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【少年野球#7】多賀少年野球クラブ視察記(中編)

今回は中編になります。前後編にするつもりでしたが、文字数が多くなりすぎて、前・中・後の3回に分けて書くことにしました。
前編はこちら↓

幼児野球はとにかく楽しく

11時半頃になると、幼児~1年生が集まり始めました。
このクラスはメイングラウンド上のサブグラウンドを使います。メイングラウンドでの2・3年生の練習が終わると、息つく暇もなく辻監督はサブグラウンドへ駆け上がっていきました。
幼児たちはまず投げ方を教わります。「バネ投げ」というBBMCが開発した、 腱特有の強みである『バネ力』を使った投げ方で、多賀少年野球クラブでも採用しています。

「バネ投げ」に取り組む子どもたち

その後は、幼児が楽しめるような「遊び」を取り入れた練習を行います。親子参加型で、子どもから大人まで一緒に楽しめるような内容になっていました。

練習試合前でも全体アップはしない

幼児たちの練習に見入っていると、いつの間にかメイングラウンドにたくさん人が増えていました。
午後から高学年の練習試合が入っているというのです。相手は「福井県選抜チーム」。福井県の選抜チームが、はるばる滋賀まで1クラブチームの練習試合を目的に来ているというのにまた驚きです。
選抜チームが全体で、足並みや声をそろえてアップしているのに対し、多賀少年野球クラブの子どもたちは、それぞれ個人でアップや練習を行っていました。
そしてそのまま試合開始。辻監督は幼児の指導を終えて、試合直前にようやくメイングラウンドに降りてきました。
試合前のミーティングや作戦会議もなし。それだけ普段から選手に指導が行き渡っていて、選手のことを信頼しているという証でしょう。まるでプロ野球チームを見ているかのようでした。

試合中もベンチからのサインは一切なし

試合が始まりました。
攻撃時ふつうはベンチからサインが出ます。バッターは1球1球バッターボックスを外し、ベンチからのバントや盗塁などのサインを確認してそれを実行します。
しかし、辻監督はベンチから離れたところに座っていて、サインを出すことは一切ありませんでした。
これが辻監督が提唱する「脳(ノー)サイン野球」です。

なぜ、こんなことが可能なのか。それは選手の頭の中に、監督が思い描く野球がすでにインストールされているからなのです。
少し解説すると、多賀少年野球クラブには「ワンナウト3塁をつくる」というアイデンティティがあって、そこに至るためにはどうすればよいかということを普段の練習からこだわってやっています。
子どもだけでなく親に向けても講義が開かれるそうです。いわゆる座学ですね。座学をやっている少年野球チームというのは他に聞いたことがありません。

しかし、考えてみると「野球」というスポーツは1球1球考える時間があるわけですから、実はとても理にかなっていると言えます。
そう、野球は「考えるスポーツ」なのです。ベンチの指示に従うだけというのは非常にもったいない!

監督不在の中4・5年生チームが選抜チームに追いつく

練習試合は2面同時に行われていました。一つは6年生チーム。もう一つは4・5年生チーム。相手はどちらも6年生を主体とした選抜チームです。
4・5年生チームは、体格もボールの速さも6年生主体の相手チームに比べると当然劣っていました。前半は劣勢の中ゲームが進んでいました。それでもなんとか食らいついて迎えた5回裏(学童野球は6回まで)の攻撃。多賀少年野球クラブの4・5年生は3点差を追いついてみせたのです。しかもこの時、辻監督は別のところで練習していた子どもたちの指導に行っていて不在でした。
監督が指導から試合に戻ってくると、子どもたちが監督に「監督!3点差追いついたで!」とうれしそうに報告しています。辻監督も「おれがおらん方が強いやんけ!」とうれしそうでした。

そうそうこの感じ。この感じをぼくは自分のチームでもやってみたいのです。「自分がいなくても、子どもたちが自分の意志と自分の考えで動くチーム」。まさに理想の形がそこにありました。

つづく。


続きは明日、後編で書きます。楽しみに待っていただけたらうれしいです。

もし、こんな私や、新しくつくる少年野球チームを応援したいという人がいらっしゃいましたら、スキ、フォロー、コメントよろしくお願いします!

本日もお読みいただきありがとうございました。


辻正人監督の書籍はこちらです。
私はこの本で少年野球指導者になることを志しました。


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