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小説【 dreamers 】3


中間テストの最終日で英理は放課後、学校の女友達3人と遊びに行った。高校は隣りの市にある。鉄道だと自宅最寄駅から3つの場所で、さらにその隣りが新幹線も通るターミナル駅。無駄に行かないよう学校には言われていたが大きな街で遊ぶのはたいていそこだった。またはそこからさらに電車で5つの海浜エリア。観光地でヤシの樹が並ぶ海岸通りと長いビーチがある。「海中公園」という名の水族館もある。

今日は街を歩いてその時に英理は見た。母の恭子がいた。今まで見たことがないおしゃれ着でひとり、雑踏を颯爽と歩いていた。一瞬気づかなかったが気づいてもともだちには言えず、目をそらして少し歩き、でも気になって振り向くと母の背中は小さくなって、このまま放っといちゃいけないと英理は感じた。スマートフォンを出してからともだちに「あ、ごめん」と声をかけ「母親と約束あったんだ」

「え?」となる友人たちに、

「待ち合わせ。時間過ぎたのに今どこって」

スマートフォンを振って見せた。

「ごめん」と重ねて言って別れた。

放っといちゃいけないと感じたのは今朝の会話があって。

朝食の時に英理は放課後のことを聞かれ、

「テストのあとどうするの? 街に遊び?」

注意されると思った英理は「行かないよ」ととっさに嘘をついた。街に行くのは昨日学校で約束し言いそびれていた。

「そお?」と疑う口調の母に、

「ママは今日どっか行く?」と逆に聞いた。

「せいぜい駅前ぐらいね、買い物に」と言うので、「ふーん」とうなずいて会話を終えた。終わらせるための質問だった。

なのになぜこの街に?

そして見たことがないおしゃれ着。颯爽と歩く姿。別人に見えた。母ではない別の女の人に。


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