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【かるた】と/突然

【と】
止まった トンボが 突然 飛び立つ

〈子供の思いつきとチャレンジの話〉

ある日、小さい人が夏でもないのに、居間の隙間に押し込んである「うちわ」を引っ張り出してきて何やら思案している。

うちには沢山のうちわがある。
昔ながらの竹製の和紙のものから家電量販店で貰った新製品の紹介やら、夫が昔居た会社のノベルティで作った物、ホテルのディナーショーのお土産、証券会社の可愛いキャラクターが並ぶ小さい物、、今数えたら10本近くあった、、。嫌、台所と車にも数本ある、、。考えたく無いがとにかく大小たくさんある。

その「うちわ」をしばらく眺めた後、小さい人は思い立ったように、突然大きな2枚を選ぶと手を持つ肢の部分を首の後ろの襟に刺し、さらに大きめのうちわを1枚づつ両手に持つと、さほど広くない居間をパタパタと羽ばたきながら対角線状に走り出した。

小さい人は、突き当たりの壁まで走り終わると、くるりとこちらに振り向き

「とべた?」と言った。

(うん、飛べてない。どう贔屓目に見ても飛べてないけど、気持ちは十分に伝わった!)

スタートからゴールまで一部始終を観察していたが、飛んでいるのは気持ちだけで、体は地球の重力に引っ張られて、ただバタバタと走っている風にしか母には見えなかった。
いや、でも実は飛んでるのかも?
スマホをカメラモードにして小さい人に

「もう一回やってみて」

とお願いする。
こう言う「母が写真を撮りたいからもう1回やって」という場合、小さい人は嫌な顔ひとつしないで協力してくれる(不思議)。

もう1回スタート位置まで戻ると「スタート」と声をかける。
目の前をうちわを持ってバタバタと走る小さい人が通り過ぎていき壁まで行って「撮れた?」
と戻ってきた。

2人で再生してみる。

部屋の隅からうちわを両手に持って母を通り過ぎ、うちわを刺した小さな背中がバタバタと通過した。そこには「決して飛べているとは言えないけれど、ものすごく笑顔でキャーキャー言いながら楽しそうに走っているなんとも愛しい小さい人」が写っていた。

それを見て2人でゲラゲラと笑う。


思い出しても背中に刺された2枚のうちわにどう言う役目があったのかは謎だが、飛べているかいないかは小さな問題で、まずチャレンジすること、結果なんかでなくても「楽しい」こそが「やる意味」だと感じる。


なんて、それらしくまとめてみたものの、結論は「あー小さい人は可愛くて面白かった」と言う意味なんてさほどない親バカな話です(笑)

〈ライト兄弟だって、最初はうちわを持って走ったんじゃないかと思う話〉

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寝落ちにつき更新が0時過ぎてしまった。
残念。しかし3月もぼちぼちいきましょう。

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