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34℃

Aクリニックの入口で、
「ピピピピッ」
警戒音が鳴る。

ありゃ、またか。
非接触型体温計の前に立つと鳴ることがある。
34.8℃だったか、まるで猛暑日の気温のようである。

低体温症

体温が35℃以下になるとどうなるか。私の場合はひどい頭痛、怠さ、手の震え、身体の震え、突発的に足が攣るなどがある。椅子に座っていられないので、すぐ横になりたくなる。
体温がまずいほど低いと自覚したのは6年ほど前、2018年の冬ごろで、若いころから低い傾向があったが、35℃を下回るようになった。
プレ更年期の症状かと思ったが、体温計は古くなると正しく検温できなくなると聞いて、クリニックで販売されていた体温計を購入した。その体温計でも間違いなく、体温が低くなったことを示していた。

そのころはホットヨガに通っていて、頭痛と眩暈でかえって不調になるので不安に感じることがあった。
私はまだ低体温への危機感が薄く、ふだんの不調と低体温をはっきり結びつけてはいなかったが、冬のホットヨガは特に終わった後、急速に身体が冷えるのが気になり、退会することにした。

温活

本格的に温活を始めることにした。
季節問わず白湯を飲み、カフェインを減らし、自宅でヨガもどきをやり、散歩に出るときは首を冷やさないようにした。デスクの足元にはフットウォーマーを置き、入浴は入浴剤を使うようにした。
結論から言うと、上記のような温活を4年近く続けたが、行動をちょっと変えるくらいでは、低体温から脱することはできなかった。
そのうちホットフラッシュが始まった。
カーッと身体から蒸気を噴くような感じで、背中や腰がぐっしょりとなるので着替えることもある。
一日に何度も、ひどいときは一時間に何度もある。幸いリモートワークなので、日中にシャワーを浴びることもあった。

ホットフラッシュは低体温の人ほどツライと聞く。
クリニックでホルモン補充療法を提案され、人工的に作ったエストロゲンを含む「エストロゲン製剤」を使うことにした。
貼り薬、ジェル状の塗り薬、のみ薬の3つがあるが、私は貼り薬にした。
貼り薬は下腹部に貼るタイプで、週に2回交換する。
始める前に乳がん検診を受けた。久しぶりだったのと、先生から勧められたからである。
喫煙や肥満がある人は血栓症のリスクが高いことも説明された。
これは最初の一ヶ月がキツかった。
ホットフラッシュは少し改善されたが、食欲不振や気分の悪さがあった。

運動不足も影響しているそうなので、去年の夏からスポーツジムに通い始めた。週2,3回プールで40分から1時間泳ぐようにした。
元々泳ぐのは好きだったのと、若いころ6年あまりプールで泳いでいたこともあり、なかなか楽しい。

泳いでいるときにホットフラッシュが起きても、水の中だとだいぶ楽である。
ところが通い始めて3ヶ月目のころ、泳いだ後に気分が悪くなり、気を失って倒れるという事件が起きた。
危うく救急車で搬送されるところだったが、その日はタクシーで帰宅して、翌日Bクリニックへ行った。

Bクリニックでは、先生に診察を受ける前に問診があった。
そこで35℃しかない体温を心配され、詳しく話をすることになった。
ふだんの生活や食事、運動、仕事スタイル。市販薬や漢方薬に頼ったときの状況などである。
特に食事は詳しく聞かれた。
そのとき報告した食事内容は以下のようなものである。

<ある日の食事>
朝:ブロッコリー、リンゴ1/2、納豆、ナッツ(くるみ、カシューナッツ、アーモンド)約300グラム
昼:コーヒー、プロテイン、ナッツ(くるみ、カシューナッツ、アーモンド)約400グラム
夜:ブロッコリー、プロテイン、カカオ86%チョコ、ナッツ少々

毎日ほぼこんな感じだった。野菜がキュウリになったりセロリになったり、プロテインが豆乳やカロリーメイトになることはあっても、変化はない。
たまに健康を意識して、お弁当を食べたりトマトジュースを飲んだが、基本食べるのが面倒に感じるので、クラッカーとナッツだけ一ヶ月食べ続けるということもあった。
ナッツは700グラム入りの袋を一日で食べ尽くすので、明らかに脂質とカロリーオーバーである。

倒れた理由は明らかに食事が原因だったのである。
ジムのスタッフさん、ご迷惑をおかけしてすみません!!

Bクリニックの検査結果でも栄養不良を指摘されたが、一方、中性脂肪は恐ろしい数値を叩き出していた。
先生にも本気で言われたので、問答無用で食事改善が始まった。

<改善された食事>
朝:キノコ3種の味噌汁。味噌はうすーく、だしで出来るだけ食べる。主食はオートミール30グラムか玄米ともち麦で作ったおにぎり120グラム。焼き魚一切れか納豆1パック。酢を使った料理を添えて。もずく1パック。
昼:野菜スープ、主食はオートミール30グラムか玄米ともち麦で作ったおにぎり120グラム。タンパク質は肉か魚。食欲がないときは豆腐を1/2丁
夜:野菜スープ、主食はオートミール30グラムか玄米ともち麦で作ったおにぎり120グラム。タンパク質は大豆か魚。

<自分で意識したこと>
・三日続けて同じメニューにしない。偏り防止。但し朝は同じでもOK
・タンパク質をとる。卵が苦手なので、野菜炒めに混ぜる
・もずくは納豆に混ぜて、辛子や調味だしは使わない
・カロリーは意識せず、毎日食べる
・野菜は様々な種類をとる。冷凍野菜を冷凍庫にストックする
・ナッツは食べないが、おやつはOK
・コーヒーは一日1,2杯まで。

最初の2か月で4キロ体重が減って、体温は35℃半ばを超えるようになった。調子の良いときは36℃になった。
食事改善をはじめて1か月経ったころ、ホルモン補充治療の貼り薬がなくなったので、貼るのを止めた。
ホットフラッシュも起きていない。
ただ、ご飯をサボると体温が下がる。
先週1週間ほど忙しくてクラッカーに戻ったのだが、軽いホットフラッシュがあった。
あわわ、となって慌てて食事を整えた。
運動はサボってもご飯はサボらない。
これが大事なと今は本当に思っている。


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