ホワイト企業はブラック企業を笑えるのか?

以前、こんな記事を書きました。ブラック企業とは何か、というタイトルです。

今回はブラック企業を格差社会の観点から考えてみようと思います。格差は何も、富裕層、貧困層だけの問題ではありません。大企業と中小企業、発注元と下請け企業の間にも格差は存在します。人材が豊富な企業がある一方、常に人材不足で火を吹いている企業もあります。サボってる社員を抱えるほど人の多い会社もあれば、全員が必死に働かないと仕事が回らない会社もあります。休みが取れない業界、休みがいつでも取りやすい業界があります。

様々な仕事や会社がある中で、仕事は平等ではないし、全ての業界が、条件が同じではないわけです。当たり前かもしれませんけれども、このことを格差として捉えてみることもできると思います。

世の中は弱肉強食です。強い企業がのし上がり、弱い企業は淘汰されます。しかし、それは同じ業界の同種の企業に限った話。

実際のところ、世の中は様々な業種や業界が互いに物資やサービスを供給しあって互いに助け合って成り立っています。弱肉強食では世の中はとっくのとうにめちゃくちゃになっているでしょう。マフィアの方が儲かるからと言って全ての人がマフィアになってしまったら、誰も生きていけない世の中になります。

このように考えていくと社会における成功者とは何か、もう一度捉え直さなくてはいけません。

多くの業績をあげて、資本がたくさん集まり、人も集まり、収益が多いことは会社にとって素晴らしいことかもしれません。お金を稼いで億万長者、そして社会の成功者としてもてはやされている人はいます。しかし、世の中を俯瞰してとらえた時に、業種間の格差、大企業と中小企業の格差の中で特定の業界だけ、特定の会社だけにお金が集まる状態は健全とは言えません。これだけ儲けました、すごいでしょ?社員は高給取りで休みもたっぷり取らせてます、と主張したところで、下請けの会社は安く買い叩かれていて、そこで働く派遣社員は薄給でヒーヒー言ってる場合だってあるわけです。

世の中無から有は生まれません。誰かが得をすれば誰かが必ず損をしています。

つまり、社会の成功者は、略奪者、搾取者としての側面を持つこともあるのです。お金のない人はお金のある人に憧れて必死で働いたり努力したりします。成功者を夢見て、いつか返り咲くと胸に誓っています。

しかし当の成功者は、そういう、本来もっと報われていいはずの人々から不当に搾取しているのですから皮肉なものです。

同種の企業が競い合うのはいいこともありますが、異種同士が足を引っ張り合うのはいかがなものでしょうか。コロナ以降の世の中は劇的に変化しました。飲食店が次々と営業出来なくなり、製造業も稼働が振るわず、様々な業界がダメージを受ける中、医療、IT企業だけが業績好調になりました。業績好調になった分、他の業界ではブラックな労働環境の中で厳しい資金繰りを迫られているかもしれません。もしもその業界が社会にとって必要不可欠で、なくなったら困る種類のものだったら、「成功者」たちもただでは済みません。

ブラックでもなんでもやるしかない仕事だってあるし、そうでなければ世の中回らないのです。世の中、お金だけで解決できないことばかりです。

稼いだお金で優劣を競ったり、収入の高さを競い合うのは、本当に実態が伴っているでしょうか?社会における真の成功者とは何か、もう一度問い直すべきではないでしょうか?


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