鳥の島の財宝~しんみりと映画を楽しめる~

ギスギスした心境の時にしんみり楽しめる映画をご紹介する。

"鳥の島の財宝"(1953年)はチェコ🇨🇿のアニメーションである。原題は"Poklad ptačího ostrova"監督はKarel Zeman(カレル・ゼマン)

ペルシア風のおとぎ話の世界観の中、群衆劇を伴った人間のドラマが展開する。半立体の人形劇がストップモーションアニメーションで繰り広げられるが全く違和感なく入り込める程の滑らかな動きをする。美しい絵のなかで生きているキャラクター達はどこか可愛らしさもある。ストーリー、デザイン、全てが秀逸だと私は思う。

※ここからネタバレ

外界から隔絶されているような印象を受ける小さな島、ペルシア風の村に少年が暮らしている。彼は家族がいないらしい。漁師をしている。ある時、王候貴族の乗った船が通りかかるのを見て、裕福な暮らしに憧れる。真珠取りになろうと海に潜るがうまくいかない。ある日、島に海賊が流れ着き、少年は彼を助けることにする。海賊はなんと、島に隠された財宝のありかを知っているのだった。ひと悶着あり、やがて島中に一人の人間では運び切れない量の有り余る財宝の存在が知れわたることに。財宝は村人で山分けということになるが、果たして村人、皆が王候貴族のような暮らしができるようになるのか?…!

というストーリーである。

※ここから更なるネタバレ

本作の見所は社会現象を巧みに捉え、人間の生きる本質に迫っていることである。流血シーンなど過激な描写は一切無いが、財宝のニュースに沸き立ち、欲に我を忘れて少しずつ狂ってゆく村人達の描写があまりにも不気味で戦慄ものである。
一応、ハッピーエンドにはなると思うがアメリカ映画のようにデカイ車と金銀財宝とチアガールを手に入れておしまい!というような生易しいものではない。だが、見終わったあと、心底、ホッとしてしみじみとすること請け合いである。

しんみりしたい人、芸術が好きな人、
ぜひご覧下さい。
(回し者じゃないよ(×_×)(^o^ゞ)

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