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認知されてきた「HSP」は魅力でもある~メディアの取り上げられ方に少し心配も~

 最近、メディアでもHSP(highly sensitive person)が取り上げられる機会が増えてきた。
 機会が増えると、タレントで名乗る人が出てくるし、タレントが名乗るとまた少しずつ話題に上ってくる。
 この前は、朝の情報番組で取り上げられていて。でもメディアでの取り上げられ方は、すごく表面的で、不安を感じるHSP気質の人は少なくないはず。そりゃあ番組の一部だから、深く掘り下げられないのはわかるけど。

 ※フォローしている、漫画家おがたちえさんが、顔出しナシで出演していました。そこに関しては感激!

 もちろん、HSPによってもタイプは様々。人それぞれ、当てはまる部分のどこが強いか違うし、HSS(High Sensation Seeking)型と言って、衝動的な部分のある人や、活動的、外交的な人もいる。

 「私はこう」って話し始めると、一人一人違う。でも「違うだけ」で、だからどっちがかわいそうとか、しんどそうとかなんて、同情される度合いや美しさや大変さを比較するものではない。
 比較とかマウントとか、否定し合うとか褒め合うとか、ほんと勘弁してほしい! HSP同士はそんなものをできるだけ避けたいはずだ。
 やっとHSPが認知度を上げてきた最近。こういう気質なんだよ、と今まで黙っていた私たちが話し始めているのは、認知してほしいだけ。

 でも注目され過ぎて、「そんなのみんなあるよ」「苦しむのを聞かされても」と思われるのも残念だから気を遣ってしまう。

 だって私たちは、昔からずっとそう言われてきて、できるだけ息を潜め、気質も手伝って、我慢し自己否定して暮らしてきたのだから。

 難しいけど、単純に「知ってほしい」。それは、「生きづらそうに見えても、下に見たり、直させようとしたりしないで」につながるので。


 その日観た番組で気になったのは、紹介されたチェック項目が10くらいしかなく、その中でも「音」と「忙しさ」について、2~3ずつチェック項目がかぶっていて、問う種類が少なすぎた。
 しかも、そのチェック項目には、感覚過敏の部分が多かった印象。


 私の場合を一例として書き出すと、音といっても、何かが起きてからの間が耐えられないとか(「よーいドン」とか、花火の光と音の間の時間とか)、嫌いな食べ物は匂いの苦手なものだけでなく、噛んでいる時に耳に響く感じがイヤ、とかはある。でも秒針の音や、寝る時の何かの光は全然気にしない。真っ暗はむしろあれやこれや想像してしまって怖くて眠れない。夜中起きた時に真っ暗だったら絶望してしまう。怖い夢を見て目が覚めた時、少し灯かりがほしい。だから、感覚過敏イコールHSPだとは思わない。ただHSPには感覚過敏の方が多いのかなとの印象はある。痛みに敏感なのも、以前何人かの医者に言われたことがあって、それもHSPの特徴だと知った。

 夫もそのチェック項目を少し見ていて、「忙しくてイライラしたり、一人になりたいって思ったりはあるよ。それなら僕だってけっこう当てはまっちゃう」と言っていたけど、その項目も3つくらいあったので、それってどうなんだ。

 本やネットで見た他のチェック項目は、たいてい20数項目ある。50項目くらいのものも。私はだいたいいつも8~9割程度が当てはまる。
 自覚的なもの以上に、幼いころから周りに指摘されてきたから知ったものが多いであろうことも、HSPの特徴だろう。「気にし過ぎ」「すぐ痛がる」「よく泣く」「ビックリしやすい」「考え過ぎ」「怖がり」など。私が変なのかな。と、頑張って直そうとして直らないでいたから、自己否定が強くなるばかりで、ずいぶん長い間、苦しんだ。

 改めて書くけど、我慢しなくて良いものばかり。表現して良い部分。今、変えようと頑張ってしまっている人がいるのなら、どうぞ自分を否定することのないようにしていただきたい。

 気にし過ぎたって良い。「気にしなくて良いよ」って優しく笑ってくれる人が、アナタの大切な人だろう。素直な態度でいる方が良い。傷つきもするけど、それ以上の信頼関係が見つかる。

 「考え過ぎ」ても、その思考は自分に発見を与えてくれるだろう。それによって苦しくなったら、周りに助けを求めたり逃げたり一時避難したりなど、そんな時の対処法を見つけよう。

 怖いのも痛いのもビックリするのも自分が危険を感じている証拠。危険にいち早く気づいているのだから、大げさだと言われても自分の身を守ろう。自分の感覚は自分にしかわからないのだから、大切なものだ。

 よく泣くのも感情の表出で、泣くこと自体を否定するものではない。特に子供に対して「泣かない」をどうか、イコール強いことと教えないでほしい。泣きながらでも愚痴言いながらでも頑張れることがある。芯の強さ、考える強さを教えるのが望ましい。


 HSPとしては、どうしてもそこのチェック項目に入れてほしかった大事な部分がある。「圧倒されやすい」「大勢いる場所でそれぞれの人の気持ちを感じるから、人が集まる場は苦手(SNSもそういった場になると苦手)」「感情を、深く感じる」

HSPの特徴は、「DOES」と言われている。

Dは、depthで、深く分析する能力。
Oはoverstimulationで、過剰な刺激により、周りにすぐ圧倒される。
Eはempathyで他者の気持ちを感じ取る。
Sはsubtletiesで、ささいなことへの気づき。

 これを全部盛り込んでほしかった。

 良い所もあるのだ。私たちは否定をしたり、揺れやすくて同じ場所に戻ってきたりするので、「良い部分」てなかなか思えない。ただ私自身は50年近く生きてきて、ここ数年でHSPを知って、自分で内省を重ね、ようやく良い部分と思えてきている。HSC(person →child=HSPタイプの子供)に理解のある親がいるのならそれはだいぶ強みだろう。でも大人になって自分がHSPだと知った若い人が、なかなか良い部分と思えていないとしたら。

 最近、私がHSPについて書くモチベーションはそこにあるのかもしれない。自分の葛藤や内省は、だいぶ終盤にさしかかっている。
 HSPは、魅力的な部分だと伝えたい。

 さて、「DOES」についても、私個人的な場合を例に挙げながら、少し解説してみる。
 例えば、「O」の「圧倒されやすい」は、他人の感情や、単にその空間に息を呑みやすかったり、衝撃を受けて息苦しく感じる。こういう場面はとても多い。

 「E」と「S」、他者への気持ち、ささいな気づきは「大勢いる場所」で発揮されてしまうため、何かの集まりが苦手だ。そういった場で、「それぞれの人の気持ちを感じる」ために、あっちの人のあの気持ち、こっちの人のこの気持ちを感じ、自分の感情の持って行き場所がなくなる。そんなだからHSPには、本来、SNSが向いていないと思う。「人柄が好き」であっても、「ワイワイしたい」人とあまり関わらない方が、気持ちの安全には良い。人柄が好きなら関われば良いのにと思われるだろうが、それでもうまくいかないのがHSP。好き嫌いだけで関係を成り立たせられない。私は「ワイワイ」「ノリ」「内輪の盛り上がり」がどうしても苦痛。一人一人の個性を感じながらしっかりその人と関わり合うのが性に合っている。その分、人との関わりに、深い喜びを感じやすい。だから大勢で賑やかにできない自分にダメ出しするのではなく、一人ひとりの魅力をしっかり感じて、しみじみすると良い。至福のひと時となるはずだ。

 「D」は、深く分析する能力でもあるのだろうけど、私はまず何かを見聞きした時に、「深く感じる」。それをじっくり感じながら、どうしてこんなに感じたのかなと追求する。そしてこれは、私が思っている好きな部分。いちいち心動かされやすく揺さぶられると、当然、疲れるから、人に聞いてもらったり、休み休み動いたりするしかない。ただその分、喜びや感動もとても大きい。簡単に胸がいっぱいになれる。だから映画や本などその世界に簡単に入り込んで楽しめる。没入感の深さに、「あれ? この感覚、わからないのかも」と周りの話を見聞きして感じると、とても得した気分。

 HSPと言ってもひとくくりにはできないけれど、私たちが必要なのは、HSP同士の、特に似た部分が強い仲間と、さらに非HSPのフラットで落ち着いた感情でいられる人たち
 分かり合いたい人と、全然違う人がいるのが良い。一番悲しいのは「なんか面倒くさそう」って付き合いきれない態度を見せられること。
 そりゃそう思うよねってわかっている。そう思う人がいるのは仕方ない。相性だってあるんだし。でも「付き合いきれないわ」って態度、HSPにはすごくネガティブに伝わるので苦しんでしまう。「図太くなれ」「考え過ぎないで」なんて本気で言われもする。根性や考え方の習慣で図太くなれたらいいけど、そうはできないから自己否定に走るだけ。場合によっては考え過ぎなければ良いものもあるけど、考えるが故に到達する場所だってある。

 迷走を始めていたら「考え過ぎ」って笑い飛ばしてほしいけど、深刻に考え込んでいる時はただ気持ちを共有してほしい。
 疎外感を敏感に感じ取って、その雰囲気に飲み込まれないよう、私たちは身を守っている。身を守ると「頑な」「面倒くさい」って思われるけど、それは感じ過ぎる私たちが生きていく術。

 私が主張できるのは、帰国子女で、ハッキリ言わないと暮らしていけない世界にいた経験からかもしれない。幼少期にニュージャージーで自己主張を文化として暮らしていたために、ビクビクしながらでも主張したり、断ったり、「それは違う」「そうは思わない」って言えたりする。でも言わないとわかってもらえないから言おうと頑張っているのであって、相手の気持ちを考えないわけがない。だってHSPだから。傷つけているとか、悲しませているとか同時に感じつつの自己主張って本当はしんどい。
 一方で、守りたい人がいる時の正義感が強いのもHSP。今の私は、HSP仲間を守りたい気持ちが強い。

 HSP成分のない人たちにも支えられながら、そして似たタイプの人と「わかる」って笑いながら、工夫して楽しく暮らしている。きっとHSPの中でも似たタイプで「わかる」って言い合っている時は、自分の感情の受容ができ、その後、非HSPから気持ちが軽やかに考えられるようにサラッと励まされているのだろう。

 いったん気持ちを受け入れてからの方が、本当に自分の気持ちを前に向けられるって言うじゃないか。

 HSPの人って、そんなに難しいわけじゃないのよ。最近本当にこういう部分を面白いと思えるようになってきたから。

 多彩なタイプがいるし、メリットと思われる部分だってある。是非とも、良い部分も取り上げながら、できるだけ多くの人のデータを基にして表に出してほしい。


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読んでいただいて、ありがとうございます! 心に残る記事をまた書きたいです。