あなどりがたし武蔵新城

「武蔵新城ってなんだか、目尻の皺みたいな街ね。」と架空の彼女が言う。

「目尻の皺みたいな街ってどういう意味?」と僕がきく。

「それはお互いもう少し人生経験を積まないと説明も理解も十分にはならない。」と架空の彼女。

武蔵新城。ここではJR南武線「武蔵新城駅」周辺のことを指す。一応南武線の快速停車駅であり、南武線において4つある「武蔵○○」のうちの一駅であり、また、近年、再開発で目覚ましい発展を遂げる街である「武蔵小杉」駅からわずか2駅と言えば、ご存知ない方でもやや便利な街かもしれないくらいは思っていただけるだろう。よくある不動産広告のように、乗り換え・待ち時間を含まず、かつ特急などの利用を考慮すると、電車でのアクセスは、渋谷へ16分、品川へ15分、横浜へ15分というなかなかのものである。ちなみに、ネットで色々調べていると、かの○山雅治さんも、かつてこの武蔵新城周辺に住んでいたという微力な情報をキャッチすることもできた。

さて、そんな武蔵新城。この街を愛してしまった一人としてそのよきところを勝手に宣伝したい。南武線沿線にお住いの人もしくはお勤めの人でなければきっと用もないと思うが、もし、いつか武蔵新城周辺に行く機会があるかもしれない時のために、この広告主のいない広告(レポート)を、頭の片隅に置いて頂ければ幸いである。

それでは、ようやく本題に入る。本日ご紹介させて頂きたい武蔵新城の魅力(と言っている時点で勝手に次回以降も想定している)は、タンタン麺がうまい街という点である。タンタン麺と言うと発祥は中国の四川省になるが、美食家の人はよく「本場は、本物は、違う」と言うが、そんなの関係ないほどに独自進化を遂げたものもある。なので以下に紹介する武蔵新城の店舗は、一般的なタンタン麺とは違う独自進化を遂げた部類のものが看板メニューのお店である。

今日紹介したいのは『元祖ニュータンタンメン本舗 新城店』。この周辺の人にはお馴染みすぎる店だと思う。武蔵新城駅を北口に出て左の方を見ると、店の前のガードレールに身を寄せるようにして行列を確認することができる。この『元祖ニュータンタン麺本舗』は川崎市を中心に約30店舗を展開しており、川崎市民なら、みな一度は行ったことはあるのではないだろうか。そして新城店は、店舗によって味が少しずつ違うことでも知られるニュータンタン麺本舗の中でも、通の間では一番美味であると評判らしい。雑誌「spectator」vol.13の中で、マニタ書房店主のとみさわ昭仁さんがこの新城店に何度か足を運んでいるという情報とともに紹介されていた。

ここのタンタン麺は、唐辛子と溶き卵と挽き肉とニンニクをふんだんに使っているためか、元気が出るというよりやみつきになる感覚に近い。有機野菜を使ったとか、そんな類の健康的なものではないのだが、時々会わずにはいられない感じがある。若い頃、ヤンキーが女の子にモテることに疑問を抱いていたが、ここのタンタン麺が食べたくなることと、本質的に似ている部分があるかもしれない。デフォルトではチャーシューなども入っていないため、トッピングを頼む人が多い。辛さも選べるため、常連ともなると、もうさも当たり前かのように「卵と挽き肉とニンニクをダブルにしつつ、大辛で」などと、涼しい顔してインパクトのある注文をしている。まあそんな風にみんな自分なりのこだわりを持っているようだ。平日は深夜3時まで営業しているので、お酒を飲んで腹八分で終電で帰ったあとなどは必ず、残りの腹二分に対して、いつぞや食べたここのタンタン麺の記憶が、自動レコメンドして来るのだ。

と、文章を書いていたら自動レコメンド機能が発動したようだ。

武蔵新城にお立ち寄りの際はぜひここのタンタン麺を、まずはノーマルで食べてみてほしい。

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