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「自分の気持ちを誰かに分かってもらえることが生きる力になる」学校休んだ中3息子@沖縄


目的地に着いたら
「ちょっと寝たい、車酔いしたかも」と言って
中学3年の秋を迎える彼は目を閉じて、助手席でそのまま2時間寝続けた。

月に1回の沖縄訪問も87回目。
いつものようにあまり自分を表現せず、口数が少ない中でも、
今日はあまり彼の調子が良くなさそうだなって、わかる。
彼の中が流れてない。何かが滞っている感じがしました。

実は、彼と会う直前に母親からラインが来ていた。

おはようございます。
●●(彼)から聞いているかどうか分からないけど、今●●
は学校行くのが辛い状況です。
クラスの雰囲気がとても悪くて、嫌な思いをしているようです。
一部の生徒の授業態度が悪く、やる気を削がれると言っています。

木曜日に学校で進路説明会があって、その後に担任の先生には状況を説明しました。金曜日は学校を休んでます。

●●が個人的に攻撃されたという事はないようなので、嫌な思いをした時の気持ちの持ちようや考え方を変えていくしがないのでは?と本人には伝えています。私としては休ませなければならない状況が続くのは心配です。

すぐにクラスの状況が改善されるとは思えないので、今日●●
に会った時にいろいろ相談に乗ってあげて下さい。
よろしくお願いします。

別れてから10年、プライド的に辛いことも、彼のためになるならと思って
のんできたこともたくさんあった気がします。

しかし別れて10年も経つと、こういった会話ができるようになる。
自分のためじゃなく彼のために何ができるのか、で沖縄に来ているからかもしれません。
どちらにしても「時間が解決する」とは言ったものです。


彼の方から学校のことを口を開くことは考えにくかったので、タイミングを
みてどう切り出そうかと思っていた。

この日は、奥武山公園という大きな公園で
「おきなわ産業まつり」が開催されていて、賑やかで楽しそうな雰囲気だったのでここに行こうと僕から誘っていました。

「沖縄市産業まつり」は、農産物や海産物、工芸品、琉球楽器、焼物、泡盛など様々な産品が出品され、今年は三日間で31万人の人でにぎわいました。音楽、民謡ライブ、エイサー演舞、ものづくり体験コーナー、モーター自動車の展示もありました

話を切り出した

出店で色々買って、公園の芝生に並んで座りながら話を切り出しました。
「お母さんから聞いたよ、学校のこと。どんな感じなの」

彼はぽつりぽつりと話してくれました。
授業中にしゃべっていたりふざけていたりする同級生がいること、
それでやる気を削がれること、
自分が特別何かされているわけではないこと、
学校を休んだのは、、、

母親から聞いていたのとほぼほぼ同じ内容でした。
ただ、態度の悪い同級生たちに対しての感情を素直に出すことに
抵抗があるような印象を受けました。

「●●は、そいつらにどんな気持ちでいるの?ムカついているの?」

と聞いても、彼は無言でした。

なので、どうしようかと思いましたが、こんなことを伝えました。

そいつらにに対して嫌な想いをしていることは当たり前のこと、
そう感じているお前は立派だ、
すごい正義感だ、素晴らしいことだよ。

ヘラヘラしないで迎合しないで、自分はそれに対して納得いかない、許せない、だから休んだんだろ。そう感じることは、お前がそう思うのならそれが全てであること。
だからそう思っていいんだよ。

俺はできなかった、許せない気持ちがあっても、それを抑えていた。

詳しいことはわからないけどそいつらは構ってほしいだけだ、
そんなのは子供がやることだ。
お前はすごいんだ、そんなもんじゃない、そんな奴らと一緒にいるレベルじゃない、なんかくだらないことやってるなって離れて馬鹿にしてればいいし、そいつらにむかついていて全然いいよ。

とはいえ、学校に行ったらそいつらがいるわけだろ。
ムカついているって、本人たちに言えないと思うから今俺に言えばいいよ、
明日戻っちゃうから、よかったら今日出しちゃえよ。


話しだしたら止まらなくなって、たくさん話してしまいました。
彼の屈しない気高さ、自分の正しさを守ろうとするところが
本気で素晴らしいと思いました。

それ以上彼は何も言わなかったけど、
僕の話をじっと聞いていたような感じでした。

彼が同級生たちにどんな感情でいるのか、
本当は何が起こっているのかは実際のところはわかりません。

怒りやネガティブな感情って、言葉に出すのにエネルギーがいりますよね。
いろんな感情がありますが、
ポジティブもネガティブも普段から出していないと、
ここぞって時になかなか言えないと思います。

でも、彼の中で、何か思うところがあったのか
その後はいろんな話をしてくれました。
学校のことは言わなかったけど。

自分の気持ちを誰かに分かってもらえて安心したのかもしれません。
このことがどれだけ大切かと痛感しました。
分かってあげられる自分でいたいと思います。

そんな、87回目の沖縄でした。

帰ってから思うこと

今回の沖縄は、思い残しがあるーーー。
彼に必要とされている感覚はあるのですが、
学校のことも、他のことも

彼自身がどんな気持ちで、どうなりたいのか、どうしてほしいか、について彼自身でも分かっていないのでうまく表現できず閉じこもっている感じがします。

彼が何を望んでいるのか
こちらもどうしていいかわからない、手がかり、確信がないまま時間切れでした。

自分の感覚、感情に従っていいんだよっていうことは色々伝えましたが、
彼が感情を開放できるように、
口に出せたら楽になるのに。

ネガティブな感情を閉じ込めると、
ポジティブな感情も閉じ込める様になるから
普通のこと、楽しいこと、嬉しいことからシェアできるように、

しばらくはラインのやり取りだけだけど、
日ごろのコミュニケーションを密にとっていくことかなと思っています。


帰り際に
「早く高校行きたい?」と尋ねたら、
「うん」
と返ってきたので

「どうして?」と尋ねてみたら
「なんか、自由な感じがする」

って返事がきた。

中学っていろんな混沌としたものが
カオスみたいにごっちゃりしてて、自分と他人の境界線とか
先生や大人との関わりとか、生きにくいと思う。

そんな中でも、
自分がどんな気持ちでいるか、ひとりでも誰かに分かってもらえたら
それだけで力がわいてくる。

伝えたいけど伝えられない、
分かってあげたいけどできない。

別れ際になんとも言えない顔をするのはいつもと変わらない。

ひとつ言えることはあなたがそう感じたのであれば、
それが全てだってこと。ㅤ

自分の感覚を信じること、
そこから希望が生まれる。

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