見出し画像

【つくること】 第2回超映画総合研究所”志田ゼミ” DAY2(2023.12.1)レポート

今回推薦された作品は4作。2023年11月17日(金)のDAY1から二週間。
ギャラリーも増え、いよいよ志田さんとプレゼンター、ギャラリーとの熱い感想交換会です!
それぞれが感じる映画への魅力、思い、そして比較、批判。
かなり個性派作品が集結したこの第二期。DAY2もなかなかに盛り上がりました!😜

プレゼン作品『ドライヴ』(2011)
ニコラス・ウィンディング・レフン監督、ライアン・ゴズリング主演による2011年のヒット作。これはさすがにリアルタイムで観ている方も多く、感想挙手最多作品となりました。かたやスタイリッシュな映像と80sリバイバルへの賛辞、かたや都市郊外が舞台という、日本映画でよく見るマイルドヤンキーストーリーみたいと、賛否意見が飛び交い会場は序盤からヒートアップ。
一方、プレゼン時に注目ポイントとして紹介された"握手シーン"にはやっぱりニヤリとなった、と確認報告があったりと、ゼミならではのフィードバックも。また、あのまま彼女とぼうやと楽しく幸せでいられたら良かったのに...といった感情移入的な感想や、ラストシーンからは『タクシー・ドライバー』を想起させられた、とか、デヴィッド・リンチ監督の『ブルー・ベルベット』のような静寂のバイオレンス感がある、などといった比較考察も出てきて、さすが感想と印象すらまったく一筋縄にはいかない作品であることが、改めて証明されました。

プレゼン作品『ヤクザと家族 The Family』(2021)
こちらも感想挙手が多かった作品。プレゼンでは"推し"を楽しむ作品として紹介されましたが、感想はやはり作品論に特化。とにかく家族というものにこだわるとロクなことはない、家族の物語イコール崩壊の物語、といったそもそも論から、面白いドラマだからこそ細部が甘く、それはないだろう、展開があり得ない、といった詰めの足りなさへの指摘。さらには、藤井道人監督自身が果たして社会派監督として成立しているのか?といった疑問など、中身が中身だけに、白熱の感想が飛び交いました。
しかし面白いのは、ラストに若い二人が再び歩き出すというシーン、あれはとても良かった、と誰もが付け加えていてとても印象深かったです。結局そこにも家族の絆が潜んでいて、ヤクザ映画と思いきや、実は家族というパーソナルなテーマが溢れている、深い深い人間ドラマなのであったと。そして、だからこそ"推し映画"という枠に入りきらない、熱い感想たちでいっぱいになったのだなと再認識いたしました。

プレゼン作品『ミニー&モスコウィッツ』(1971)
なかなか観れない作品だけに、本作の感想挙手はお二人(それでも二人も!)。お一人はプレゼンターがDAY1時に持参した貴重なDVDを借りて観たという、まさにゼミ代表として観ていただいた方。もうお一方はなんとYouTubeの日本語字幕無し版を観てこられたとのこと。しかし残念ながらジョン・カサヴェテス作品はほぼ会話劇なので、喧嘩するシーンで見せる男の弱さなどには特別なリアリティーを感じたりはしたが、セリフが続くといまいち内容が理解出来なかったと。それよりそれでも鑑賞されたその意識の高さには感服でございました。
で、DVDで観られた方(女性です)の感想ですが、開口一番、主演のジーナ・ローランズがめちゃくちゃ美人でオシャレで素敵!それに比べて周りに群がるあの男たちのクズっぷりたるや!と力説。女性をいきなり殴ったりするどうしようもない男や、自分の話ばかりする勝手極まりない男など、ろくでなし野郎のオンパレードにかなり困惑されたのでは。そこをフォローすべく、改めてその個性が監督のブランドカラーであることを説明いたしました。まぁ確かにはじめて観るカサヴェテスが本作とは、刺激度かなり高かったのではと思われます。

プレゼン作品『正しい日 間違えた日』(2015)
そういう意味ではこちらもかなりの個性派作家性炸裂な監督作品。なのであまり反応はないかもしれないなと思いきや、女性陣からかなりの感想挙手。延々と続く会話の内容がとにかく気持ち悪いといった複数意見がありながら、二部作の後半を観てみると、そちらの方はそうは思えずすんなり入ってきた、という不思議な感想も。あるいはホン・サンスという監督自身に興味が沸いた、それぐらい今まで観たことがない映画作品だったので面白かったという好意的意見も。
タイトルの"正しい" "間違い" の比較論に発展するのではと想像していましたが、むしろ二部作双方の中身を吟味されていたことが逆に新鮮でした。
男性目線による感想も面白く、人との出会いのタイミングや、会話が始まるタイミングなど、一瞬のズレだけでまったく異なる展開になっていくと、そのような見解もあり、なかなか面白い捉え方だなとも感じました。確かにそのズレによるパターンを二つ程度描いたに過ぎないのかもしれませんし。あとは、ホン・サンスの十八番である"謎zoom"。なんなんだとハッとさせられるあの技法、今後彼の作品を観ていくことになれば、あの"謎zoom"にはかなりの中毒性があるということがわかるのではないでしょうか。再び"謎zoom"を体験した際、ニヤリとしてしまったら、それはもう完全にホン・サンス監督の虜ということでしょう。

というわけで超映画総合研究所 第二期志田ゼミ無事終幕となりました。そのあとの恒例駅前打ち上げ呑み会もさらに盛り上がりましたね🥂
今回、DAY1には参加出来なかったけれど、情報をゲットして事前鑑賞してこられた方々も多々いらしたことは嬉しかったですね。あとはせっかくプレゼンを聞いて面白そう!と思っても、配信もなければDVDも廃盤。これじゃゼミが成立しないじゃないか、と。しかしこれは主催側のミステイクですね。事前に確認してちゃんと観れる作品をプレゼンター側と握らねばいけませんでした。反省いたします。
さて、そんなわけでどんどん参加ゼミ生も増えつつある超映研。次回第三期が、はやばや年明けの2024年1月19日にDAY1開催が決定!またまた是非ともご参加いただきますよう、何卒お願い申し上げます!🙆‍♂️