「おかえり」と繰り返す母を直視できず、「うん」とうなずいて「いただきます」と箸を持つ。

今夜は冷しゃぶだった。好きなおかずだが食は進まない。母を見ると次々食べている。テレビを見ながら食べるのがふてぶてしい。いつからだったのか。いつから不倫してたのか。ママはずっと変わらなかった。私やパパをだましてた。

憎しみが湧く。人の気も知らないでよくパクパク食べれんね?

12月29日に電子書籍(AmazonKindle)で発売しました。ぜひ。

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