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ファンキーな不動産屋の九州滞在記~3日目③~。

2023,02,13~2023,02,18の5泊6日で訪れた長崎~佐賀~福岡~熊本、一人旅。

京都一ファンキーな不動産屋の実に偏った九州滞在記。

今回、そもそものきっかけは、エコビレッジ サイハテの坂井くんから来てよって言われた事。でも、遠くてなかなか行けないだろうと、近くの産業遺産、斜陽商店街、戦後のドサクサ飲み屋街、公営住宅に特化して、廻らせていただきました。

全行程で撮った写真は1,900枚。そこから選びに選んだ写真たちと旅の途中に綴ったメモ書きでお伝えします。

今回は3日目2023,02,15③です。③は市営椿原町団地~三池炭鉱宮原坑~第二竪坑巻揚機室~新図団地です。お付き合いくださいませ。

〇僕は公営住宅が好きだ。今までにも、いろんなまちの公営住宅に足を運んできた。なんだろうな。飾りっ気のないシンプルなデザインで、変な装飾をしていなくて、外装に今どきの変な材料を使ってない事が多い。そして、人が寄り添い、集まって住んでいる原風景的な良さがある。

市営椿原町団地
市営椿原町団地

〇帰って来てから、とあるプロジェクトで話をしたんだけど、こういう増築って、勝手にやってるから良くないわけで、それゆえ、いつでも撤去できるように、かはわからないけれど、不完全で危ない増築部分も生まれやすくなる。

だから、初めから建ぺい率や容積率に余裕を持たせた上で、法律で届出不要の範囲内の敷地内増築を賃貸借契約上でそもそも認めるようにすれば良いんでないんかい?そうすると、もっと個々のクリエイティブが発揮される事になるだろうから、それはそれは、今以上に面白い景色が広がると思うよ。そして、それが合法だったら最高じゃないか。まぁ、今で言うと、改装可みたいな感じで、増築可ね。聞いた事ないけど。いろんなリスクとか、法律をチェックした上で、いつか、そういう事を許容できる集落を提案できたらいいな。

市営椿原町団地
市営椿原町団地

〇建物の裏側を畑にしたり、部屋にしたり、倉庫にしたり、屋根付き駐車場にしたり。その向こうに見える建物自体の均一な感じが増築部分の個性をより倍増させる。

市営椿原町団地
市営椿原町団地

〇魔改造は部屋の裏側、ああ、こういう建物は大体、北玄関南窓が多いんだよ。当たり前だけど、南向きの洗濯物干し場の方が洗濯物が乾きやすかったり、居室部分を南側に配置するためにもね。で、南面の日当たりをよくするために、良かれと思って、南側にスペースが多めに取ってある事が多いんだな。その空いたスペースに魔改造増築をやりがち。結果、日当たり悪くなりがち。

市営椿原町団地
市営椿原町団地
市営椿原町団地
市営椿原町団地

〇九州滞在記の2日目にも書いていたり、写真が出てくるんだけど、僕は魔改造とも言える増築がとても好きだ。今?現代?の建築はデザインのデザインのデザインをしようとしているようにも見えて、元々、そこまで必要でしたっけ?みたいな過度な設備や計算されつくされた装飾に溢れていて、苦手なんだけど、こういう住んでいる人が自身で行ったであろう増築は子どもが増えたので部屋を増やしたいとか、荷物が増えたから倉庫スペース欲しいとかいう単純な動機に紐づいて行われていそうで、建築の初期衝動のようなものを感じられて、とても好きなんだ。

市営椿原町団地
市営椿原町団地
市営椿原町団地

〇基本、玄関の反対側、すなわち、建物の裏側は住む人たちの個性が炸裂した大増築祭り。裏にせり出し過ぎて、道が狭くなっているところも多々ある。

市営椿原町団地
市営椿原町団地
市営椿原町団地

〇広場にある遊具、鉄棒だけとか。

市営椿原町団地

〇今回の旅は、全体的に魔改造増築の良さを再確認したな。台湾に行った時、観光客が一人も行かない島みたいなところに行ったんだけど、そこの魔改造増築も衝撃的だったけど、日本にだってあるんだぜ。魔改造増築。

市営椿原町団地

〇三池炭鉱 宮原坑は見学可能時間ギリギリに着いて、受付のおじさんが「改装中でほとんど見られへんけど、どうする?案内しよか?」って聞いて来てくれて、でも、この後も日が沈むまでに行くところがあったから、「いいわ!自分で行く!」って言って、一人でダッシュでまわった。

三池炭鉱 宮原坑
三池炭鉱 宮原坑
三池炭鉱 宮原坑

〇三井三池炭鉱 万田坑は行こうとしたら、何もないところでグーグルマップの案内が終わって、え!えー!?ってなって、車を停めて、携帯を見ながら、ピンの方に歩いてみて、割りと急勾配の坂を登ったらあった。この行き方で行った人いたら会いたいくらい。

正式な入口ではなく、変なところから行ってしまったわけだ。でも、どっちにしろ、見学時間終わってたから、中には入れなかったんだけど。そう言えば、ここも改装中だったな。グーグルマップやウェブサイトを見ても改装中って情報は見つけられなかった。それは良くないぞ、良くない。

三井三池炭鉱 万田坑

〇毎回、投稿の最初に書いてあるけど、今回のファンキーな不動産屋の九州滞在記のテーマは、①産業遺産、②斜陽商店街、③戦後のドサクサ飲み屋街、④公営住宅の4つがあるんだな。

行く前の行程を組むために、事前に調べる時の話ね、①は調べたらすぐに出てくるわな。②、③も少し調べたら出てくる。問題は④だな。これは、グーグルマップで公営住宅とか、市営住宅とか、県営住宅とか、町営住宅とかを検索しまくって、出て来たやつの写真とかストリートビューを片っ端から見て行くんだな。そのほとんどが団地のようなモノに建て替えられている事が多い。それらを外した上で、良さげな集落をピックアップする。割と時間かかるんだよ。

新図団地
新図団地

〇いちいち、ソーキュートだろ?たまんないよね。

新図団地
新図団地
新図団地

〇アルミサッシに変えられているところもあるけれど、木サッシのままのところやドアが木だったり。木だと朽ちるんだよな。だから、塗装をするんだよ。その木サッシや木ドアが塗り直されたタイミングが違うのかな、色が違っていたりしてさ、かーわいいんだよ。

新図団地
新図団地

〇かといって、増築していないところもあるのよ。それがまたいい。

新図団地

〇日あたりを考えられた建物の距離感とか、集落内の道路は車がほとんど走ってないとことか、例えばだけど、子育ての環境としても最高だった。まぁ、悪く言うと、車が通らないって事は、それくらい外の世界と切り離されているって事なんだけど。でもさ、物事はいつも表裏一体っていうじゃない?一見、良くなく見える事も逆立ちして見れば、良いと言える事もあると思うんだな。まぁ、僕の視点は世の中の普通や基準には縛られていないから、僕からすると、単純に宝の山に見えているんだけど。

新図団地

○新図団地、とても良かった。ドアやサッシなどの建具がほとんど木なのとか、ドアとかの木建具の防水を兼ねた塗装具合とか、最高だ。そして、公営住宅によくある魔改造とも言える増築。個性があって、楽しませてもらった。そりゃホントはダメなんだろうけど、単調になりがちな街並みに彩りを添えてくれるなと。なんだろう?ある程度の均整の取れた繰り返しの中にちょっと外すくらいの街並みが美しいんだろうな。そこに住む人の生活が垣間見えるみたいな。その素材としての木造平屋の公営住宅が最適なんだなと思った。なかなか、どうして、時代が追いついたのか、僕がイカれているだけなのかはわからないけれど、とっても良かった。いろんな公営住宅を見てきた川端史上一位。行ったのが、サンセットタイムで時間帯も神ってたけど。

新図団地

〇この景色なんて、建物にオシャレなカフェや雑貨屋さん、ちょっとしたレストラン、カレー屋さんなんかが入居してても、何ら不思議じゃないでしょ。左奥には来客用の駐車場もあってさ。目を細めたら、その風景がすぐに思い浮かぶよね。

新図団地
新図団地
新図団地

〇そりゃあ、毎日ではないだろうけどさ、晴れた日のサンセットタイムはこんな感じになるわけだよ。建物は低いし、建物と建物の間も近くないから、空がとても広く感じる。当たり前だけど、こんな時間の流れを感じながら、生活できるのは素晴らしいと思うんだな。

新図団地

〇いや、確かに、このまちのここにある集落という大前提はあるけどさ、もし、この集落が京都府内にあって、僕が愛を込めて再生するってなったら、店やオフィスや住居で入りたいっていう人めっちゃいると思うんだ。なぁ?そうだろ?

新図団地
新図団地

〇建物と建物の距離感も最高だ。近すぎず、遠すぎず。このくらいの距離感がコミュニティ醸成には最適だと思う。あと、空いているスペースにベンチがあったり、焚火スペースがあったら、尚最高だ。

新図団地
新図団地

○僕が好きだなって思う景色とかまちを見てて、思ったな。例えば、戦後のドサクサの飲み屋街とかって、良くない文脈で語られる事が多いじゃない?だから、建築基準法とか耐震がとか、消防法的にとかの理由を付けられて、解体されて、再開発される。でもね、その時のその時代の人たちの復興への想いが現れた景色が、そこに生きた人たちがいた痕跡が失われていくのは寂しい。公営住宅だってそう、味のある平屋長屋が並んでいたまちが無味無臭の団地に建て替えられていくのは寂しいな。

新図団地
新図団地
新図団地

○今回、もちろん、人生初の道をレンタカーで走破したわけだけど、当たり前なんかも知れんけど、僕の日々見えている世界の外にも、いろんなところにまちは存在していて、たくさんの人が住んでいるんだなと。きっと、この先も出会う事はない人がほとんどなんだろうなぁとか。このまちに住む人やあのまちに住む人にも今日という一日があるんだろうな、不思議だなとか思いながら、走っておりましたのよ。

新図団地

○3日目は朝から夕方までの移動距離は255km、移動だけで約6時間動いた。長崎〜佐賀〜福岡〜熊本。そりゃ、すべてのまちは廻れてないし、僕の独特のフィルターを介してしか、まちを見られてません。関係各県の方、ごめんなさい。でも、もっと掘りたいなーってまちはたくさんあった。移動はちょっとだけ疲れた。

新図団地

○寂しがり屋の僕は、久しぶりの一人旅は行くまでは、とっても不安だった。けど、行ったら行ったで、馴染む感あるな。勝てば官軍みたいな。行けば官軍だな。事前に自分が決めた行きたいとこリストに引っ張って行ってもらった感じがあったな。僕の好奇心さん、いつもありがとう。ムチャクチャなスケジュールを走破しながら、一人の寂しさよりも一人の身軽さを噛みしめていた。

新図団地

○旅に出る2,3日前に、急遽、レンタカーと宿を予約した。あれをやった俺を褒めてあげたい。レンタカーがなかったら、完全に行きたかった全行程を100%回り切れてなかった。

新図団地
新図団地

〇こういうところって、ちゃんと集会所あるのよ。でもさ、この建物に集まれる人数、めっちゃ限られてない??集落のサイズと合ってる??

新図団地 集会所

〇この集落は、全体的に勾配を利用して作られていて、場所によっては、高台になっていて、部屋からの景色めっちゃ良いだろうなっていう住戸群があったり、ホント、単純に良い集落でしたのよ。

新図団地

〇高台の下には、湖?池?がある。なんと、レイクビューの住居だよ。

新図団地

○何回も言う。僕は公営住宅が好きだ。無駄のないデザイン、そして、魔改造とも言える、好き勝手に増改築してる感じ。無駄のないデザインに無駄を足した感じ。今時の建て売り住宅街にはない生活感がある。オリジナリティあふれる増改築もそうじゃない?まち自体が生きている感じがする。こういう種を大切に育て、再生したまちこそがこれからのまちな気がするよ。

新図団地

〇次は、ファンキーな不動産屋の九州滞在記~4日目①~に続きます。

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