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肩関節脱臼後の烏口突起移行術、3ヶ月経過して自転車を立ち漕ぎすると痛い

はい!こんちわKATZです!

今日のテーマは「肩関節の烏口突起移行術、3ヶ月経過、自転車を立ち漕ぎすると痛い」

YouTubeチャンネルの方にコメントが寄せられました。

中3です。 烏口突起移行術をして3ヶ月経ちました。1週間ほど前から立ち漕ぎで力を篭める時、腕で動かす時に痛みを感じます。どこが痛いかは分からず、中が痛い?ような感じがします。これは何故でしょう

これについて解説をしていきます。



目次

結論 いくつかの要因を整理整頓

烏口突起移行術まとめ

自転車の立ち漕ぎの話

3ヶ月経過での一般的進捗

まとめ




結論 いくつかの要因を整理整頓


「肩の中が痛い」という言葉はリハビリの現場でもよく患者さんがいう言葉です。以下にその要因をいくつか列挙してみます。

### 1. 内部構造の炎症または損傷


- **手術部位の炎症**:手術による介入が原因で、手術部位やその周辺の組織に炎症が生じている可能性があります。これは手術後の一般的な反応ですが、過度に痛みが強い場合は注意が必要です。

- **回旋筋腱板の問題**:Bristow手術は肩関節の安定化を目的としていますが、手術後に回旋筋腱板にストレスがかかり、炎症や微小な損傷が生じることがあります。


### 2. 拘縮や癒着


- **関節内の癒着**:手術後に肩関節内で癒着が発生し、動きが制限されることで痛みが生じることがあります。

- **関節包の硬化**:手術や炎症の結果、関節包が硬くなり、肩関節の動きが制限され、内部で痛みを感じることがあります。


### 3. 神経の圧迫または刺激


- **神経組織の刺激**:手術時や手術後の炎症により、肩周辺の神経組織が圧迫または刺激され、痛みを引き起こす可能性があります。


### 4. リハビリの過度な負荷


- **リハビリによる過負荷**:リハビリ運動が早すぎるか、強度が高すぎる場合、手術した肩に過度な負荷がかかり、痛みを感じる原因となることがあります。


### 5. 感染症


- **手術部位の感染**:非常にまれですが、手術部位が感染すると、痛みや腫れ、発熱などの症状が現れる場合があります。


これらの症状が現れた場合は、適切な診断と治療のために、医師に相談することが重要です。痛みの原因を特定し、必要な場合はリハビリプログラムの調整や追加的な治療を検討する必要があります。

上記を踏まえて、自転車の立ち漕ぎと痛みについて理解しつつ、一緒に考えていきましょう。


烏口突起術まとめ


まず烏口突起術についてまとめていきましょう。

烏口突起移行術(Bristow法、Latarjet法)は、肩関節脱臼や不安定性を治療するための手術方法の一つです。この手術は、特に繰り返し肩が脱臼する人や、肩の安定性を高める必要があるアスリートなどに推奨されることがあります。以下、この手術について一般の方々にも理解しやすいようにまとめてみます。


### 肩関節とは

肩関節は体で最も動きが大きい関節の一つで、上腕骨(腕の骨)、肩甲骨、鎖骨が合わさって構成されています。この関節の動きや安定性は、多くの筋肉、靭帯、腱によって支えられています。しかし、この複雑な構造が原因で、肩は脱臼しやすい部位の一つでもあります。


### 烏口突起移行術とは

烏口突起移行術は、肩関節の不安定性や繰り返しの脱臼に対処するために行われる手術です。この手術の目的は、肩の安定性を向上させることにあります。


手術では、肩甲骨の一部である烏口突起(小さな骨の突起)を、肩関節の前面に移動させて固定します。これにより、肩関節が前方に脱臼するのを防ぐ助けになります。また、移動させた烏口突起は、肩の前方に新しい障壁を作り出し、肩関節の安定性を高める役割を果たします。


### 手術の適応

烏口突起移行術は、以下のような状況で考えられることがあります。

- 繰り返し肩が脱臼する患者さん

- 保守的治療(理学療法や装具の使用など)で改善が見られない場合

- アスリートで、肩の安定性を高める必要がある場合


### 手術後の回復

手術後は、一定期間の安静が必要になります。また、肩の動きや強度を徐々に回復させるために、理学療法士の指導のもとでリハビリテーションが行われます。完全な回復には数ヶ月を要することが多く、患者さんの状態やリハビリテーションの進行具合によって異なります。


### 結論

烏口突起移行術は、肩関節の脱臼や不安定性に対して効果的な手術方法の一つです。この手術により、肩の安定性が向上し、日常生活やスポーツ活動への復帰が期待できます。しかし、手術にはリスクも伴うため、手術を受けるかどうかは、医師との十分な相談のもとで決定することが重要です。

実際のオペのイメージ動画はYouTubeの方でも紹介したいと思います。




自転車の立ち漕ぎの話



自転車の漕ぎ方には主にシッティング(座って漕ぐ)とスタンディング(立って漕ぐ)の二つがあります。これらのスタイルは体の使い方が異なり、それに伴い肩関節に及ぼす影響も変わります。以下に、肩関節の動き(屈曲・伸展・外転・内転・外旋・内旋)について、シッティングとスタンディング時の影響をまとめます。


### シッティング(座って漕ぐ)


- **屈曲(Flexion)**:シッティングポジションでは、上体が前傾しているため、肩は比較的静止状態に近いですが、ハンドルを握る動作でわずかに屈曲の動きがあります。これはバイクの形状・タイプによって異なります。すなわちママチャリとクロスバイク、ロードバイクではそれぞれ異なるということになります。

- **伸展(Extension)**:シッティングポジションでは、伸展の動きはほとんど発生しません。

- **外転(Abduction)**:肩の外転は限定的です。ハンドルを握る位置によっては、腕をわずかに外側に移動させることがありますが、この動きは最小限です。

- **内転(Adduction)**:内転の動きも最小限で、ハンドルを握るための腕の位置調整に関連します。

- **外旋(External Rotation)**:肩の外旋は、ハンドルを握る際の腕の自然な位置により発生しますが、その範囲は限られています。

- **内旋(Internal Rotation)**:内旋も外旋同様、ハンドルを握る際の腕の位置に依存しますが、動きは限定的です。


### スタンディング(立って漕ぐ)


- **屈曲(Flexion)**:スタンディングポジションでは、体を前後に動かす際に肩を使うため、屈曲の動きがより顕著になります。

- **伸展(Extension)**:体を後ろに引く動作で、肩の伸展が発生します。これにより、肩関節の運動範囲が広がります。

- **外転(Abduction)**:立って漕ぐ動作は、特に坂を上る時など、肩をより活発に使います。これにより、肩の外転の動きが増加します。

- **内転(Adduction)**:体をハンドルに寄せる動作で内転の動きがあります。力を込めて漕ぐ際により明確になります。

- **外旋(External Rotation)**:スタンディング時には、ハンドルをしっかりと握り、体を左右に動かす際に肩の外旋がより顕著になる場合があります。

- **内旋(Internal Rotation)**:ハンドルを握りながら体を左右に動かす動作で、内旋の動きも発生します。この動きはシッティング時よりもスタンディング時の方が顕著です。


シッティングとスタンディングでは、体の重心の移動や力のかけ方が異なるため、肩関節に及ぼす影響も変わります。シッティングでは比較的静的な肩の使い方が多いのに対し、スタンディングではよりダイナミックで幅広い動きが求められます。これにより、異なる筋肉群が活動し、関節の可動域も変化します。

これらのことから、いわゆる立ち漕ぎであれば肩の可動域と支持性(安定性)において影響を受けるということを頭に入れておきましょう。


3ヶ月経過での一般的な進捗



Bristow手術は、肩関節の前方脱臼または不安定性を治療するための手術の一つです。この手術では、肩の安定性を高めるために、関節唇の修復や骨片の移植を行います。術後のリハビリは患者の回復速度や手術の複雑さによって異なりますが、3ヶ月経過時点での一般的なリハビリの進捗について説明します。


### 初期段階(術後直後~1ヶ月)


- **保護期間**:手術直後は、肩を安定させるためにスリングや固定装置を使用します。この期間は、過度の動きを避け、手術部位の癒合を優先します。

- **軽度の運動**:痛みと腫れが許す範囲で、手指や肘の軽度の運動を開始し、関節の拘縮を防ぎます。


### 中期段階(1~3ヶ月)


- **可動域の拡大**:痛みが軽減し、組織が癒合してきたら、徐々に肩の可動域を拡大する運動を開始します。初期はアシスト運動から始め、徐々に自力で行うアクティブな運動へと移行します。

- **筋力トレーニング**:安定した可動域が確保できたら、筋力を回復させるための軽度の筋力トレーニングを開始します。特に、肩の回旋筋群の強化に焦点を当てます。初期は関節の動きのない、「等尺性運動」から開始するのが一般的です。

- **機能的な動きの導入**:日常生活での動作や軽い職務復帰を視野に入れ、肩の機能的な使用を徐々に増やしていきます。


### 3ヶ月経過時点


- **可動域**:多くの患者は、術後3ヶ月でかなりの可動域を回復していますが、完全な可動域回復には個人差があります。

- **筋力**:筋力は徐々に回復しますが、手術前のレベルに戻るにはさらに時間が必要な場合が多いです。

- **痛みと腫れ**:痛みや腫れは大幅に減少しているはずですが、過度の活動や特定の動作で痛みが再発することがあります。

- **日常生活への復帰**:多くの患者が日常生活の活動を再開できるようになっていますが、フルコンタクトスポーツや重労働に復帰する前には、医師の指示に従う必要があります。


リハビリの進捗は患者ごとに異なり、個々の回復速度や手術後の経過に合わせてプログラムが調整されます。重要なのは、焦らずに医師や理学療法士の指示に従い、適切なリハビリを継続していってください。


まとめ


最後になりますが、まとめと対策、考え方の整理整頓をしましょう


### 1. 活動再開のタイミング


- 手術後の回復状態と医師の指示に基づき、活動を再開するタイミングを慎重に選びましょう。特に、肩に負荷がかかる活動を再開する前には、医師の許可を得ることが重要です。


### 2. リハビリの継続


- リハビリプログラムを継続し、肩の筋力を徐々に回復させることが重要です。特に、肩の安定性と可動域を向上させるための運動に焦点を当てましょう。


### 3. 漕ぎ方の調整


- 立ち漕ぎではなく、シッティング(座って漕ぐ)スタイルを選択することで、肩への負荷を減らすことができます。また、ハンドルの高さや位置を調整し、肩にかかる負荷を最小限に抑えましょう。


### 4. 漸進的な負荷の増加


- 活動強度や持続時間は、徐々に増やすようにしてください。急激な負荷の増加は、手術部位に不要なストレスを与え、痛みや損傷を引き起こす可能性があります。


### 5. 痛みへの対応


- 活動中や活動後に痛みを感じた場合は、すぐに活動を中止し、冷却などの対処法を行いましょう。痛みが持続する場合は、医師に相談してください。


### 6. 適切なウォームアップ


- 活動前には、適切なウォームアップを行い、肩周りの筋肉を温めて柔軟性を高めることが重要です。これにより、怪我のリスクを減らすことができます。


### 7. 活動のモニタリング


- 活動の種類や強度を記録し、痛みや不快感が生じた時の状況を把握することで、どの活動が適しているか、または避けるべきかを判断するのに役立ちます。


YouTubeの方では2月17日19時に配信します。今日もお読みくださってありがとうございました。

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