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電話に誰もでんわ(電話恐怖症を克服した話)


小島さんさんのメルマガを拝読していて私が日本の会社で働き始めた時のことを思い出しました。


新卒の年齢ではなかったのですが、「中国にいただけのなんもわからん奴」という扱いで、1番最初に任された仕事は部署にかかってきた電話を全て取る、でした。

今でも思い出すと冷や汗かくような体験をたくさんしました。部署柄、国内だと福井や広島から至る所から、海外だと韓国、アメリカ、パキスタン、インド、中国からとにかくガンガンかかってきます。特に電話で苦労したのは、福井とパキスタンからの電話です。

福井の人が喋る会社名や人名すら聞き取れず、相手先不明のまま電話を先輩に回したら「ちゃんと相手の名前聞かんかいボケ!」とこっぴどく怒られました。

*新社会人になったばかりの多くの人が、受けた電話の相手の会社名や人名を聞き取れず冷や汗かいたという経験があると思います。

パキスタンからの電話はいつも時間帯が決まってて、午後4時以降(現地時間12:00)。当時交換手を通じて国際電話がかかってきましたが、流暢で綺麗な英語を喋る交換手の女性が一旦繋ぐとアラブのウンドゥラウンドゥラみたいな音楽が延々と流れてきて2、3分待った後にやっと相手に繋がるという感じです。

電話に出るなり相手が「アロォ?Who are you?」と来たのでずっこけました(笑)いや、あなたがかけてきたのに誰やってこっちのセリフやとw

韓国のエージェントからの電話も結構苦手でした。英語力は断然あちら側が上なのですが、とにかく韓国語訛りの強い英語に最初はかなり戸惑いました。で、毎回電話をかけてくる度に「ケニーさん、ディスイズベリィアジェントケス!!」(This is very urgent case.)と語気を荒げるので、こちらも何度も冷や汗かきました。(毎回緊急や!と言うのでお前ら緊急じゃない時って逆にあるんか!と思ってましたw)

とはいえ、そんな感じで半年間電話に出続けてると福井弁にも慣れ、ものすごい喧嘩腰のアメリカ人や、パキスタン英語にも慣れてくるから不思議なもんです。(私の英語力は全然上がりませんでしたが笑)

当時Windowsフォン的なものが出てきたばかりで、スマホで無料電話とかチャットのやり取り(台湾、香港、大陸ではMSN messengerが普通に使われてて便利でした)とかがなかったので、海外との連絡手段はメール以外に電話とファックスが多かったです。

*そもそも私が東莞で働いてる時MSN Messengerを使ったビジネスコミュニケーションが普通だったし、図面やPOなどのやりとりはメールでやってました。なので、電話やFAXがいまだに全盛期だった日本の会社を見て「え?どっちが途上国なんだい??」と戸惑ったのは今でも鮮明に覚えてます。ちなみに2003年の話です。)

私自身極度の電話嫌いなので、あの半年間はほんとに地獄でしたが、今思えばいい経験だったなと思います。

ただ、電話は本当に非効率に感じるので、普段私が一緒にビジネスしてる方々もそうですが緊急時やお互いの行き違いがあった時、相手のレスポンスが遅い時以外は基本チャットツールでのやり取りがメインです。

なので、電話を主要コミュニケーションツールとしている人とは、基本一緒に仕事をしたり、商売しないようにしています。彼らの多くが「時間泥棒」だからです。電話でなくても良い件でも電話してくると、こちらは電話に全集中力を持っていかれます。その間他の作業が出来なくなります。これは本当に困ります。

信じられないのがいまだにメールを送ってきた後、「今メールしたので、読んでから返事して」とか「メールの件だけど、どう思う?どうしたらいい?」と電話をかけてくる人がいるということです。

あと、中国で生活していると必ずぶつかる問題がWechatの「ボイスメッセージ」送りつけ野郎です。文字を入力するのを面倒くさがり、1分を超えるボイスメッセージを送りつけてくる輩です。メールとは違うとはいえども、文字に残らない形で、しかもそれを聴き終わるまで他の作業が出来なくなるというこれまた時間泥棒の良い例です。(私の義母は5分超えの音声をいくつも妻に送ってくるので、妻はいつもため息をつきながら延々と聞いていますw)

もちろん、現在ボイスメッセージを文字に変換するという機能が追加され便利になりましたが、一度文字変換したボイスメッセージをまた見ようと思うとまた一から変換するという作業が生まれます。そのためわざわざ文字に変換後スマホでスクショを撮るという無駄な作業が増え、後で見返すときにスマの写真の中から探すのも面倒極まりないです。

私も駐在員時代、多くの部下を見てきましたが、中国の今時の若者は電話を受けるという経験値が限りなくない為、部署で鳴る電話に全て出ろ的なことをやらせると嫌になって1週間も経たずに会社をやめるという光景を見てきました。今のZ世代は日中に限らず本質を見抜く力が鋭く、なんでこんな無駄なことやるんだ?と考えて馬鹿らしくなって辞めちゃうんですよね。

ということでふと急に昔の会社員なりたての時代を思い出したので、振り返ってみました。それでは次の記事でお会いしましょう。


ゼェーウェー(上海語でさようなら)

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