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ミルクボーイが「リーン・スタートアップ」を説明したら

「最近、うちの社長が ”新規事業” ちゅうのに興味を持っててなぁ、名前は忘れたらしいんやけど、なんか失敗をさけてな、それも早うできる、ごっつうエエやり方があるらしいんやわ〜。」
「それな、”リーン・スタートアップ”(面倒なので以後、LSU)に決まっとるがな!  今や新規事業といえば、LSU。だいたい、リーンちゅうのはやな、ムダせんように、つまり失敗せんようにちゅう意味や。LSUに決まっとるがな!」

※アイデア出し
「でな、うちの会社、社員みんなで新規事業のアイデアを考えてんや」
「そか、それは良いことだがな。LSUではな、まずはぎょうさんアイデア出すわけやな。新規事業なんて9割失敗するねん。アイデアはたくさん出して、小さなチームでとにかくクイックに検証するんや。やっぱLSUに決まりや」
「最初、オレもそう思たんやけどな、なんでも3つの洗練されたアイデアに絞って進める、ちゅうことらしいで」
「ほな、LSUちゃんねん。LSUはな、たくさんアイデアをだして、たくさん捨てて、それでどんどん進化させるのや。さいしょに3つしかないと、これアカン、と思うても捨てられないから、その腐ったアイデアにしがみつくしかのうなる。よくある失敗パターンやね。で、社長、ほかにはなんか言っとらんかったか」

※顧客探索
「社長はな、最初に大切なのは、”顧客の探索”って言っていたがな」
「ほな、やっぱLSUに決まっとるがね。新規事業は、新製品を作ることとはちゃう。LSUでは、まず課題を持った顧客を探るのや。田所兄さんとか、カッチョよく ”Customer Problem Fit” とか言いはるな。いかに顧客の課題を解決するかや。だからまずは、顧客の探索や。社長、いいこと言うなぁ」
「それでな、顧客の探索するんで、”道歩いてる、困った顔したアホ面、しょっぴいて来い”と言われてな、それでオマエのところに来たのや」
「なんやねん。そりゃオレには金に困っとるという課題はあるがな、おまえの社長が金くれるわけでなし。そのアホ社長、ほかになんか言うてなかったか?」

※価値提供
「社長はな、ごっつう大事なのは、”顧客実証”って言ってたがな」
「そりゃやっぱり LSU じゃなあ。顧客の本当の課題を探って、解決するまで、顧客に仮説を提案ながら検証していわけだがな。Product Market Fit ちゅうやつねん。ここが LSU のキモじゃ。しっかりやらんといかん。社長、アホだけど、いいこと言うなぁ」
「でな、捕まえたオマエに、これを売りつけろ〜と」
「なんやこれ、なになに、スマホのモザイクを外すメガネ?」
「社長はな、これでお客のスケベの課題を解決しますって、どや?」
「アホか? だいたいモザイク外れへんやんか!」
「で、これでワシの仮説は検証できたか?」
「アホか? 大外れだがや。そもそも、新しい商品を売ると思っている時点で間違いや。顧客の課題を把握して、その課題を解決する商品をつくるんや。それにこれ、そもそもモザイク外れん。顧客の課題があっても、解決しとらんやんか」
「オレもな、実はな、べつのモン考えて方がよかと思ってたんや」
「そや、それがホンマの仮説の検証やで。ダメならさっさと諦めて、べつのモン考えるんや」

※ 市場の想定
「たしかに社長はな、検討はクイックに進める、とも言うてたわ」
「ほんかまいな、ほなやっぱ LSU かもしれんな。LSUは、仮説検証をクイックに回して、顧客と課題とビジネスモデルを検証していくねん。いろいろ間違うとるが、やっぱLSUやろ」
「最初はオレもそう思うたんやけど、社長は”クイックに、今年単黒、来年には100億円を目指す〜!”とか言うててわ」
「ほな、LSUどころか、そもそも新規事業じゃないじゃろ。新規事業の検討ちゅうのは、そもそも儲かる形にできるかを検討するねん。当面は赤字や。市場を想定するのは大事だけど、最初からごっつい売上なんかあがらん。そもそもオマエの会社、売上10億円のちっさな会社じゃないか。それが、来年100億って、どういう頭しとるんや?。でも日本中、そんなタコ社長ばっかりやがなぁ」

※ビジョン
「んでな、そのタコ社長はとにかく”ビジョンや、ビジョン”が大切なんや”、と叫んどったわ」
「そか、タコ社長、たまにはいいこと言うなぁ。LSUに限らずやが、ビジョンが無いと、新規事業は辛うおますで~。楽しい・面白いビジョンをクッキリと描いて、それをみんなで工夫しながら実現していくんじゃ」
「そうや、社長のビジョンは、”猪突猛進、一億火の玉や~!”や」
「アホか、それ”ビジョン”じゃなくて、”コンジョウロン”や。”ジョ”と”ン”しか合っておらへん。だいたい、おまえの会社の社員、100人もおらんがな。ま、みんなで100万回、合計1億トライしたら、おまえみたいバカ揃いの会社でも、少しは当たるかもしれんがなぁ」

※事業計画
「そや、ビジョンを実現するために行動するんや、と社長も言うてた」
「タコ社長、いろいろ間違うとるけど、それはたしかにそうや。LSUでも、ビジョン・ドリブンでアクションを計画するんや」
「そや、社長も言うてた。完璧な計画にするんで、原案を周りからバシバシ叩いて完璧な事業計画をたてるそうだな」
「アカン、完璧な失敗パターンやね。事業計画とかいくら精緻につくっても、ぜんぜん当たらんがな。それで毎週報告せいとか、もっと調査せいとか、ムダな”管理”をはじめて、思いっきり足を引っ張るがな。だいたい、その洗練されたアイデアちゅうのが、さっきのモザイク外しか? どこが完璧だがね、完璧に頭が腐っとるがね」

※覚悟
「でもうちのタコ社長、ええとこもあってな、もう決断が早い」
「そか、LSUするには、昔の仮説にうじうじ拘ってたらアカン。即断即決で、スピード感を持って、仮説を進化させていくんや」
「そうや、今期の業績見た途端、今期は赤字になったから、新規事業はヤメ!とか即断即決したがね」
「あー、やっぱオマエのとこの社長はアホだがね。新規事業なんて、そうそう儲かるものやない。子供を育てるのと同じや。ある程度の期間はな、少々しくじっても、見守って育ててやるんや。新規事業を進めるには、最初のお客を掴むまで苦労するとか、儲かるまで我慢するとか、そんな覚悟が必要なんや。そんな覚悟なくして、新規事業をやってはいかん。赤字になったら止めるとか、最悪のパターンだがね」

※おわり
「なんか、ボロクソに言われとるがね。でも、そうかもしらん、やっぱ新規事業はむりかもな」
「オマエも新規事業の担当になって、できの悪い子とはいえ、せっかく育てて来たアイデアだったから、残念だったの」
「そんなことはない、社長が新規事業を始めると言い始めたの、3日前や」
「なんやそれ、いったい新規事業を、なんだと思うとるねん。3日間、悪い夢でもみてたんとちゃんか?」
「夢、、そや、思い出した! 社長が言ってたの、新規事業とはちゃう」
「なんやね、いまさら」
「いや、ごっつう似てる言葉やさかい、ワシも間違えてしもた」
「じゃ、なんて言うとったねん」
「”シンキジギョウ”でなくて、夢や、”シンキロウ”やねん」
「アホか、”シンキ”と”ウ”しか合っとらんやんか!」

※ フォーマット最後のほうは崩れてます。
※ ときどき名古屋弁とかが混じります。


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