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今どきの若者はネットワークビジネスを「おもしろくない」と思う理由

さて、私もいろいろな仕事をしていて、色々な人とのつながありがあるので、「ネットワークビジネス」のお誘いはしょっちゅう受ける。

先日も、昔お世話になった方から連絡でどうしても会いたいというので無理に1時間だけ電話でお話ししたのだが、案の定これであった。

まあ、仕組み自体は何かを売るというものではなく少し新しかったので一通り聞いて(最近はこういうのもありなんやなー、ふむふむ)心の中であくびもしながら「次の会議があるので、、、」と電話を切った。

一方、そこで向こうが何度も「これは勝てる仕組みですよ!!」などというのが何となく気になった。

そして、こういう仕組みである限り、おそらくこのビジネスは廃れていく、若者が大して興味を示さなくなるだろうと考えた。

それはネットワークビジネスの構造に起因している。

まあ、階層の上にある人は儲かる。そして、その階層の人たちは、他のチームに負けないように多くの人を集めようとする。下がたくさん増えると当然売り上げが上がるからだ。しかし、これはこれで問題がある。何しろ、上の人間は誰だかわからないし、階層が下に行けば行くほど劣化する可能性もある。

階層型の組織というのは、下記のリンクにあるようにわかりやすいものではあるが、硬直化を招く。勝つ!ためにはある程度固い組織が必要で、そして、上位の指令に下位が従うということが前提であるが、今の若い人はこれを嫌う。(この辺が今の政党が若い人に浸透できていないところにも似ているような気がする)

例えば、体育会のような組織においても、上級生が絶対ということではなく、一人一人がどう思ってどう主体的に動くか。その中で、上級生下級生含めて、それぞれがどのような自分の特徴を活かしていくか、ということの方が大切になり、それがチームとして有機的に絡み合い、組織のパフォーマンスとして発揮されることの方が大切だといわれ始めている(少し系統は違うといわれそうだがラグビーなどはもともとそういう哲学を含んでいる)。私も最近は少なくなったが大学に稽古に行くと学生の部活の運営方法がこのように変わっていることを目の当たりにする。

また一方、能力を切磋琢磨させるために個人個人が頑張って、競争しあって、ノルマを達成してみんなから褒められる、というようなオープンハウスみたいな会社ももはや時流ではなくなっていくだろう。当のオープンハウスはいけしゃーしゃーとこんな記事を書いているが、平均で3年で辞める会社なのだが。

保険や証券や不動産もそのうち新しい時代になるだろう。

では、これからどのような組織が必要になるのだろうか。

先ほど触れたような、『それぞれがどのような自分の特徴を活かしていくか、ということを自律的に自主的に考え、それがチームとして有機的に絡み合い、組織のパフォーマンスとして発揮される』こと、そしてそれを可能にするマネージャーの存在がこれから必要になるだろう。これはネットワークビジネスではできない。なぜかというとそんなマネージャーになるような人がいないからであるし、補完しあって組織を運営しようということも成り立ちにくい制度になっているからである。

2018年、マーケティング学会でこのような研究をされている人がいた。

内容はというと、高級クラブのビジネスモデルが衰退しつつある銀座において、『高級クラブであっても、近年では「着飾った女の子が上客を求めてしのぎを削りあう」ということではなく、「たとえば昼間時間がある女の子がLINEでの集客を頑張り、トークがうまい子が実際に接客をしっかり行うなどお互い協力しあってお客様にアプローチし、店としての売り上げが上がるよう頑張る」というクラブの方が若い働き手も増え、また店の運営もうまくいくということを数々のクラブへのヒアリングから導き出した(ちなみにこれを可能にするのはママさんの手腕が高くないとできないことも書いてあった)』という素晴らしいフィールドリサーチである。ここ近年でこれ以上の興味深いフィールドリサーチにあったことはない。

一方でホラクラシーという組織の考え方もあるが、これではおそらく「強いモチベーションを持った営業推進」がなかなかできないという弱点がある。数字を追い求める以上必ず責任とそれに伴う評価が存在する。が、このようなノルマとか数字とかはここ最近なかなか若い人から敬遠される風潮である。おそらく、ネットワークビジネスのような運営組織はこれからどんどん崩壊していくだろう。

しかし、マルチなどはおそらく後を絶たない。どういう変化をしていくかは注視する必要はあると思う。最大の防御は、デマや一面的な情報などに騙されない、多面的な分析をできるように一人一人が気を付けることなのだが。

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