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戦略の立て方 001  〜 検討フレーム編

戦略検討の枠組みを、最もポピュラーな3C分析とSWOT分析のフレームを使って解説します。
 
3C分析もSWOT分析も見聞きしたことがある方は多いと思います。でも、それを使って戦略を導出したことはほぼ皆無なのではないでしょうか。ツールの選び方も大事ですが、使い方がさらに大事だからです。
 
本稿(「戦略の立て方」)では、わたし自身がクライアント社員と一緒に、実際に戦略検討した使い方についてご紹介します。

(1)3C分析

3Cは、お客さん(Customer)、競争相手(Competitor)、自分の会社(Company)のそれぞれの頭文字(C)を採ったものです。
 
3C分析では、お客さん(Customer)が物事の判定者、審判です*1。
 
お客さん(Customer)が、競争相手(Competitor)のモノよりも、自分の会社(Company)のモノを高く評価して、選んでくれることを考えます(製品やサービスを総称してモノと書くことにします)。

(2)3C&SW

以下の3つのことを考えます。
 
①     お客さん(Customer)が自分の会社(Company)のモノを選ぶ決め手
②     お客さん(Customer)が競争相手(Competitor)のモノを選ぶ決め手
③     自分の会社(Company)のモノを選ぶことが多いのはどんなお客さん(Customer)なのか
 
この3つをそれぞれ、
 
①     自社の強み(Strength)*2
②     自社の弱み(Weakness)
③     自社のターゲット顧客*1
 
と捉えます*3・4。

(3)3C/SWOT分析

次に、世の中は変化していることを考慮に入れます。
 
世の中の変化を「お客さん(Customer)がモノを選ぶときの決め手」の変化と捉えます*1。つまり、世の中に何か変化が起こることが予想されたとき、それが「お客さん(Customer)がモノを選ぶときの決め手」にどんな影響を与えるかを見極めることが大事になります。
 
お客さん(Customer)が自分の会社(Company)のモノを選ぶ決め手がより強くなる変化が、自社にとっての機会(Opportunities)です。結果的に、自分の会社(Company)のモノを選ぶお客さん(Customer)が増えます。自社のターゲットが大きくなる、俗に言う「時代が追いついてくる」ことになるわけです。
 
反対に、競争相手(Competitor)のモノを選ぶ決め手がより強くなる変化(結果的に競争相手(Competitor)のモノを選ぶお客さんが増える)を自社にとっての驚異(Threat)と捉えます。

(4)打ち手の方向

これで打ち手を考える道具が揃いました。
 
ここから以下の4組の整合度合いの変化を考えます。自分達がやるべきことの方向性が見えてきます。
 
①     自社の強み(Strength)と機会(Opportunities)= 強みがより活きる
②     自社の強み(Strength)と脅威(Threat)= 強みが薄まる
③     自社の弱み(Weakness)と機会(Opportunities)= 弱みが薄まる
④     自社の弱み(Weakness)と脅威(Threat)= 弱みがより強調され不利になる

検討すべき打ち手の方向は、例えば以下のようになります(個別の状況によってこれ以外にもたくさんある)。
 
①     自社の強み(Strength)を先鋭化(より独自性を高める)
②     脅威(Threat)の悪影響をかわす(強みを守る)、
自社の強み(Strength)の活かし方を見直す、など
③     競争相手(Competitor)のターゲット客を奪う
④     アプローチする顧客セグメントを変える、根本的に考え直す、など
 

注釈(経営学の専門家向け)
 
*1: 顧客中心のマーケティング(Marketing 2.0)を前提に書いているので、判断の根拠を顧客による評価に置いています。21世紀に入った現在は、Marketing 3.0 (人間中心のマーケティング)で考える必要がありますが、Marketing 2.0 は(Marketing 1.0製品中心マーケティングも)Marketing 3.0 の基礎、つまり必須の前提になります。本稿の内容(2.0)は引き続き必要な検討事項です。なお、Marketing 3.0 に対応した理論は2024年現在未だ十分に整理されてはいません。わたしも本稿(2.0)のようなコンパクトな説明はまだできません。詳細編の各論の中で 3.0 にも言及していく予定です。
 
*2: 自社の強み(Strength)の根本にあるものを「競争力の源泉」と呼びます。
 
*3: 自分の会社(Company)は競争相手(Comeptitor)とお互いの強み(StrengthとWeakness)を競い合っています。これを「競争構造」と呼び、その構造のなかでの自分の会社の立ち位置を「戦略ポジション」と呼びます。ターゲットとその前提にあるセグメンテーションと併せてMarketing 2.0 の主要3要素(STP: Segmentation, Targeting, Positining)が揃います。

*4: 競争相手(Competitor)には、同業他社(Rival)のほかに代替品(Alternatives)や新規参入(New Entry)を含めて考えることができます。これでM・ポーター先生の Five Forces Model の5つのうちの4つをカバーしていることになります。

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