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福島原発事故・12年前の記事(Facebook Note)

  • 福島原発の直後に、友人からの問い合わせに答える形で書いたノートです

  • 限られた情報で、けっこう時間をかけて分析した内容で、振り返ってみても、かなり正確です

  • Facebook の思い出しで3月〜5月にほぼ毎日あがってくるので、ノートにまとめました

  • 記事中の個人名だけ◯◯に修正しましたが、あとは原文ママです

  • 記事中のリンクが外れていたり、リンクが無効になっているのが残念

 福島原発の事故(最初のノート)

◯さんから、「一体、どーなってるのか教えてくれ」との聞かれたので、簡単に(一般論を)コメントします。
ちなみに私、第一種放射線取扱主任者資格持ってますし、(原発ではないが)プラント設計してました。
内容は基本合っていると思いますが、コメント歓迎。
 
1.これはチェルノブイリ?
チェルノでは、制御棒の引き抜きすぎで暴走し、水素爆発で圧力容器が吹き飛んだ。その結果+後の火災で、中の燃料(放射能)が10トン単位で大気中に直接飛散。
福島は、制御棒は入っているし、今のところ冷却できているので、圧力容器は大丈夫だろうから、チェルノには(今のところ)なりそうにない。
 
2.ではスリーマイル?
福島は、圧力容器は壊れなかったスリーマイルに近いです。
スリーマイルで漏れたのは、冷却系からの気体放射能が主です。
でも福島は、チェルノ並に水素爆発しており、圧力容器が壊れなかったのは、本当に不幸中の幸いです。
⇒爆発映像は、国内メディアは公開してませんが、怖いです。
http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-pacific-12721498
 
3.今後はどうなるの?
制御棒が入って核分裂は止まっているにせよ、放射能は10年単位で熱を出すので、その期間は何かしらの冷却が必要。その間、放射能がどれだけ放出され続けるかは、冷却系の壊れた程度によるので、分からない。
ただ、緊急停止系や予備発電機が地震で壊れたことを考えると、まともではないはず。冷却水も(放射性の強さはともかく)、じゃんじゃん漏れているだろう。
 
4.報道は信用できる?、避難は必要?
東電の発表は(そもそも)信用できないが、政府の発表は(隠すけど)ウソは言わない、というのが基本と思います。
現地ではなく、東京以遠に限定しますが、チェルノではないので避難は不要なはず。
あと、チェルノと違って固体の放射能が(多量には)ばらまかれてないので、農作物への影響はあまり心配しなくてよいはず。ただ、風向きとかもあるので、確かなことは言えないです。

福島原発事故(その2)

参号機(エヴァ風)が本気でヤバイと、ようやく22時になって、東電から詳細発表あり。以下、ヤフーの記事より引用。
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「参号機は13日午後1~3時にかけて、4メートルある燃料棒のうち2メートル露出したという」
⇒2時間露出とは、スリーマイル島と同じ。その結果、
「露出して温度約700~800度に上がると、燃料棒を覆う被覆管のジルコニウムが水蒸気と反応して水素が発生する」(中略)「「初号機では原子炉建屋内にたまった水素が酸素と反応して爆発。建屋上部の壁を吹き飛ばし、放射性物質を飛散させる重大な事態を招いた」
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今まで明らかにされていなかったが、しっかりと津波の被害を受けていた。
「直後の津波は、各原子炉に2系統ずつある非常用発電機を動かすポンプなどの設備を冠水させ、注水に必要な電源が失われた」(中略)「東電によると、非常用発電機は原子炉やタービンと同じ重要度で、もう少し標高の高い場所にあるが、ポンプなどは重要度がやや落ち、津波に冠水した」
⇒そして、緊急系が機能喪失
「ECCSのほかに2系統ある注水システムが使えなくなり、消火用配管からの注水も手間取った」(中略)「参号機はいったん真水を注水する作業が始まったが、給水ポンプにトラブルが発生」
そしてようやく、
「1号機に続き、設備を傷めて廃炉にもつながる海水の注入に切り替えた」
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プラント屋としては、あらかじめ海水注入の配管やシーケンスが組まれていたことに、若干の驚き。
原発プラントの奥の深さと言えるかも。いずれにせよ機能したようで(未確認)良かった。
どのみちメルトダウンしたら廃炉なのだから、早めに海水注入の決断をしてくれたのは、不幸中の(いまのところ、まだ)幸い。

あと、気になるのがこれ。
「他に福島第1の2号機も水位が下がった。福島第2原発でも1号機、2号機、4号機で異常が確認されるなど、計6基が十分冷却できていない」
津波や地震による配管被害が相当あって、ポンプの停止以外にも、冷却水等が至るところ漏れているのだろう。
「まったく異常な事態だ。非常に危険な事故で、この先も何が起こるか分からない」とは、その通りと思う。
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爆発の可能性も高く、放射線も溢れる中、寒い現地で本当に大変な作業とは思いますが、成功を祈ります。

福島原発事故(その3)

これも東大物理学科の◯◯教授からいただいた、参号機の水素爆発の映像です。
 http://www.nytimes.com/2011/03/14/world/asia/japan-fukushima-nuclear-reactor.html
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ショックが大きすぎて日本のマスコミでは放映されなかったのでしょう。間違った判断とはおもいません。
冷却されていなかった時間(と部分?)が長かった分、壱号機に比べて多量の水素が溜まって、より大きな爆発となったようです。
どのみち、水素が閉鎖的な建物に充満している以上、遅かれ早かれ爆発は避けられなかったでしょう。(水素爆発の危険性は事前に十分承知されていたはずなのだから、天井強制換気の設備とかあればよかったのでしょうが・・)
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爆発の火炎も壱号機よりしっかり見えています。純粋な水素爆発なら(できるのは水蒸気だけなので、壱号機のように)煙は白いのですが、今回は黒い煙ですので、周囲の設備も巻き込んで吹き飛ばしたようです。
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圧力容器自体はとても頑丈な鋼鉄製なので、「あの程度」の爆発で壊れるとは思えませんが、周囲の配管やバルブ、また計器や電力系などは甚大な影響を受けているはず。
海水注入も、消防車を並べて人海戦術?で作業しているらしいですが(未確認)、その作業への影響も、当然のことながら、甚大でしょう。怪我をされた作業員の、ご無事を祈ります。
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水素爆発は、水素が溜まったから爆発するわけで、溜める建家が吹き飛んでしまった以上、以後の大爆発の可能性はないでしょう。(配管内等での小爆発はあるかもしれません)
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一番マズイのは、炉の圧力が高くて、注水自体が(おそらく)できていない、ということです。
NY Timesは、”膨らんだ風船に水を入れようとしている”と表現していました。
爆発後は計器も(仮に壊れていなくても)信用できないので、何がなんだかわからない状態ではないか、と思います。
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ずっと冷却ができなければ、仮に臨界にならなくても燃料や容器が熔ける可能性が高く(スリーマイルでは直前までいったらしい。ただし、詳細は私もよくわかりません)、そうなると本当にチェルノ級の大事故になります。
特に、参号機はプルトニウムを含むMOX燃料を使用しているので、少量でも系外流出したら、実に面倒です。プルトニウムに比べれば、セシウムやヨウ素なんかは可愛いもん、と言われますが、誰も人体実験していないので、確かなことはわかりません。影響を確かめるだけでも、何十年もかかります。
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海水注入を有効にするには、炉内の圧力を解放するしかなさそうですが、バルブ周囲は相当損傷してでしょうし、そもそも放射線で充満しているので、炉の付近には近づけないでしょう。かりに、「決死隊」を募ってバルブまで近づけても、圧力開放は非常に危険(中味が仮に空気でも本気で怖いです)です。また、外気に排出される(液体を含む)気体も、水素だけではなく、炉内の非常に高い放射能を帯びたものになります。
でも、今のままの努力を続けても、おそらく状況は改善しません。(改善することを、本心から祈りますが・・)
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我ながらイヤなことを書きますが…火薬庫を抱えた戦艦大和が、魚雷攻撃を受けつつ側舷注水でなんとか体制維持しようとしている様子を彷彿させます。。。
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爆発で混乱し、状況が見えない中、放射線と寒さに晒され、必死に作業されてる方々に、感謝と(陰ながらですが・・)激励するとともに、チェルノ級の事故に至らないことを、心から祈ります。

福島原発(その4)

>東京電力は14日、福島第1原発2号機に海水を注入していたポンプは、職員がパト
ロールに出掛け、目を離したすきに、燃料が切れて停止したと明らかにした。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/accident/496298/
 
という記事が出ているが、3ヵ月ほど研修でプラント・オペレーションをした経験のある者としてひとこと。(こんな経験あるコンサルタントはそう居ないと思うぞ・・・)
 
現代のプラントというのは、せいぜい5人とか10人くらいで運転しているもの。
原発プラントの運転員になるには、かなり難しい資格試験があって、そもそも数はそんなにいない(はずだ)し、そのプラントに精通した人でないと、運転できない。
非常事態で、3交替の人達とOBとか関係者が全員出てきても、運転できる人はせいぜい50名くらいと思う。人足は自衛隊の人とかを集められるかもしれないが、現場を一応把握しており、それなりの指令できる人の絶対数は、本当に限られる。怪我をした人が10数名の中に、そんな方が入っていれば、戦力ダウンは致命的だろう。
そして、おそらく放射性のある漏れた冷却水や冷たい海水を浴びながら、体力を奪う寒さの中での作業だろう。
運転するにしても、計器などは全く信用できないだろうから、現場と制御室と延々やりとりする必要あるだろうし、その現場というのも、津波や爆発の傷跡で、何がなんだか分からない、というのが現実だろう。
 
敵弾降り注ぐ戦争と、何ら変わらない。
そんな中、ほぼ3日間、徹夜続きで突貫作業、それも海水を注入という現場で考えたオペレーションを組み立てるという中で、確認モレがないほうが、むしろおかしい。
 
相変わらずのイヤな喩えで申し訳ないが・・・戦争なら、指導部の無方針と情報欠如の中で迷走し、壊滅的な敗北に至った、レイテ沖海戦か? (どうでもいいが、半藤一利さんの本は名著)

福島原発(その5)

◯◯さんから、「チェルノ化」について質問があったので、補足も含め、ついでに公開。
状況は、朝からさらに悪化しているし、官房長官会見も相当情報を出すようになったが、ねんのため。
 
軽い順番に書くと、
1.スリーマイル    配管中から放射能が流出(福岡の12日頃の時点)
2.壱号機・参号機  それに加えて水素爆発(13日・14日)
3.弐号機       水蒸気爆発(推定)で圧力容器が破損、内部が流出(15日)
4.チェルノブイリ   暴走し蒸気爆発、続く水素爆発で圧力容器が破損、さらに制御材(炭素)の火災で内部飛散
 
たしかに、チェルノまでは距離があります
(チェルノの場合は、ヘリコプターから圧力容器の中が丸見えになって、青い光が見えていました。見たパイロット、カメラマンは数日後には亡くなっているはずです・・)
弐号機については、どこまで状況悪いのか、わかりません。(臨界に達している可能性も大)
臨界に達してしまうと、東海村の「JCO」の事故と同じように、仮に爆発はしなくても、強い放射線で近づけなくなり、(文字通りの)「決死隊」で作業するしかなくなります。
今も、50名の決死隊が作業なさっているとのこと。本当に心が痛みます。
 
あと、心配なのは、使用済燃料プール。NY Times の記事も、最初にその危険性に触れていました。
使用済燃料は圧力容器に入っていないので(なにせ、プール)注水可能だが、モノは原子炉の中にあるモノと、ほぼ同じ。使用済みとあるが、臨界起こさないだけで、放射能はむしろ高い。
~ 以後は報道の通りなので、プラス、書いていて本当に陰鬱になるので、省略。
 
個人的に心配なのはむしろ今後。 
廃炉と使用済燃料は、今後も数年~数十年にわたって強い放射線を出し続けます。その間に冷却が不十分だと、また水素爆発や水蒸気爆発で放射能が飛散するリスクもある。この対策とオペレーションを、どうやって組み立てていくのだろうか?
 
本当に現地で賢明な努力をしている方々に、特に命を捧げて決死隊に加わっている方々に、言葉では表せない感謝をするとともに、被害が最小にとどまることを祈ります。

福島原発(その6)

東海村の放射線観測リアルタイムデータです。
http://www.japc.co.jp/pis/tokai/trend2.htm
◯◯さんからいただきました。
本日4時頃から、東海村の放射線観測値が上がっています。
四号機の燃料プールの水素爆発と建家の火災で、また多量に散逸したと推定します。
 
放射能も一カ所に溜まっている分には、遠隔地にはそれほど影響ないのですが、爆発や火災があると一気に飛散します。チェルノでも、圧力容器内で火災(むきだしになった制御材の黒鉛、つまり炭、が燃えた)が起こったため、トン単位で放射能が周囲の穀倉地帯に、ばらまかれました。
福島の四号機の(冷却されていない)燃料プールは、いわばチェルノと同じ「むき出しの原子炉」ですから、水素爆発が続くと、チェルノと同じ状況になります。保管された核燃料の量によっては、チェルノ以上の飛散があっても全然おかしくないです。
 
また、MOX燃料を保管していたなら、当然プルトニウムが飛散してもおかしくないです。
このプルトニウムは、強いα線を出すし、半減期が長く、また体内からなかなか排出されません。ですので、大気に拡散した微粒子を吸うと、ごくごく微量でも、一生の期間、肺ガン等になる確率が高まります。
 
ちなみに、東海村の観測ポストは、絶対値としてはまだ低いレベルです。
単位のGy(グレイ)は、(大雑把には)シーベルト(Sv)に読み替えて構いません。
目安として、被曝の累積が1Svになると、確実に健康に(重大な)影響が出ます。
そこまで達するには、
 1Gy/H なら 1時間
 1ミリGy(Sv)/Hなら 1000時間 = 41日
 1マイクロGy(Sv)/Hなら 1,000,000時間 =114年
 1ナノGy(Sv)/Hなら 1,000,000,000時間 = 1.1万年
かかります。
ですので、マイクロGy(Sv)/H表示の場合、1桁ならまあ大丈夫だが、3桁に近づいたらかなりヤバイです。
ただ、プルトニウムは挙動特性が違うので、一般論では括れません。とにかく粒子や雨水を浴びないようにしましょう。

福島原発(その7)

その後の経緯を見る限り、現場で(字句通りで)決死の作業をしてらっしゃる方には申し訳ないのですが、「放射能の大量飛散」 は時間の問題です。
こう言い切ると、煽っているようですが、(建家も壊滅して)ほぼ開放状態の核燃料プールから水素爆発が起こって、高いレベルの放射線が検出されている以上、これは覚悟しないといけません。(杞憂に終われば、それに越したことはありませんし、私もそうなることを心から望みます)
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ですので、今回は 
健康被害の話題
 にシフトします。
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放射線は(電離作用により)生体の分子を破壊します。
タンパク質などが多量に破壊されると、当然死に至りますが、原爆の爆心地近くとかでないと起こらないので、今回は考える必要はありません。
また、壊れたタンパク質は、細胞活動で排除・再生産されるので、少量である限りは、長期の影響はありません。
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しかし、核酸(DNA)が破壊されると、(DNAにも修復機構があるので、これも程度によりますが)、細胞が分裂できない(もしくは異常になる)、という別種の影響がでてきます。
たとえば皮膚や胃腸の細胞、また造血細胞は、2~3日周期で新しい細胞に生まれ変わっています。それができなくなると、当然のことながら、非常にまずい事態になります。
たとえば、JCO事故で大量の被曝(10Gy程度)をした作業員は、被曝当日はけっこう元気だったのが、(細胞交替ができなくなった)数日後から急激に状況が悪化したそうです。そして、皮膚や胃腸や造血が壊死する一方で、(ほとんど分裂しない)神経と筋肉はまだ生きていて、(表現しようもない)激しい痛みの中で亡くなったそうです。
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ただこれも、短時間に大量の放射線を浴びたためにおこる急性症状で、東京に住んでいる皆様(や私)に関係するのは 「慢性症状」 というものです。いろいろありますが、まあ 「ガン」 と思えばよいです。
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どこの部位の癌が起こりやすいかは、細胞分裂の頻度にほぼ比例するようです。
また、ガンの発生確率は、200ミリSv以上の放射線を浴びた場合は、被曝量とガンの発生確率は比例するのですが、50ミリSv未満の場合は比例関係にあるか、明確になっていません。どんな少量でも比例する(=浴びるべきではない)という主張と、ある程度の閾値がある、との2つの学派があります。
ただ、いずれにせよ、50ミリSv以上の被曝は(是非とも)避けるのが賢明でしょう。
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あと、「放射線はとにかく怖い」という思っている人も少なくないですが、たとえば普通に暮らしていても、年間2.4ミリSvの自然放射線は浴びてます。
”大丈夫だよ、取り越し苦労だよ~”とか思ってガンになるのも愚かですが、逆に過剰に心配して体調悪くするのも愚かです。
それと、胎児~子供は、細胞分裂が活発なので、放射線にタイする感受性が強くなります。
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あと、複数の方から、「どのくらいの数値になったら逃げた方がよいか?」という質問を受けています。
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これには唯一の回答はありません。
放射線の感受性に個人差があるという以上に、どれまで将来のリスクを(心理的、また経済等の状況的に)許容できるか、という判断に従うからです。
まあ、仮に(学術的には)安全とされる、50ミリSvまでの被曝を許容する、と考えましょう。
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すると、浴びる放射線が
 100マイクロSv/Hなら、およそ20日でオーバー
 10マイクロSv/Hなら、 およそ半年でオーバー
 1マイクロSv/Hなら、  およそ5年かかる
 0.1マイクロSv/Hなら、50年くらいは大丈夫 (⇒まあ、これならOKね)
という感じです。
(ちなみに、自然放射線は0.3マイクロSv/Hくらいです)。
もちろん、現実には、より危険性の高いプロトニウムの飛散とか、いろいろ考えるべき条件もありますが、桁としてはこんなもんかと思います。
ですので、1マイクロSv/H以上になったら(なりそうなら)警戒して、2~3マイクロSv/H以上になったら(なりそうなら)本気で心配したほうが賢明と思います。
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福島第一の発電所内での観測値は、400,000マイクロSvとか(=400ミリSv、3月15日、参号機)とか、とんでもない値になってます。
また、東海村でも瞬間風速で5マイクロSvとか、予断を許さない状況です。
ただ、東京ではそれよりずっと低い値ですので、まだ「逃げる」必要はありません。
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ちなみに、個人的な話ですが、こんなこともあるかと、ガイガーカウンターを買いました。
(私が買ったのは2万円の簡易型の機種ですが、同じものが今日見たら20万円近くになってました・・)
3月16日夕方時点で、自宅@鎌倉では、0.2 μSv/H 付近で、自然放射線と同レベルでしたす。
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ただ、私は、3月の東京での仕事予定が全部吹き飛んでしまい(涙)、他の誘いもあって、今は関西にいます。
ということで、ガイガーカウンターの到着直後に移動してしまい、まだ東京は測れていません。 
東京に戻ったら、鋭意いろいろ測って報告します。

福島原発(その8)

原発事故については、現場の方々の懸命の努力の甲斐もあって、昨日までの”制御不能”的な最悪の状態からは、部分的には、脱しているようです。まだまだ予断は許せませんが、状況は昨日よりは相当マシ、になってきました。
命を張って頑張っている現場の方には、本当に感謝と尊敬の念しかありません。
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その反面、人として腐りきっているのが、”中央”の連中。
真実をひた隠す東電はともかくとして、一番怒り心頭に達したのが、この報道!
「政府は、原子力安全・保安院の職員らを、福島第1原発からおよそ5キロのところにある「オフサイトセンター」で待機させていましたが、15日午前、第1原発からおよそ50キロ離れた郡山市まで退避させました。」(3月16日、TBSニュース)
(管轄外の)北澤防衛大臣が会見中に漏らしてしまったが、元のリンクは(ご丁寧に)消されている。
保安院とは、東電の指導もするが、最大の任務は「原発の安全性を国民に知らしめる」ことで、「原発に反対するケシカラヌ(非)国民」を矯正する、ことです。(このくだりは、ずいぶん前に通産省の友人が言ったもの)
その連中が、国民には”20KMは安全です”と言っておきながら、自分たちはのうのうと退避するとは、どういうこと!?
旧日本軍幹部と同じで、兵士と国民がいくら死のうが、自分たちは逃げ隠れて、責任を全く取ろうとしない。
今すぐにでも、地獄に落ちて欲しいです。
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このような政府のする「大本営発表」は、信用してはいけません。
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では、”どんな記事なら良いか?”というところですが、私は特に下のリンクを推薦します。
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1. http://takedanet.com/ :中部大学の武田先生の記事です。武田先生は、おもねらない正論を吐くので、環境活動家(エコ精神主義者)からも攻撃されていますが、科学者の鑑と思っております。
2.http://www.cnic.jp/modules/fukushimaNPP/ 原子力情報資料室のサイトです。科学者の鑑であった故・高木仁三郎博士の作った科学者団体で、今回の事故でも、東電が情報隠しまわっている頃から、最も早く正確な情報分析をしてくれました。また東京・新宿での放射線計測値を表示してるので、参考になります。
あとは、マイFBになりますが、東大の押川教授が海外情報など、いろいろ集めてくれています。
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では、本題に戻って、
「東京を脱出した方がよいか?」
という質問について(その7)でコメントしましたが、追加します。
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最初に、これは個人の判断の問題であり、正解はありません。
なぜなら、放射線障害は(病気や事故と違って)確率的に発生するものであり、たとえば”5%の人にガンが発生する”ことを、”怖い”と見るか、”それなら大丈夫”と見るかは、人により異なります。また、脱出には、”仕事が東京なので脱出したら収入がなくなる”といった、経済などの問題も絡みます。
ですので、最終的な「脱出する・しない」の判断は、(十分な情報を得た上で、ですが)個人がするしかありません。
あと、以後の話はあくまで「東京(+その近く)」ですので、福島や北関東は違う話になります。
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ただ、一般論としては、
1.健康被害(のみ)の面からは、現時点で脱出する必要はなさそうです。
(昨日なら違うことを言っていたはず。あくまで注水が成功しているという前提で)
2.再臨界や水素爆発に伴うプルトニウムの大量飛散などが起こったとき、東京脱出できるか不安なら、今のうちに「疎開」するのは、よい選択肢です。イザとなっても、日本政府はまともな報道をしないでしょうし、脱出しようにも道路も鉄道も封鎖されるでしょうから。
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実は私も3月中の仕事のアポが、今回の災害と原発のおかげで、全部吹き飛んだので、久しぶりの観光ついでに、しばらく京都におります。(これも疎開かな?)
現地で会話した(あまり多くない)人の中にも、東京から「疎開」してきた方もみえました。
うち一人は、横須賀の米軍基地に勤務の方で、”米軍は、日本政府と違って、動きが早いから、横須賀からは撤退モード”とのこと。(ただし、この方は高級将校でもないので、全面的に信用できるわけではない)
あとは、(話したわけではないが)やんごとなき御方。
京都御所は厳重警戒で、さるお方がいらっしゃるのは(地元民には)分かるらしい。
これが疎開か予定行事かわかりませんが、いずれにせよ(17日以後は)東京には居ない模様。
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出先で効率が悪いこともあり、とりあえずは本日の記事は、ここで終わりにします。
いずれにせよ、役立たずのマスコミに頼らずに、サイトの情報などで各地の放射線計測値をモニタリングしながら、意思決定いただければと思います。(http://getnews.jp/archives/104939 など多数)
私も、東京に戻ったら、ガイガーカウンタの計測値を随時アップしていきます。

福島原発(その9)

まずは、大前さんのリンクの紹介。
大前研一ライブ http://www.youtube.com/watch?v=8GqwgVy9iN0
 
日立の原子炉設計者だった大前さん、相変わらずの「オレ、オレ」だが、内容はとても面白い。
東電を「腐りきっている」とか東電なんかに「一銭にもくれるな」とか、「蝉のしょんべん作戦」とか、「八つ場ダム方式」とか、好き勝手な&正しいことを言っている。政府からは嫌われて干されているけど、こーゆー人は貴重だね。
5年間は冷却必要+恒久的にコンクリ封鎖の話は、原子力を知っている人なら当たり前だが、「政府が聞いてひっくり返った」とは、こっちが本気でひっくり返った。ほんとに無知(+唇寒くなるからモノ言わない人)の集まりか。
(大前風に言うと、「事後の重大さについては、私も(その5)で指摘した」かな?)
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チェルノブイリの事故でも、発電所を管轄する共産党組織が、(減点評価による粛正を怖れて)政府の上層部に事故を隠し続けた。当時のゴルバチョフ書記長は、英国からの「ロシアで放射線が異常増加している」との情報で、初めて事故を知ったらしい。この隠蔽で、ウクライナや白ロシアの市民を大量被曝をさせた。
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日本でも、東電が情報隠しまくったことが、今回の甚大な災害の大きな原因になっている。
 
初動で、大規模な災害の可能性を想定して、自衛隊や米軍を呼べばよかったものを、第2次大戦の日本軍のように戦力の逐次投入で「蝉のションベン作戦」をして、放射能拡散に直結する溶融を拡大させた。
 
私は、これが日本国ができる最大のことかと思っていたのだが、自衛隊には世界に誇る災害支援部隊がある。( http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20110318/219041/?P=1 )
 
週刊誌の記事だが、自衛隊幹部は「原発事故で菅政権が潰れればよい」と非協力だったとの話。これも、最初から「国難」と伝わっていたら、2~3日は動きが早かっただろう。
 
政府には原発に対処する(まともな)専門部門がないので、それはそれで悲しいことだが、東電が隠したら、誰も何もしないまま放置される。
 
その東電が、今でも隠しているのが、(少なくとも)3つある。
 
ひとつめは、参号機のプルトニウム。
プルサーマルをしていた参号機の燃料棒には、5-10%のプルトニウムが含まれている。参号機の燃料プールには、プルトニウムにして、少なくとも1トンくらいあるはず。
プルトニウムは、α線という破壊力の強い放射線を出すので、ごく微量でも癌化作用が強い。
その毒性については、確たる数値はないが、1ミリグラムの体内摂取で癌が発生する、との説がある。
1ミリグラムのプルトニウムは、毎年およそ10の17乗(=10x1億x1億)個のα線を出すので、不思議ではない。
(これは、単純に言うと、1KGで100万人、1トンで10億人を癌にできるわけだが、放射能が全量かつ各人均等に行き渡るわけではないので、参号機が日本全国民を癌にするということにはならない)
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チェルノブイリの事故では、公式発表で数千人、実態はおそらく数万人以上の癌患者を、今でも生み出している。癌の発生は、白血病で事故発生から10年後、その他の癌は20年後に多く起こるようで、まだ全貌は掴めないらしい。
プルトニウム燃料は、化学的には安定した重金属の酸化物なので、食物からはまず吸収されない(経口吸収率はたった0.05%)が、空気中から粉塵を吸い込むと肺で吸着しやすく(約1/4を吸着)、一度吸着したらほぼ一生、体の中に留まる。(正確には臓器によるが20~50年で半分排出される)
つまり、一度プルトニウム入りの粉塵を吸い込むと、一生α線を体内で浴び続ける。
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おそらく先週の参号機の水素爆発で、プルトニウム粉塵も排出されたはずだが、その量は(少なくとも私には)全く分からない。分かっても報道されないだろう。
その後は、弐号機・四号機を置いても、参号機に放水され、粉塵飛散は収まった模様であり、これは何より良かった。ただ、全貌が明らかになるまで、油断はできない。
あと、プルトニウム以外にも、セシウムやヨウ素といったものも、飛散したわけで、これにも注意は必要。
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とにかく、放射線のモニタリング数字が、(3月16日の東京のように)住んでいる地域で上がったら、花粉マスクは必須。プラス、雨には濡れない、そして外の埃を室内に持ち込まない。この3つだけでも相当防げます。
あと、食べ物については、野菜は表面を洗えば大丈夫なはず。むしろ、風評被害が可哀想です。
魚は、後に書くように生物濃縮があるので、ヤバイかもしれない。(未知数)
放射性のヨウ素は、東京に住んでいる方なら、トロロ昆布を毎日飲めば、そうとう予防できるらしいです。
(私は事故直後にヨウ素サプリを米国に注文しました。すぐに品切れとのことで、まだ来てませんが・・。来たら希望する方にはお分けします)
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ふたつ目は、作業者および住民の被曝
週刊誌の記事は、作業にあたった社員・下請け業者が水素爆発で大怪我をした様子を生々しく伝えているが、東電の公式発表は、実に素っ気ない、というより完全無視。
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現地では現在も、東電社員、東芝・日立や下請け工事会社といった「出入りの業者」、また消防士や自衛隊の皆様が、被曝をしつつ作業している。
いくら管理をしても、その内数名は、数ヵ月以内で死に至る放射線を浴びているはず。
また、それより圧倒的に多くの方に、数ヵ月後に常に気分が悪くて・疲れやすく・仕事のできない、いわゆる「原発ぶらぶら病」ともいわれる症状がでるはす。ただし、この病気は、国も東電も一貫して否認してきたおり、今後認めるわけがない。彼らは、日本国民を助けた見返りに、国からは見捨てられるわけである。
仮に東電社員は手厚い福利厚生で守られるにせよ、それ以外の(表現は悪いが)兵隊さんは「尽くし損」である。
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そして、それ以上に、無視されるのは住民の被曝である。
なにせ、チェルノブイリでも真っ先に配られたヨウ素剤が、明らかに放射性物質を撒き散らかした後でも、「副作用があるかもしれないから、配らない、飲むな」とか言っている。どうゆう神経?
住民には”20KMなら安全”と言いながら、自分たちは50KM先まで逃げるとか、一体どういう腐った政府だろう。
住民に被害があっても、どうせ10年以上先のことだし、まともに公表されることはないだろう。
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みっつ目は、事後の処置
大前さんが指摘するとおり、あの原発は数年間は水で冷やして、その後コンクリートで覆い尽くす必要がある。
チェルノブイリの「石棺」である。
東電の幹部はまだ、「廃炉にしたくな~い!」と言っているだが、建家は水素爆発で大惨事、炉内も損傷、放射線が強くて修理もできない。一体、何考えてるんだろう? ここまでヒドイと、邪悪以上に無知かもしれない。
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参号機の爆発で起こした空中への飛散という最悪の事態は、この後は何とか避けられそうだが、冷却水は当然のように海に排出される。
空焚きとか水素爆発とかしたほどだから、ジルコニウムの被覆は相当傷んでいるはずで、そこから長期的に放射能が漏れ出す可能性は大きい。もっとも、水溶性の化合物は既にかなり流出したであろうし、短期で崩壊する放射能は残量少なくなるので、事故当初ほどの溶出はないだろう。
溶出量は、私には全くわからないが、生物濃縮して魚とかには高濃度に溜まるはず。
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いずれにせよ、この後どうするか、誰がどう決めていくのか、道筋が全く見えない。
水害後の町をどう再建するのか、という大テーマもしかりなので、東電ばかりを責めるわけではない
しかし、数年の冷却とコンクリ封鎖の必要性を口に閉ざし、廃炉にさえ抵抗している東電は、本当になんとかならんのか?

福島原発(その10)

今回は、 
1.盛んに報道されている、水道水などの放射線って、どのくらい怖いの?
2.最終的にどのくらいの影響が出るの?
について、解説します。
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1.水道水などの放射線って、どのくらい怖いの?
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大まかには、累積で1Svの放射線を浴びると、発ガン可能性が10%程度増えるようです。
http://www.newtonpress.co.jp/newton/radiation/pdf/Newton_radiation.pdf
(ただし、これは長期の累積値であり、同量でも短時間に浴びると(生体の修復機能が追いつかないので)生死に関わる)
ですので、一般人向けの基準値である年間1ミリシーベルトは、十分余裕をもった安全値といえます。
毎日水道水(だけを)を飲み、炊事に使った場合、どのくらいの線量までOKかを計算すると、
 (1) 100Bqのヨウ素131で、2.2マイクロSvに相当する (http://testpage.jp/m/tool/bq_sv.php?guid=ON )
 (2) 1日1.5リットルの水道水を体内に入れるとする(ちなみに、風呂の水は関係ないですよ)
 (3) 細かなことを言うと、体内の吸収率とか滞留時間とかいろいろあるが、無視
なので、この1ミリシーベルトに相当する線量は、1リッターあたり約100ベクレルになります。
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ということで、福島当たりの水道水の汚染はかなりヤバイですが、今の東京の水道水のレベルでは、全く問題ないです。
金町浄水場からは一瞬190Bq出たようで、これが続くと本気でパニックになったと思いますが、とりあえず収まったようで良かったです。
”東京水”を無闇に怖がって、明らかに体に悪いコーラを飲む方が、よほどヤバイ(というか、馬鹿)です。
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ただ、放射線に関する感受性は、人により相当異なります。
私の知人に、化学物質過敏症の方(農薬・洗剤・排気ガス・接着剤など、いろいろな合成化学物質に対するアレルギー、ちなみに私の妻も同病)がいます。
その方(草加市在住)は、「(東京の放射線濃度の上がった日に)外出すると、10分くらいで、露出していた皮膚に今までに経験ないヒリヒリを感じ、目も赤くなり涙が止まらなくなった」と言ってます。
ところが、この方の旦那さん(とおそらく殆どの方)は何も感じなかったそうです。
このように感受性の高い方は、基準値の桁数を下げて対処するのがよいかと思います。
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あと、水道水中のプルトニウムは、全く心配ありません。
原子炉から放出されるのは、非常に重い(比重11)の酸化プルトニウムで、仮に水源地に飛んで来ても浄水過程で(砂等と一緒に)除去されます。仮に飲んでも、どのみち体は吸収しせん。
プルトニウムが怖いのは粉塵が肺に入ることであり、マスクで防ぎましょう。(前述したように、一度吸い込むとアウトですので、これは本気で)
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野菜については、個人的には過剰反応と思ってますが、これは前回書いたことだし、食べたくても流通してないので、パス。
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ついでに、ちょっと文脈違いますが、岡山大学の津田教授が線量毎の避難の指針が示してますので、ご参考までに。
 (1)1000マイクロSv/H以上なら、緊急脱出必要
 (2) 100マイクロSv/H以上なら、脱出の準備を始めた方が良い
 (3)  10マイクロSv/H以下なら、なら安心して良い
ただし、妊婦は1/3の線量で考えろ、とのことです。
http://smc-japan.sakura.ne.jp/?p=1310
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2.最終的にどのくらいの影響がでるの?
チェルノブイリの事故での死者は、以前から”ウソ”として悪名高かった公式発表で4000人だが、下の原子力資料情報室のレポートは、作業者の死者が約3万人、(将来含む)癌死者が2~6万人、間接的な影響で数万人と、10万人規模の死者、と計算してます。
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/tyt2004/imanaka-2.pdf
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チェルノでは、炉内燃料が10トン単位で飛散したし、ソ連共産党官僚が事故を隠して、キエフ市民に放射能の雨を浴びせたし、風がウクライナの穀倉地帯に放射能を運んだしと、ろくでもない条件が整ってました。
それに比べて、今回の福島は、そもそもが僻地だし、放射能を主に海にばらまいた、という幸運もあります。
http://www.irsn.fr/FR/popup/Pages/animation_dispersion_rejets_17mars.aspx  
まだ予断を許さないとはいえ、今の状況で推移する限りは、(イヤな言い方ですが)現地で必死に作業している方々以外には、死者はあまり発生しないと考えて良いでしょう。
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想像力(=無責任な数字)で言ってしまうと、まあ数百名程度ですかね?
いずれにせよ、今回の津波による死者(行方不明含め)2万人以上に比べれば、ずいぶん小さな数字に収まるはずです。
もちろん、被害の度合いは直接・間接の死傷者・病人数だけではなく、立ち入り禁止地区の設定などによる(風評被害含めて)自治体の(実質的な)消滅や経済活動への波及とかも、考えなければなりません。
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でもこれが、(何も知らずに)活断層ど真ん中に建ててしまった浜岡原発で同じような事故がおきると、東京まで間違いなく放射能は飛ぶし、パニック必至です。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%9C%E5%B2%A1%E5%8E%9F%E5%AD%90%E5%8A%9B%E7%99%BA%E9%9B%BB%E6%89%80
それで、東海道エリアが汚染で閉鎖とかになったら、日本全体の機能が止まります。
原発の放射能で直接的に死ぬ人よりも、その為に死ぬ人の方が(短期的には)ずっと多くなるでしょう。
(誤解を恐れずに言うと)、(確実に来る)東海地震と、今回の東北地震の順序が逆だったら、(原発に限らないが)圧倒的に大変なことになっていた、はず。
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まあ、今回の事故を契機に、既存の原発については安全対策が強化されるとは思います。
さすがに国も、今回ばかりは「一度認めた基準ですので、(かつ、国は間違えませんから)、直す必要ありません」とは言えないでしょう。
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ただし、原発については、安全性もさることながら、技術の本質に欠陥があります。
安全策を強化したから、OK、ではないのです。
今(まで)は脱CO2で原発推進ムードもありましたが、国家100年(以上)の計で考えると、(今のウラン型)原発はダメ技術です。
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次回以後は、そのことを解説していきます。

福島原発(その11)

今回は、「原発って、いかに 『ダメ技術』 か」 ということで書きます。
ただ、この論点は、客観的な議論がしにくいので、異論は歓迎です。
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原発が経済に大きな負担を強いるものであることは、前回紹介したレポート(http://bit.ly/fJ7N33)が示すとおりです。
また、今後エネルギー需要が(否応なく)縮みゆく日本では、エネルギー源としての原発もいりません。
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そして、そもそも原発とは、「技術として、論外にスジが悪い」ものです。
原発とは、(1)せいぜい数十年しか使えない燃料を燃やして、(2)何百年も残る核廃棄物を作り、(3)何万年経とうが核兵器に転用可能というものです。
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個別に説明していきましょう。
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(1) ウランの資源寿命はせいぜい数十年
私が子供の頃の記憶では、原子力は「夢のエネルギー」で、未来のエネルギー問題を解決する切り札だったはずだ。
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ところが現実には、ウラン資源は、2005年時点で、使用量67KtUで、埋蔵量3,200KtU(半分が豪州と北米)と推定される。単純計算すると、あと50年しかない。これでは石油と同程度だし、数百年分の埋蔵量がある石炭よりずっと短い。
もちろんこれから発見される鉱脈もあろうが、 中国なども(福島の事故にめげずに?)原発建設を推進しており、使用量も増えるので、資源寿命が100年以上に増える可能性は少ない。
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ウラン資源の制約は、最初から分かっていたことで、昔は政府も「ウラン資源は有限だが、『高速増殖炉』で無限のエネルギーを生みます!」と宣伝していた。しかし、冷却剤に金属ナトリウムを使う高速増殖炉の運転は難しい。なにせ、金属ナトリウムは、水と触れると大爆発し、空気と触れると燃え出す代物だ。私事になるが、(理化学部にいた)高校時代に実験で是非ともナトリウムが必要だったのだが、あまりに危険で買ってもらえなかった覚えがある。
日本でも高速増殖炉は、95年の実験炉「もんじゅ」の事故以来、開発は停止している。「もんじゅ」を設計した大前さんも、ビデオで”打ち止め”を宣告しているほどだ。もう一つの核大国、フランスでも実験炉(スーパーフェニックス)は放棄されている。
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ということで、ウランを資源として使えるのは、(甘めにみても)あと100年ない
高速増殖炉のことは、国も”忘れたフリ”をしている。こういうことを、ふつう詐欺という。
 
(2) 放射性廃棄物は数百年も残る
原発の使用済燃料は、高速増殖炉さえ機能すれば、再処理をして突っ込める”貴重な資源”である。
仮に捨てる必要があっても、ガラスに固めて海(日本海溝)に沈めれば”OK!”、と思われていた。
ところが、海流の流れは予想以上に活発で、海に沈めても放射能が延々漏れ出てくることがわかってきた。
燃料の捨て先がなくなってしまった原発は、「トイレのないマンション」とも言われる。
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そしてこの使用済燃料は、福島原発でも大問題になっている通り、実に難物なのだ。
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(1) まず、使用済でも燃料は”熱”を出す。福島原発では、緊急停止をしたあとも、この熱のために炉心が融解したり、水素爆発・水蒸気爆発を誘発している。ヨウ素など半減期数日の核種の崩壊熱は短期間で済むが、セシウムなど半減期が年単位のものも大量に残って延々熱を出し続ける。
 
福岡原発の使用済燃料も、現場に近づける見通しもなく、被覆が破損しているから、数年間は移設も無理だろう。大前さんの言うとおり、”福岡原発は、まずは5年・10年あの場で冷やし続ける必要がある”わけだ。

(2) そいて、半減期の短い核種が崩壊し”粗熱”が取れても、まだまだ放射能は残っている。米国では砂漠に塔を立てて自然冷却という方法で放置すればOKだが、砂漠のない日本では使用済核燃料は地下に保存する計画だ。しかし、放置はできず風で延々冷やし続ける必要がある。数百年の長きにわたって、である。
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数百年と一口に言うが、たとえば200年前なら江戸後期、500年前なら応仁の乱のころである。寺社建築や仏像だって、こんな長期に守られ続けたものは少ない。
原子力とは、せいぜい我々世代が便利になるために、子々孫々にわたって危険な燃えかすを押し付けるものである。この非道さに比べれば、年金なんてかわいいものに思える。
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この使用済核燃料については、国際原子力委員会もつい最近、”だれもまじめに考えてない”とのレポートを出したばかりだ。
日本は、六ヶ所村に作った処分場に当面ため込んでいるが、その後どうするかの目処はたっていない。
たぶん、他の国と同じく、”誰もまじめに考えていない”のだ。”いや、ちゃんと考えている”という人がいれば、(お願いだから)是非とも教えて欲しい。
個人的には、多少の放射能漏れは覚悟しても、使用済燃料は日本海溝に沈めたほうが良いと思う。なぜなら、使用済燃料の中には、将来に大きな禍いとなる「プルトニウム」が多量に含まれるからである。 
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(3) 残った廃棄物からは簡単に核兵器が作れる
この2~3日でクローズアップされた「プルトニウム」は、強烈な発ガン性以上に、核兵器の原料として有名だ。
プルトニウム239の臨界量は、12.5KG、容積にして650ccでしかない。つまり、牛乳パックほどのプルトニウム塊があれば、原爆が作れる。
もちろん、誰でも作れるものではないが、原爆の設計書はネットに公開されているし、核兵器級のウランの精製が非常に難しいのに対し、プルトニウムの精製は、それほど難しくはない。それに、純度の高いプルトニウムは(透過力の低い)α線しか出さないので、”こっそり”と運びやすい。プルトニウムとは、原爆つくりに向いている金属なわけだ。
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使用済燃料の保存庫は、テロリストからみれば「宝の山」だ。
このプルトニウム239の半減期は、2万4000年もある。
熱だけなら(それでも)数百年を考えればよいかもしれないが、原爆対策なら数万年にわたる管理が必要だ
もちろん、そんなことは人類が経験したことはないし、今からできることとは到底思えない。
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原発の推進や反対の議論は、事故の危険性とか、防波堤を補強しました、とかの話では済まされない。
正直なところ、そんなことは(長い目で見れば)どうでも良いと思っている。
原発の問題とは、この数十年の「利権」と引き替えに(便利な生活には実は原発は要らない)、子孫に数百年~数万年に渡って、大きな禍を押しつけるのか、という問題だ。
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こんなことは明白なのに、どうして誰も言わないのか、とても不思議です。
(実は私が間違っているのなら、それが一番うれしい。本当に教えてほしいです)
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では、今後の長期的なエネルギー政策はどうすべきか、次回以後はそんな話に移ります。

大前さん@首相官邸(3月27日)

”FRIDAY”を立読みしていたら、大前さんが菅首相にレクした記事が載っていたので即買い。ちなみに、FRIDAYはエロ写真付きの週刊誌だが、さすがは講談社、記事は必ず裏取りのチェックを入れるそうで(友人情報)、無知&隠すマスコミよりは信用できそう。(ちなみに、”私のような「素人」にも分かる説明がほしいです”と叫ぶ民放司会者には、切れた。お前が勉強して、視聴者に説明しろ!)
 
記事中、大前さん曰く、(以下、文面は多少再構成)
 
○壱号機・弐号機・参号機、すべて炉心溶融の可能性が高い。黒煙が出た参号機は、格納容器の下に穴が空いて、床の物質を焦がしたのでしょう。あれだけの水素爆発や火災を引き起こしたのに、東大・京大・東工大の原子力の先生方は、どうしてあんなに澄まし顔をしてテレビに出演しているのか?
 
○福島原発の今後のシナリオは、
1.炉心溶融→格納容器底部を溶融→圧力容器の水漏れ
2.炉心溶融→格納容器底部に蓄積→再臨界
3.炉心溶融→圧力容器底部に集合・再臨界→暴走 
 
○福島第1原発を沈静化させるのに、最低5~10年かかる
 
(他にもいろいろあったが、基本は先日紹介したビデオ http://www.youtube.com/watch?v=5mBlngPiaSY と同じなので、省略)
 
週刊誌の記述 
 
○東電は、当初こそ”原子炉は傷ついていない”と根拠無く主張したが、今では壱号機~四号機とも、炉心が1000~2000度に達し、燃料棒が溶け出したことを認めた。
 
○圧力容器底部で進む水素分解反応を止めようと水を掛けると水蒸気爆発が起こり、圧力容器が吹き飛ぶ可能性。(元東芝の設計者、後藤氏)
 
○現在原子炉内の温度は、500度に達しているのではないか?(東電幹部社員)
 
○菅首相は、当初の東電の”炉心に問題はない”という見立てを信じて、米国調査団の立ち入りを断ったが、その直後に壱号機で水素爆発が起き、メンツを潰された。
 
○大前氏の話を聴きながら、菅首相は青ざめていった。
 
感想
大前さんの話は、先日のBBTのビデオでも流されましたが、関係者なら十分想定できるとても常識的なこと。(門外漢の私だってかなり当ててたくらいだ)
そんな基本的なシナリオが、首相の耳にまだ入っていなかったのは、どういうことだ?
菅さん自身も当たり散らすという欠点があるにせよ、そもそも今後の基本シナリオを誰も持っていない、少なくとも共有していないのではないか? あらためて、危機感を感じる。

大前研一@首相官邸 (続き)

感想をちょっと追加
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1.汚染水の件
つい先日まで、放水こそが原子炉および使用済核燃料を安定のための最優先の仕事、だったはずなのに、汚染水の事故以来、あれほど大騒ぎして実現した放水(の報道)がピタッと止まっている。
汚染水を外に漏らさないというのは、立派な心がけだが、それで良いのか?

壱号機・参号機についても、漏水(水位低下)が明らかになった時点でベンド(排気弁)を開けていれば、ある程度の(高濃度の)放射能は漏れても、低圧での注水が可能になって、水素爆発には至らなかったのではないか?
それを、”スリーマイル並の事故にはしたくない”という「保身」から、より悪い結果になってしまった、と推定する。

圧力容器から漏水している可能性が高い以上、猶予はないはず。
どのみち、今の時点でも、将来的にも福島原発付近の海は立ち入り禁止だし、(生物濃縮するので)海産物も広い範囲で出荷停止だ。(おそらく、たいして放射性物質の飛散していない野菜より、海産物のほうが問題になると思う)
ここは緊急避難的に、炉心から直接漏れた超高濃度のもの以外は海に流してでも、注水を続けるべきではないのか、と思うのだが、いかがだろう?

2.ベンド(排気弁)の件
FRIDAY誌によると、『日本の原発は、(チェルノと違って)万一の事故が起きても格納容器があるから、一切放射能を出しません』と、国際機関の勧告に関わらず、ベンドを取り付けるのを渋り、付けたベンドも(他国では標準の)放射能除去装置が付いていないそうだ。

前回の記事で、『原発が絶対安全と言(ってしま)った以上、より安全な方策を拒否する』という、不条理がここでも起こっているようだ。あと後知恵だけど、前回記事のスウェーデンのPIUS式の知恵を借りていれば、今回の事故は起きなかったのにね。。

あと、大前さん以外にもいろいろ記事があったので、(個人的に)面白いところだけ、つまみ食い。

3.下請け作業者について
私も3次請けくらいなら(自分自身の経験として)知っていたが、原発では7次請け・8次請けなんて言葉が平然と出るのには唖然とした。階層毎に25%くらい抜いていくと、5~6倍の値段になる。そりゃ、業者は群がるわ。
その分、管理は杜撰になるし、人も選ばなくなる。
私自身がプラント建設の仕事をしていたので、同じくプラント建設をした方の書いた「素人が造る原発」( http://www.iam-t.jp/HIRAI/pageall.html )という記事は、とても実感値がある。良い記事です。

4.「Jビレッジ」での差別について
以下は文春の記事だが、自衛隊と消防が使用している東電の「Jビレッジ」という(地元対策の)豪華な宿泊施設で、自衛隊と消防は、宿泊室も研修室も使わせずに、シャワーも浴びられず、通路等に雑魚寝させられている、とのこと。
なんでも、東電幹部(誰?)によると、「過酷な戦いをしていらっしゃる自衛隊の方々に荒らされるのは何とか避けたい」らしい。文春も取材は裏取りはする雑誌なので、事実だろう。
こういった、社会常識とずれた差別を、設備管理を担当する末端職員まで平然とするとは、なかなかの徹底ぶりだ。
大前さんは、東電の下請け差別意識について、再三悪態をついていた。
「ちょっとしつこいんじゃないの?」と思ったが、言わせるだけの背景はありそう。

5.情報統制について
『福島の原発城下町では「TCIA」という隠語が使われていた。東電のCIA、つまり住民への諜報活動である。(中略)反対グループの集会やメンバーの家に出入りする住民やクルマをチェックし、村民を徹底的に色分けした。反対派でない、原発に従事する人がメディアを接触するだけで、「明日から来なくて良い」と言われる・・』
この問題自体は他の論者に任せるとして、こうした情報統制は、過激派の内ゲバやスターリンの恐怖政治のように、外部に対してだけでなく、内部に対しても吹きつけるはず。
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これは動燃のコンサルをした知人からの話だが、情報をとにかく出さない、話すこと自体に恐怖がある、だから真実を誰も知らない、という状況だったそうだ。温厚な知人だったが、「腐りきった組織、潰してしまえ」と言っていた。
また、東電の原発部門にいた知人は、「とにかく上意下達で、マニュアル以外の動作は、一切禁止され、頭を使う場面がなかった」と言っていた。
(日本の)現場の強さは、議論を通じてより良いアイデアを生み出していくことにあり、それは私の勤務していたプラントも然りだった。こういった情報の風通しがないと、危機に対して非常に脆弱な組織になってしまう。初動の遅れなどにもつながっているのではないか?
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6.平岩外四について
FRIDAYが「東電の政治力のシンボル」と紹介するのが、経団連会長も勤め、後任社長も経団連会長にした、平岩外四であるが、私はこの人には、非常に悪い印象がある。
私がプラント技術者をしてた頃には、毎月「火力原子力発電技術報」という雑誌が来たのだが、いつかの年初巻頭言で、会長だった平岩外四は、「原子力発電に反対する連中は、全員左翼の『過激派』である。国に異を唱える怪しからぬ連中は、撲滅しなければならない」と唱えていた。
正確な文言はともかく、他の記事がみな工学的な内容だったので、その異様さはよく覚えている。
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こういう「信念の人」だから経団連の会長にまで出世するのだろうが、同時に5の恐怖政治を作ってしまうのだろうな。
私なんかは即刻粛清対象だし、これを読んだあなたも危ないかも。

あなたは3000ベクレル

放射能を含む水や土の報道が続いたり、ノルウェーの研究者が放射能の飛散をシミュレートしていたり(http://transport.nilu.no/browser/fpv_fuku?fpp=conccol_I-131_;region=Japan)してますが、今度はベクレル単位で表示されることも多く、それってどの程度のものなの?、という話をしたいと思います。
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といことで、私たち自身が出す放射線量と比べてみました。
あなた(や私の)体の中にも、炭素14(β崩壊して窒素14になる)とかカリウム40(β崩壊+γ崩壊してアルゴン40になる)という放射能が、ごく微量あります。
計算すると(シート添付)、体重70KGの人は、自分で毎秒約3000個の放射線(=3000ベクレル)を出している(=内部被曝している)ことになります。 (東電は少し多めに5000ベクレルと計算しているが、まあ桁は同じ)
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放射線は地球上どこにでもありますし、このように自分自身でも出してます。ただ、条件によりその桁数が違うだけの話です。
こんな数字を元に、リスク感覚を判断すればよいかと思います。
たとえば、このホウレンソウを1KG全部食ったら(+全部吸収したら)、自分自身の内部被曝の何倍だろうとか。
あと、自然放射線のベクレル値は、ネットでは発見できず(間違った計算をした人はいたが・・)
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以下、ちょい愚痴・・・
ここらへん、放射線が有るのか無いのか(→有るよ!)、安全なのか危険なのかとか(→あなたの判断の問題だよ)、白黒つけろよ!的な質問をされる方も少なくないです。
こいつ、本当に馬鹿じゃなかろうか?、とも思ったりしますが・・・
でも、世界認識のスキームそのものが違うのでしょうね。ゼロイチ思考か、対数スケール思考か、といった具合に。
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ちなみに私、観光&疎開先の京都から、昨日帰ってきました。その東京と京都の往復ドライブ(我ながら非エコ)のリスクも、ちょっと試算してみましょう。
あまり良いデータが見つからなかったのですが、米国では運転70万kmで1回の死傷事故を起きるらしいです。日本でも、20歳から64歳まで運転して死傷事故を起こす確率45%らしく、年8000キロならちょうどそのあたりなので、まあ合っていそうです。(けっこう高いですね・・)
といことで、東京・京都の往復は約1000KMなので、事故確率は、1000/70万=0.14%。これを高いと見るか低いと見るかは、まさに判断の問題ですが、普通の人は「ま、このくらいはOK」と思って運転するわけですね。
でも、トラックとか年に100往復×7年やると、計算上は100%の事故率になります。うーん、こっちのほうが原発作業員や自衛隊員より、よほど怖いぞ。
あと、自然放射線が関西の方が東京より2倍高いとか、移動に飛行機を使うと被曝するとかあるようです(面倒なので計算しません)。それに放射線リスク以上に、生活リスク&仕事リスクの方が、人生にとっては大きいでしょう。
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まあ現状のまま推移する限りでは、東京に住む人は下手に疎開する方が、リスクが高そうです。
(原発近くは違いますからね!、ねんのため)

付録:計算シート(列が揃わなくてすみません)
元素   原子量 人体構成 存在比 核種gram 核種個数 半減期 平均Bq 傾き補正
C 14 10.50% 1.00E-12 7.35E-09 3.16E+14   5730 8.75E+02 1.21E+03
K 40 0.04% 0.000117 3.28E-03 4.93E+19   1.24E+09 1.26E+03 1.75E+03
合計:2.96E+03
 
体重   70   KG
- 人体構成比は、体を構成する元素の割合(重量比)
-- 存在比は、放射線同位元素の存在比率
- 種gramは、人体中の放射性同位元素のグラム数
-- 計算式は、体重×人体構成比×存在比
- 核種個数は、その核種の個数
-- 計算式は、核種gram/分子量×アボガドロ数
- 半減期は、(文字通り)放射性同位元素の半減期(年)
- 平均Bqは、半減期中の平均崩壊数(ベクレル)
-- 計算式は、核種個数÷2÷半減期(秒換算) K40はβ+γ崩壊するので2倍
- 傾き補正は、平均崩壊数と当初の崩壊数の比率で補正したも
-- 計算式は、平均Bq×2の自然対数/2

日本で公開されていない原発情報、など

あの読売新聞でさえこんな記事を書いてます( http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110404-00000603-yom-soci )
 
日本で公表されない気象庁の放射性物質拡散予測
”東京電力福島第一原子力発電所の事故で、気象庁が同原発から出た放射性物質の拡散予測を連日行っているにもかかわらず、政府が公開していないことが4日、明らかになった。”
 
ですので、ドイツとノルウェーで作っている放射線予報を転載しましょう。
 
ドイツはなんと、気象情報のトップページで予測してます。(http://www.dwd.de/
グーグル(Chrome)の翻訳有能です。
毎日天気予報サイトで公開しているそうで、まるで花粉の飛散情報。
海外政府がトップサイトにのせる情報を、日本政府が隠すのは、犯罪的としか言いようがない。
 
前回の記事で紹介したルウェイのサイトは、時間単位で予報を出すスグレモノですが、今時点でアクセス不可能。おそらく、サーバー過負荷でしょう。
でも、ノルウェイの昨日時点での予測では、明日・明後日と、放射能が相当飛んで来る予報です。
 
とくにアレルギーやアトピーなどの方、真剣に対策したほうが良いです。
私の知人で化学物質過敏の人が埼玉県におり、彼女は通常でも殺虫剤・農薬・合成香料・合成洗剤などに非常に強く反応するのですが、福島原発の参号機爆発以来、今までなかった痒みやヒドイ赤目が続いており、その症状は予報の濃度に比例しているそうです。彼女の近所の(ちょっと弱い)化学物質過敏症の方も、昨日あたりから同じ症状が出始めたとのこと。
予防原則的に、「外に出ない。子供は出さない。出るときは必ずマスク」といった措置をしたほうが良いと思う。
 
あと、フランスの専門家が指摘する画像を「是非」見て欲しい。
http://livedoor.2.blogimg.jp/hanagenuki-jet/imgs/e/8/e8258bc1.jpg
なにせ情報出さないので真相わからないですが、”あちゃー、やっぱダメだったのか!”と思わせるに足ります。
これも、日本のマスコミは絶対に出さないでしょうね。

21世紀の本命~トリウム原発 (福島原発12)

今まで東電や関係者の動きが面白くて、本題に入るのが遅れているうちに、日経ビジネスに先を越された。(という言い方は何ですが・・) 昨日の記事ですが、会員制なので内容を一部抜粋。筆者は、小野田セメント専務(当時は超一流企業だ)を勤めジャーナリストの谷口正次さん。
 
さよならウラン、こんにちはトリウム
米中印が続々参入…福島原発事故で浮上した未来の原発
 
津波が福島ウラン原子力発電所を襲い、原子力に対する国民の信頼を失うことになる数週間前のこと。中国科学院は、「トリウム溶融塩炉システム(以下、トリウム原発)を“戦略的・先導的科学技術特別プロジェクト”として選択した」と、公式発表した。
 
 トリウム原発は、有害廃棄物がウランより1000分の1以下になり、本質的に悲惨な事故を起こしにくいシステムだ。
トリウムは連続的にウラン233を作ることによってトリウム自身の燃料を生み出し(=増殖させ)、同じ量の燃料からウランの約90倍のエネルギーを生み出すことができる。ウラン233の核分裂反応によってプルトニウムその他核兵器製造原料を発生することがない。トリウム溶融塩炉方式では、燃料が最初から溶融しているのだから、燃料棒のメルト・ダウンということはあり得ない。そして、核反応は冷却に従って減速される。  
この記事の中では、元NASAのエンジニアで、トリウムの専門家であるカ-ク・ソレンセンのコメントも紹介している。
この原子炉は驚くほど安全な構造になっている。もし、過熱し始めると、小さな栓が溶けて溶融塩は鍋の中に排出される。津波で損傷して使えなくなるコンピュ-タ-も、あるいは電動ポンプも不要である。原子炉自体で安全が守られる」
「日本で見られたような水素爆発のようなことも起こらない。それは大気圧で運転されるからである。放射能漏れもなく、スリーマイル島、チェルノブィルあるいは福島のように制御不能状態が長く続くようなことはありえない」  
 
トリウム溶融塩炉は、もともと米国が研究開発していたものだ。しかも、1965年から1969年まで無事故で成功裏に実証試験を終えているのである。しかし、米ソ冷戦時代、核兵器をつくるのに必要なプルトニウムが出ない原子燃料では困る。それに、燃料棒の取替えで儲ける仕組みになっているのに、液体燃料の溶融塩炉では企業としてうまみがない。当時、議会の公聴会で米ゼネラル・エレクトリック(GE)の社長が証言した。そして、ニクソン大統領は、溶融塩炉の開発責任者でオークリッジ国立研究所の物理学者、ワインバーグを解雇して、トリウム原子炉を封印してしまった。
 
トリウム原発は、今後1000年以上も、世界のエネルギーをまかなえる。このため、世界各国がトリウム原子力研究開発で動き出している。そして、世界各地で国際会議が開催されている。
ところが、これらの会議に、日本の大学、研究機関、企業、関係省庁からの参加者が皆無に近い。これが気になることである。
それは、日本国としてすでに既定の路線を進んでいる原子力政策と海外での原子力発電所建設ビジネス活動に影響を与える余計な雑音としてとらえられているからではなかろうか。今、世界で目白押しの原子炉新増設計画に対して絶好のビジネスチャンス。しのぎを削って受注合戦をしているのに、トリウムどころではないというのが偽らざるところであろう。  
わが国としても、溶融塩炉方式のトリウム利用技術については世界的な水準の研究者もいるが、残念ながら、これまでわが国原子力政策と原子力産業界あるいは学界の主流派から封印され続け、あまりにマイナーな存在となっている。今こそ世界に吹き始めた風を読み、国家戦略プロジェクトとして取り上げる時期がきたのではなかろうか。
 
その中で、中国は、トリウム原発の本格開発に乗り出した。
プロジェクトの責任者、中国科学院の徐洪傑はこう語る。(ちなみに総責任者は江沢民前国家主席の子息である。)
「化石エネルギーはいずれ枯渇する。再生可能エネルギーは柱になり得ない。中国の更なる発展のためには膨大なエネルギーが必要。一方で、温暖化ガスは減らさなければならない。しかし、現在の原子力エネルギーシステムはウラン-235 を燃料としている。その埋蔵量は少なく、石油・石炭など化石燃料と同時期に枯渇が懸念されている。」
「30~40年後の将来、エネルギーの柱をトリウム原子力発電にすればそれが可能になる。わが国はトリウム資源大国。1000年にわたって枯渇の心配がない。(世界のトリウム資源はウラン資源の約4倍:筆者注) 」
 
特に、インドの西海岸に多量に賦存するトリウム資源は、モナズ石という鉱物の中に6~9%入っているものであるが、甚だ好都合なことに、そのモナズ石の中には50%前後レア・アースが入っているのである。トリウムの副産物としてレア・アースが取れるというわけだ。
そして、何よりも唯一の被爆国として核廃絶と地球温暖化防止に世界でイニシアチブをとれる戦略的技術である。そればかりではない。新成長産業の創出、エネルギー政策、レアアース確保戦略上きわめて有望な分野である。世界の潮流に乗り遅れてはならない。
 
以上の記事の中に、私の言いたかったことが、全て入っている。
私自身がトリウム原発を知ったのは、「原発革命」 (http://www.amazon.co.jp/dp/4166601873) という本だ。これは、”世界レベルの研究者”である古川和夫が書いたもので、とても読みやすいし、強力お勧め。
将来のエネルギーの利用の柱が電気であることは、電気自動車の効率性などからも、間違いない。日本では風力・太陽光・太陽熱とも、本格的なエネルギー源には使えない(中国とか中東なら太陽電池は本命の一つかもしれないが)。地熱は可能性あるがそこ1本に期待するわけにもいかない。
見通せる限りでは、
トリウム原発こそが、21世紀以後のエネルギーの本命だ
。(と確信している)
 
米国の手玉にのって、ウラン原発という「出来損ない技術」に頼っていても、仮に事故がなくても、どうせ10~20年後には行きづまりだ。中国はエネルギーと資源の支配が政策の基本だ。(米国も同じだ。同盟国の日本は恩恵を受けてきたので、第二次大戦が資源問題であったことも、風化している)
 
この機会に、何がなんでも、トリウム原発の実用化を推進すべき。
すでに手遅れ感満載だし、「原発」というと一律に反対が起きかねない(自業自得・・)が、そうしないと、本気で中国に全部取られて、日本は衰退の一途を辿るよ。(もう無理かな・・・)

”絶対安全”の『精神論』が破綻を招いた (福島原発13)

今回の事故の根本的な原因は、『精神論』にある。
 「絶対安全でなければいけない」、「間違いは決して許さない」という考えだ。
 
一見正しく思える。
でも、ちょっと考えれば、これは現実の世界とは違う。「絶対安全」は不可能だ。
仮に今回来た15Mの津波に耐えられる構造にしても、(極端かもしれないが)巨大隕石が起こす100m級の津波には太刀打ちできないだろう。
また、「完璧」な意思決定など、できるわけがない。政府や東電の首脳だって、神ならぬ人の子だ。もちろん責任者なのだから、説明責任は取らなければならない。しかし、限られた情報と時間、あまたある係累の中で考えたベストな決定が、最悪の事態を招く可能性だってある。後知恵で批判するのは簡単だが、あなた(や私も)が同じ立場に立ったとき、よりよい意思決定ができるかというと、甚だ怪しいはずだ。
 
本来ならば、「安全」は、原発が稼働して廃炉になるまでの数十年のレンジで、関係者の大多数(≠多数決)が”十分安全”だと納得できればよいはずだ。まず、必要な「安全」が、(津波の高さなら)5Mなのか、10Mなのか、20Mなのかを決める。その上で、さらに必要なら、”でも、20Mだとお金がかかるから、10Mにさせてください。そのかわり、運動施設を作って差し上げます”とか、調整する話になるだろう。まあ、これが普通のビジネスでの会話だ。
 
ところが、原発の議論は、「精神論」が支配している
 
”絶対安全か!”と問い詰める相手に対して、押し切られて”絶対安全です”と答えてしまったことが、間違えの最初かもしれない。
この精神論に乗ってしまうと、より安全な技術な技術が開発されても採用されない。”10Mじゃまずい”と気付いても、20Mの対策はとれない。
なぜなら、「絶対安全です」と答えてしまった以上、「より安全」なものは、矛盾してしまうからだ。
 
だから、より安全な技術は検討もされずに棚上げにされ(日経ビジネスで紹介されたPIUS技術)、津波の規模についても新たな発見は黙殺されるわけだ。(今回の地震は平安時代の貞観地震と同程度とのことで、”未曾有”でも”想定外”でもない。他の人も指摘するように、危険性は何度も指摘されていた。それに対しても、”絶対安全です”としか、答えようがなかったわけだ)
 
このように今回の事故は、”絶対安全”という返答に追い込んだ、精神論的絶対反対派の責任も大きい。
 
精神論に走ると、多様な意見を、推進派と反対派とに2分してしまう。
つまり、”「絶対安全」ではないから反対!”の反対派と、”お上が安全というんだから、つべこべ言うな。(金も積まれたし)建設しろ!”の賛成派、という(最も声の大きな)両極端しか見えなくなる。
でも、たとえば小泉首相の”郵政民営化、賛成か、反対か?”という粗雑な議論が勝利したとおり、(私を含めて)普通の人間の頭では、「粗雑な議論」でないとなかなか分からないのも事実。
 
まともな解決策は、中間地点にしかない。でもこの「粗雑な賛成・反対」が支配する世界では、議論もされないだろう。
(ちなみに私自身は、ウラン型原発という「ろくでなし技術」には大反対で、トリウム原発の推進論者だ。でも、精神論者からは、”お前は賛成か反対か、はっきりしろ!”とか、頭の悪いことを言われそう・・・)
 
あと、”間違いはあってはならない”という縛りがあると、「隠す」ことが最適な行動となる。
隠しているのを知っているのは自分(たち)だけだ。ところが、それが知られると自分は徹底糾弾される。
あなただって(私もだが・・)、癇癪持ちの上司に、仕事で悪い情報を伝えるのは避けるはずだ。なんとか自分で解決して押さえられればラッキーだし、仮にばれても”もっとも良いシナリオ”しか、話さないはずだ。
 
精神主義的反対派は、癇癪持ちの上司みたいものだ。
プラントには(”絶対”がないわけで)多かれ少なかれ、事故はつきものだ。というより、あんな複雑・巨大なプラントで、事故が起こらないほうがおかしい。そして、事故のほとんどは小さな事故で、環境にほとんど影響がないことが多い(はずだ)。
ところが、どんな小さな事故でも、(間違いを一切許さない)精神論的反対派は恐ろしい勢いで批判をする。
そうなると、”やってられないから、小さな事故は隠そうぜ”となるのは、倫理的(=精神論的)には間違っているかもしれないが、組織経済学的には当たり前だ。
批判と責任追及が激しくなり、管理が精緻化すると、事故が減るのではなく、事故や問題点が単に隠されるだけだ。
 
しかし、ウソをついて隠しているのは良いが、事態が悪化してしまうと、ウソをつき通すのは難しい。
だから、事実を曲げて過去を正当化しはじめる。
ウソをついたことに対しては、精神主義的反対派ならずとも、普通の人も批判するからだ。
そして歪曲が大きくなっても、正当化はやめられない。過去の言辞が間違っていたとは、口が裂けても言えないからだ。
 
このように、そのそもの出発点で、「間違ってはいけない」、「ウソをついてはいけない」と、いう縛りが強いと、どんどんこじれて、事態が表面化したころには、手が付けられなくなってしまう。
原発に限らず、すべての組織についてだが、”間違いました。ごめんなさい”、”隠してました。ごめんなさい”に対して、(程度にもよるが)もっと鷹揚に許せるようになれば、よりよい手が打てるはずだ。
 
いずれにせよ、今回の事態は、個人の説明責任は追及されるべきにせよ、そこで終わらせてはいけない。
(とくに非常時に)プラクティカルに機能する組織をつくるにはどうしたらよいか、を煮詰めるよい機会だと思う。
もちろん、このときには、たとえば”コンプライアンス体制の強化”といった「精神論」の排除は必須。精神論を持ち出すと、おうおうにして逆の成果が得られるからだ。(”モチベーションの向上”と言われて、やる気になる馬鹿がどれだけ居る?)
是非とも、「粗雑な議論=精神論」を脱して、現実を踏まえて議論したい。
 
※この記事は、日経ビジエスの記事と、〇〇さんのFacebook記事に、INSPIREにされて書いたモノです。感謝

”純朴”であることのコスト (福島原発16)

実家が福島にある友人の記事を転載します。
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「20年住めない」発言について、あわてて火消しをする官邸と、これを首相攻撃のネタに使う野党。 
それはいいととして、 原発設置自治体の首長がこの「発言」に「怒って」いるのは、愚かだと思う
 
客観的な事実ですから”がっくりする”とか”改めて絶望する”とかならわかるけど、なぜ「怒る」。 
この事態を引き起こした東電に怒るなら道理ですが、なぜ「発言」に怒る。 
言おうが言うまいが、事実は変化しないのに。 
 
飯舘村は原発から何の恩恵もなかったので怒るのは当然として、大熊町長が怒るのはとんでもない話。 
事故が起こり、放射能汚染がおこれば、自分らの村は放棄せざるを得ない。 
”当面住めない”も、”10年20年住めない”も、妥当な判断かもしれない。半永久的に住めないところもたくさんあるはず。 
 
そこまでのリスク認識があった上で、誘致をした「責任」があるはず。  
 
「原発は絶対安全」という、設置者側からの話だけを聞き、それだけを信じて誘致したというなら、おろかの極み。 
 
被災した方々に「おろかの極み」というのは、きっと反感ももたれることでしょうが、 
私はそれ以上に、自分の故郷(福島)の純朴な農民、漁民の人たちが、いかに信じやすく、いかにだまされやすく、いかに人を疑わないかを、うれしいと同時に、心から悲しく思っています。 
 
そしてそういう人たちの純朴さにつけこんで、金を撒いて一方的な情報を撒いて抱き込んで。。。 悲しいです。 
 
「純朴な住民」でいることのコスト、設置者の論理を鵜呑みにすることの「責任」を、認識してほしいです。 

私が放射線管理主任だった頃 (福島原発、その17)

家の整理をしていたら、20年ほど前の大学サークルOB会誌が出てきた。そのころはネットという便利なメディアがなかったので、この1年に1回の会報のために、優秀な卒業生たちは全力投球で投稿していた。
その中で、私も環境問題とかエイズの話とか、またIT関係の替え歌(”こんぴゅ歌”)を書いていて、今読み返すと滅法面白い。昔の方が、ずっと文才あったと思う。
 
その中の一節に、私が昔、勤務先の工場(1000人規模)で「放射線取扱主任」をしていた話があった。
役所の立ち入り検査の連絡に、慌てて(何もしてなかった)10年分の検査記録を作った(=捏造)話だった。
それも、ちゃんと古い書類は、旧単位系を使ったり、手書きにしたり、紫外線に晒して紙を古くしたりとか、徹夜作業の中にも「創意工夫」をこらしたものだ。
形式要件を立派に満たしたおかげで、検査も無事に終了し、後は科技庁の若い技官を恭しく接待(=当時から死ぬほど嫌い)にお誘いして、ようやく検査はお開きになった。
 
今読み返すと実にいい加減な話だが、当時私が扱っていたのは、グラム単位の放射能だったので、罪悪感は一切無し。”あ~面倒くさい。原発と同じ法律を適用するなよ!”と、本気で思っていた。
 
で、確実に言えることが2つ。
 
1.どんなに形式要件で縛っても、現場は「創意工夫」をする。
それを唯一押さえられるのは、幹部の価値判断だ。
幹部が”利益優先”なら、現場はそれを「創意工夫」で実現しようとする。”安全優先”なら、やはりそれを実現しようとする。
この原則は、話題のコンプライアンスでも会計監査でも放射能の管理でも、同じだろう。
 
自治体首長や東電幹部が”安全より、原発稼働(による落ちる金)が優先する”という価値を持てば、現場は全力をあげて「創意工夫」するだけである。
先にあげた、ボーリング資料の交換などは、上の承認(というか、積極的な示唆)がなければ、絶対にできるものではない。
現場が「悪いことを為す」のは、上が「悪いことを考えている」からだ。
 
2.放射能が危険とは、関係者はたいして思っていない
日々取り扱う人にとっては、10年単位の地震に備えるより、日々の業務が楽に過ぎる方が、圧倒的に重要。
正しくはない行動だが、責めるわけにはいかないだろう。
少なくとも、あなたが3.11の前に(いつか必ず来るはずの)地震に対し、常に準備を怠らなかったのでない限りは。
 
いくら放射能(や地震)の怖さを教育されても、日々が平穏に過ぎれば、怖さは薄れる。
知識や正義感だけで、緊張感を1ヵ月・1年以上持たせよう、というのはどだい無理。
危機が本当に起こるまでは、だれも危機が本当にくるとは、思ってないのだ。
 
ということで私自身も、トップがいかに正しい価値観を持つかが、組織にとっては最も重要、ということを改めて認識しました。
 
追加:
現場の実態というのは、以下の「素人が作る原発」というのに、よく描写されています。
”デマ”という人もいますが、私の知っている現場というのは、この通りです。ご参考までに。
http://www.iam-t.jp/HIRAI/pageall.html

あまりにヒドすぎる菅政権「福島原発」情報統制の実態

知人から紹介された、週刊プレイボーイ4月27日号の記事より、一部引用
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1.「原子炉内に残るウラン燃料棒の数について、今のところ信憑性が高いのは、1~4号炉のウラン総量は781tで、そのうち約90tが損傷した計算になるというものです。さらにその内約30tが1ヵ月以上の間に大気中と海中と施設地下の土壌へ漏れ出たと考えていいでしょう。
チェルノブイリの放射性物質放出は10tだったので、福島第一原発は1割どころか3倍規模に達し、炉心冷却作業が進行しても完全隔離しない限り放出総量は増大します」
-
2.「フランスの放射能独立調査委員会(CRIIRAD)は、信頼度が高く世界中の研究者が注目したが、3月15日の福島県内での放射性物質飛散量が最高で基準値の1千万倍に達し、都内でも16日夕刻にかけて基準値の100万倍を記録したという詳しい測定値を国際配信した。
その報告を日本の大手マスコミは無視し、直後から公的研究機関も委員会に対するデータ提供をやめた。ほとんどの日本国民は知らないが、この時点で日本政府と報道機関が足並みをそろえた極端な情報操作が始まった。」
-
3.地方の国立大学の教授は、「われわれは東京大学の学術サイトに頻繁にアクセスして研究を進めていますが、3月末から原子力関連だけでなく地学や気象学など、いくつもの分野でパスワードを持っていてもアクセスができなくなった。同じ国立大同士でもこのありさまですから、私立大学はもっと困っているようで、学問の独立と自由が保障されない暗黒時代が来たと嘆いています」と述べる。
-
1は、参号機で「無防備な」使用済燃料棒プールが大爆発した以上、十分あり得る話。でも、政府が隠しているので、真相は全くわからない。
2は、ちょっと当たってみようと思う。
3について、押川先生、実情はどうなんでしょう?
-
※元リンクは http://wpb.shueisha.co.jp/2011/04/27/4021/ です。

関連記事(FB Note 以外の記事)

3月14日

いや、スゴイことになってます。。。本気でマズイ
あと、エコの方々からは(も?)攻撃されている武田邦彦さん。私は尊敬していたのですが、今回もシッカリしたことを言ってます。
ちょっと情報遅いのは仕方ないとして、基本理解のために、リンク載せておきます。
TAKEDANET.COM
武田邦彦 (中部大学): 原発、緊急情報(1)

3月19日

爆発前に(腐食性の高い)海水を入れた時点で既に廃炉が確実だったし、さらに爆発して修復しようがない状況なのに、この期に及んで、何を寝ぼけたことを言っているのだろう? マジ怒りです。
-
こういう(子供だましの)発言で誤魔化そうとするから、東電はさらに信用を喪っていく。号泣しても許しません。(社長がまだ駄々を捏ねて、常務が当然の発言をできないのだとしたら、それならもっと悪い)
そもそも、建設当初の計画では今頃は廃炉になっていたはずなのを、40年間ダマシダマシ使ってきたのだから、さっさと諦めなさい。
JIJI.COM
福島の原発廃炉「当然議論に」=東電常務が記者会見

3月22日

IRSN(フランスの放射線防護委員会?)が作成した、放射能の拡散シミュレーションです。
偏西風エリアで良かったね、です。3月15日に北関東で高い値が計測されたのも、やはり風向きが大きかったのですね。
しかし、浜岡原発@静岡県で、事故起こされたら、東京もアウトじゃん。
IRSN.FR
La dispersion des rejets radioactifs dans l’atmosphère

3月19日:ノートシェア

〇〇さん経由でいただいた記事を、共有いたします。
最初からこのようなマトモな説明をすれば国民も納得するだろう(少なくも私も調べる手間が省けた)ものを、東電は悪い情報を隠そうとするし、政府は今でも「レベル5」とか大嘘ついてるし・・
ともかく、現場の方に感謝するとともに、よい方向に向かうことを祈ります

今、原発で起きていること

私の高校の同級生がmixiで送ってくれた記事です
書いたのは彼の友人(東大出の才女だそうです)・・・テレビに出ている人もこれくらいの事言ってくれよ
以下、コピペです↓
 
久しぶりの日記でこんなことを書くことになるとは思いませんでした。
 
私、実は、原子力工学科卒で、数年前まで、東芝とGEで原子燃料の設計を担当していた
元エンジニアです。福島第一原子力発電所の災害に関して、報道やネットで、
様々な立場からの情報が発信され、かなり混乱していることを心配しています。
やや長文となりますが、この説明で、マイミクのみなさまの「わからない」=「不安」
が少し解消されますように、と思ってアップします。
 
 
まず、今回の地震を起因とする福島第一原子力発電所の事故については、
設計時の想定をはるかに超える事象が起きた、ということは忌忌しき事態であり、
大変憂慮しています。
 
しかし、放射性物質の影響を心配して外出を控える必要は、東京都内においては、
今のところはありません。
(安全宣言ではありません。今後も正しい情報収集が必要です)
 
チェルノブイリで数100kmも放射性物質の影響範囲があったのは、中性子の減速材として
黒鉛を使っていた関係で、放射化した黒鉛が、現場で化学的に燃えてススとなって、
風に乗って降り注いだからであり、福島第一原子力発電所のような軽水炉では、
減速材は「軽水(=水)」で、黒鉛は使っていませんので、放射化した軽い元素が、
燃えることによって広範囲に大量に飛散することは考えられません。
 
今回の場合、核分裂反応は地震直後に停止しています。(=原子炉暴走はありません!)
問題は、崩壊熱(余熱のようなものです)が、十分除去できず、燃料(ウランを固めて、
金属製の管の中に密閉したもの)が過熱し、金属の管が破損し、さらに内部のウランが
融解したりすることによって、放射性物質が飛散するリスクが高くなっていることです。
 
今後、放射性物質の飛散が考えられるシナリオとしては、ヨウ素のようにガス状のものが
放出されるか、微粒子となった固体放射性物質が爆風などで飛散する、ということで、
その場合「30km圏内においては、人体に危険な放射線レベルとなる」というのが、
「現時点での」「最悪のシナリオ」と、私は理解しています。
 
パニックになることが一番危険ですので、できるだけ客観的な情報をもとに、
冷静な判断、冷静な対応をしていただければと思います。
 
-----
今後のポイントは、
・崩壊熱を十分除去するための注水、と
・注水するために必要な格納容器内の減圧
・(蒸発して冠水できていないと思われる)使用済み燃料プールへの注水
となります。
 
<1~3号機の原子炉の状況>
圧力容器と格納容器は、通常時は密閉性の高いものですが、ポンプの注水圧力よりも、
中の圧力が下がらないと注水できないため、この密閉性を犠牲にして弁を開けています。
ここから出てくる蒸気が放射化しているため、周囲の放射線量が高くなっているのです。
(2号機においては、格納容器の圧力を調整する、圧力抑制室の一部に破損が起きて、
予定外に放射化した蒸気が出てきている可能性が高いです)
 
<3号機と4号機の使用済み燃料プールの状況>
使用済み燃料プールには、多くの原子燃料が保管されています。
これらは、核分裂反応はしていませんが、放射性物質が閉じ込められており、
金属の被覆管を透過して放射線を出し、崩壊熱によって発熱しています。
 
現在、このプールの水量が減って、「冷やす」だけではなく、放射線を「遮る」
シールドとしても、とても有効な水から燃料が顔を出してしまっているとのことで、
燃料から出る放射線が水で遮られず、現場付近の放射線量が高くなっているようです。
 
また、使用済み燃料プールには、圧力容器や格納容器のように、原子燃料を外界と
隔離するものがないので、もしも、原子燃料の温度がこのままどんどん上昇し、
金属の被覆管が破損する事態になると、放射性物質が外に飛散し、問題のレベルが
また一つ上がります。
(放射線が飛ぶのと、放射性物質が飛ぶのは異なります)
--------
 
放射線の強さは、その線源からの距離の二乗に反比例して弱まります。
東京-福島が約250kmとすると、30kmの地点の約1.4%になります。
繰り返しになりますが、放射線を心配して、東京で外出を控える必要は、
今のところありません。
 
現場では、不眠不休で作業員が「減圧」と「注水」のために
自身の被曝を省みず、頑張ってくれていることを思うと、
胸が痛くなります。。。自衛隊も機動隊も含めて頑張って欲しいです。

3月26日
これもシェアします。
官僚に友人が居るなら、”あぁそうだよね、連中”と思う世界でしょう。(私の友人は、逆にしばらく前に原子力保安院から商業対策部門に移り、”異動になっていて良かった!”と、とても喜んでいた…)
でも、一般の人には、政府の責任者が素人って、驚天動地の世界ですよね。
J-CAST.COM
高橋洋一の民主党ウォッチ原子力安全・保安院の問題体質 経産省「植民地」、そして「東電の虜」 (2/2) : J-CASTニュース

3月26日

大前研一のビジネスブレークスルーの〇〇先生からいただいたリンクをいくつか紹介したします。〇〇先生のコメントも、ステキです。
TOKYO-NP.CO.JP
東京新聞:「大津波やM9 想定却下」 福島原発 設計者ら証言:社会(TOKYO Web)

3月26日

東大の◯◯教授の「福島原発事故の危険性について」の論考です。
〇〇先生らしい真摯で理性的な内容です。
GOOGLE.COM
http://bit.ly/hPeUyF

3月27日

「原発がどう『ダメ技術』か?」をノートを書こうとした矢先に、◯◯さんからファイルをいただいたので、共有します。このファイルには、(失脚させられた)佐藤前知事なども署名しており、内容的にも信頼できると思います。
これ必読です!!!
まずは中を見て頂きたいのですが、要は原発とは(形だけは解体した)道路公団と同じく、巨大な『タカリ事業』です。
ただ、道路は子孫を貧困に追い込むくらいで済みますが、原発は子孫を(数万人単位で)殺しかねません。
では、なぜこんな酷いことをマスコミが報道しない?
それは簡単で、日本の原発導入の旗頭が、日本テレビ社主であった(またCIAの工作員でもあった)正力松太郎だったからで、彼らもこの利権に与る重要な一員です。
なので、かれらは本質的な追求は絶対にしません。
こういったレベルの高い資料が(私なんぞのところにも)出回るのは、ネットのお陰ですね。
KAKUJOHO.NET
http://bit.ly/fJ7N33

3月29日

大前さん、またライブで放映してます。
元設計者は強いですね。炉心溶融(メルトダウン)および再臨界の可能性も、明快に指摘してます。
福島の周囲5KMは『永久放棄(立入禁止区域)』にせよとか、ロシアと交渉せよとか、歯切れ良し。
野菜出荷規制の過ち、また計画停電の甚大な被害も、まさにその通りと思う。
-
でも思い返せば、大前さんは事故前までは、原発安全・推進論者だったのですよね。
ビデオの中で”大いに反省するところがある”と言ってますし、失敗から学ぶ姿勢もコンサルタントとしては見事だが、それでいいのかよ?
-
あと、東電の下請け差別をまた最初に言ってました。誇り高い大前さんは、東電の出入り業者扱いには、よほど我慢ならなかったのでしょう。

YOUTUBE.COM
福島第一原発 現状と今後とるべき対応策 (大前研一ライブ580)

4月5日

平時のシステムのまま戦争に突入したいった日本軍のような・・
娯楽施設が”汚れるからイヤ”と言って、自衛隊と消防を床に寝かせて居るのも、「戦時」という認識も神経も動作もないからだろう。
旧ソ連の役人も、クーデターでモスクワ内戦状態の時、普段通り全員5時に帰ってしまったそうだ。共に硬直した組織の見本。
-
中央官庁の方が、よほど「平時」と「戦時」の臨機応変ができているし、東北電力や関電も(この件に限らず)東電よりずっと機動的だ。
こんな例は東電に限ったことではなく、(私の専門分野でもある)組織設計の問題だと思うが、自分でも整理できてないです・・
WWW3.NHK.OR.JP
東電 供給計画に“原発増設” NHKニュース

4月7日

東大同クラス・某原子力関連企業勤務の友人から紹介された映像です。
日本に原子力発電が導入された経緯がよくわかります。
長いですが、内容はとても良いです。
1994年のNHK現代史スクープドキュメント。 
原子力発電が日本で始まった背景がわかります。(44分を3分割) 
http://www.youtube.com/watch?v=k0uVnFpGEms 
http://www.youtube.com/watch?v=C5gA18Q5UZ0 
http://www.youtube.com/watch?v=rQuvSIvu6gk 

GDATA.YOUTUBE.COM
原発導入のシナリオ ~冷戦下の対日原子力戦略~NHK_1
原発導入のシナリオ ~冷戦下の対日原子力戦略~ ◆「毒をもって毒を制する」 第5福竜丸事件で反核・反米の世論が高揚する中、日米が協力し民間から行った世論形成の全貌を明らかにする。(現代史スクープドキュメント 1994年放送)

4月7日

この人はとても芳しい。
原子力安全委員長でありながら、2週間雲隠れし、出た来たと思ったら、”僕たち、わかりません。東電考えてね” と言う。
それ以上に、記録映画の中で、こんなことを言っている(そうだ)。
”原子力発電に、安心する日なんかきませんよ。安心なんかできるわけないじゃないですか、あんな不気味なの!”
”最終処分地の話は、最後は結局お金でしょ。どこも受け入れてくれないって言うなら、じゃ、おたくには、今までの2倍払いましょ。それでも手を挙げないんだったら、5倍払いましょ。10倍払いましょ。どっかで納得する所が出てきますよ”
いや、本音ベースで話してくれるだけ、よほどマシかと。

MAINICHI.JP
福島第1原発:汚染水対応 班目氏、「知識持ち合わせず」 - 毎日jp(毎日新聞)

4月8日

大前さん、とことん正しいなぁ。長いけど、見る価値大!
1-避難勧告や出荷停止は、役人思考の害悪。国民も家畜も、可哀想
2-”原子炉に瑕疵がない”わけがない。東電に逆らえない学者連中は世界の恥
3-ピークカットには情報開示も有効。今年は夏にも原発を動かせ。
(→ちなみに電力会社は今まで、夏のピークにわざわざ定期検査をもってきて、電力不足を演出していた)
4-電力業界と(腐った)原子力行政の再編提言、など

GDATA.YOUTUBE.COM
福島原発 政府、東電の対応と東北再生のシナリオ(大前研一ライブ)
大前研一ライブは地上波ではなかなか放送できないニュースの本質や裏側、隠された因果関係

4月8日

引退するとちゃんとマトモなことを言うのだけどね。
現役中は最高権力者の会長(または社長でなくて副社長)が言い始めるまで、何も言えないです。生活かかっているからね。。私も社員だったら、言わないだろうな~。
こっちの有識者提言も、内容とても真っ当だが、OBだからできたことだろう。が、http://news.livedoor.com/article/detail/5465397/ 

MAINICHI.JP
福島第1原発:「燃料棒除去の着手まで10年」東電顧問 - 毎日jp(毎日新聞)

4月12日

原発関連記事では、「週刊現代」が、内容でも冷静さでも一番まとも。
今まで私が紹介してきた内容も多いが、それ以外には「原発に異を唱えると、いかに大学内で冷遇されるか」という記事があった。助手から出世できず、東電社員の尾行も1年中付くらしい。(そんな暇な仕事で世間以上の給料もらえるなんて、羨ましいなぁ、と思わず思った)
でも私は、某電力会社で、”原発なんてろくでもない事業、よくやってますね”とか暴言(=正論)吐いていたのに、全米周遊豪華接待旅行のプロジェクトを満喫してきたことがある。まぁ、小物だからね。 (差障りあり細部変更)

4月14日

選挙が終わった途端の、「レベル7」宣言。
”やっぱ来たか”と思うと同時に、かなり不思議です。
なぜなら、飛散した放射能は、チェルノに比べてかなり低く(おそらく1/1000くらい)、”あの” 日本政府が積極的に「レベル7」を宣言するのは??。
また、”20年は住めない”発言も、政府筋のリークとしては、今までからかなり踏み込んでいます。
”なんなんだろう?”、と思っていたら、似たような疑念を呈した方がいました。
田中宇さんと言う方で、国際情勢の分析ではトップレベルと思っています。田中さんは次回に、その分析を書くとのことで、今から期待しています。
この田中さんの国際分析、最高です。( http://tanakanews.com/ )
有料ですが、それをはるかに上回る価値があります。結構レベルが高いと思っていた発言者(国際情勢については大前さんも含む)も、子供に見えてきます。
超強力お勧め!!!

NIKKEI.COM
[FT]福島原発、レベル7は適切か  :日本経済新聞
 日本の当局は福島第1原子力発電所の事故の深刻さを表す評価尺度を2段階引き上げて最も高いレベル7としたことで、意図せず人々をミスリードし、事態が突如悪化し

4月15日

原発関連企業に勤める東大同期から貰った映像です。
原発の問題点が、安全性以外にも、コンパクトに語られています。これはお勧め。
出典は「東京原発」という2004年の映画、私は映画自体知りませんでした。

GDATA.YOUTUBE.COM
原発の危険性
1/1

4月22日
あれっ?東電って潰すか、発電・送電・買電に分離するんじゃなかったの?
さすがは財界ピカイチの政治力。孫さんや大前さんなんて小物じゃ、敵いません。
自民党の政治家でほぼ唯一、原発不要という「マトモなこと」を言って迫害されている河野太郎さんのブログより。〇〇さんの紹介です。

NEWS.LIVEDOOR.COM
救済されるべきは東電ではない - 河野太郎ブログ「ごまめの歯ぎしり」
今朝の各紙に東電の賠償に関する政府支援の枠組みが掲載されている。正式決定でもないの

4月22日

昨日から宿泊研修の先生なので、久しぶりに新聞をみると、結構面白い。
ヘリから投水する『セミのションベン作戦』は、米軍に「日本も必至に頑張っている」とアピールするための方便だったとは! 政治って、奥深い~。
米国が協力に動いたら、「効果ないヘリ投水」は、即中止したそうです。
あと菅さんの不信も深刻。その元となったのが、大爆発直前に、菅さんとヘリに同乗して「原発は爆発しません」とか脳天気なことを言った、マダラメ。
あんな奴が安全委員長になっていたのが、この国の不幸です。

MAINICHI.JP
検証・大震災:不信洗った、ヘリ放水 原発から白煙…政権「世界に見放される」 - 毎日jp(毎日新聞)

4月23日

孫さん、私財を投じての「自然エネルギー財団」を創設。
現地に行って被災者と直接話しこんたり、被災者全員にiPad2を無償で配ると腹を括ったり(秘書室大変そう・・)、とかそもそもの熱意と行動力がすごいです。
”高コストの原発は順次廃炉にして、日本の21世紀の新産業を育てるためにも、電力全量買取の実施”と、実にまっとうな話をしているが、これだけ言うのも原発推進の圧力の中では、とても勇気のあることだ。
私もこの中で、米国式で計算すると(原発が廃炉や地元対策の費用を除外しても)日本の公式見解の「約3倍」の15円/kWhというのを知りました。
孫さん、スゴイです。さらにファンになりますね~

USTREAM.TV
孫正義講演 「震災復興に向けて」
孫正義講演 「震災復興に向けて」 USTREAM

4月28日

(〇〇さんの記事をベタコピー~事後了解、すみません)
週刊ポストの「孫正義インタビュー」で一番心に残ったところ。
孫さんは原発事故後、避難所や地方自治体を訪問。以下ちょっと長いが引用。
”僕は福島に行く前日、西日本を中心に17の県知事に直接電話でかけあって、合計30万人分の被災者の受け入れ枠をとっていたんです。
佐賀県だけで3万人。避難民が20数万人というから、じゃあ30万人分、屋根付き、畳付き、風呂付きで、無償で受け入れます。
食事も病院も学校も、全部受け入れ準備をしますと。そのうえで、福島に乗り込んだ。僕はただ理想論をいっているんじゃない。”
これには驚き感動した。
なぜこの提案(3月20日頃)が実行されなかったのか?今からでも実行できないのか。
⇒同感です。孫さん、スゴイです。加えて、100億円寄付しても、”なにもできない”自分の無力に悩んでいるとのこと。爪のアカを煎じて飲みたいです+飲ませたい人も多数。

4月29日

〇〇さんの記事です。(会員制かな?)
”原発は安全だから、ロボットは開発すべきでない”との、いつもの神話の弊害。
それはともかく、「ルンバ」のiRobot社、すごいです。
日本企業が作れてないのは、恥です。(メーカーが悪いわけではないのだが・・)

BUSINESS.NIKKEIBP.CO.JP
原発「安全神話」に慢心した罪:日経ビジネスオンライン
いまだ終息が見えない福島原発事故に、東京電力が切り札として投入したロボットは米国製だった。ロボット大国ニッポンはどうしたのか? 国民の誰もが疑問に思っている。海外メディアは「日本の科学技術の凋落」とまで報道している。

5月1日

これはいいですね。「原発=超汚染エネルギー」のはずが、CO2を出さないという”だけ”の理由で、「クリーンエネルギー」にすり替えられた過程について、コメントしてます。
関連して、「二酸化炭素温暖化説の崩壊」(http://www.amazon.co.jp//dp/4087205525)は秀逸。
こういう言説は「エコ原理主義者」の反感を買うが、広瀬隆氏も(武田邦彦氏と並んで)政治的立場でロジックを変えない、えらくマトモな(理系の素養のある)言論人ということがわかります。超おすすめ。

DIAMOND.JP
ダイヤモンド・オンライン 「クリーンエネルギー原子力推進」をだれが言い出したのか
原発はたしかに炭酸ガスを排出しないが、放射性物質を出し、核廃棄物の最終処分をどうするか、まったく見通しが立っていない。大事故が起これば国境を越えて被害を与える。常識をもって考察すれば、クリーンとはとうてい思えないのだが、いつのまにかクリーンエネルギーとなっていた。

5月1日

武田先生、相変わらず良いですね。
3億ベクレルって、私的には正直 ”それがどうした?”ってレベルです(ラジウムにして8mg相当)。 問題は問題だが、そこで必要以上に大騒ぎをする割に、その「20万倍」の放出には寛容、というのは何でしょう?
その原因として、武田先生は(意訳すると)、①”もうヤメ、思考停止!”、②”怖いから・・OK!”、③”みんなが言うなら、怖くない!”、の3つをあげてます。いずれも、人間的というか何というか・・
TAKEDANET.COM
原発七不思議  3億ベクレルは大問題、60京ベクレルは安全?

5月1日

武田先生のブログが、とにかく面白くて、また引きます。
「絶対安全なのだから、それ以上の努力をするな」の指令のもと、今回の大事故を起こしたのに、まだ同じことをしてますね。
別のブログでは、友人から武田先生に「お前は原発推進派から、反原発の連中に取り込まれたのか」との批判が来たとのこと。
(おそらく中間地点にある)真実を述べると、両極端から攻撃されるという、いつもの感情論的な情景ですね。
TAKEDANET.COM
超・ねじれ思考  児童の被ばくは多い方が良い??

5月2日

かなり昔の記事ですが、〇〇さんの紹介で知りました。
①参号機の爆発は(位置的に)燃料プールの爆発、格納容器は(まだ)無事
②使用済み燃料棒は、大量飛散。3KM離れたところで、たくさん発見された(⇒これは私は知らなかった。政府は絶対に発表しないだろう)
③水素爆発に続けて、「核爆発」が起こったはず
とのこと。
①は、確かにまだ容器に圧力があるらしいので、そうかもしれない。赤外線撮影の映像は、このビデオで始めて見たぞ。
②”東電社員が直ぐに逃げたのはこれか!”とのコメントも上がっていた。燃料棒の大量飛散は、まさに政府による隠蔽。現場で作業を妨げている0.9Sv/Hの致死的な瓦礫とは、この内容物だろう。
③水素爆発では・・のところは、”本当かな?”という気もするが、なにせ私は爆発の素人なので(ウフフ・・)、わかりません。同位元素の分析ですでに判明しているはずだが、核爆発があったとしても政府は絶対に隠すだろう。

YOUTUBE.COM
ガンダーセン博士 参号機爆発の原因
ガンダーセン(Arnie Gundersen)博士(原子力の専門家)が、3号機は核爆発で、爆発時の黒っぽいキノコ雲は、 パウダー状になったプルトニウムと発言

5月2日

ダイヤモンドの記事より、
「平時」の手順遵守が得意の政府機関が、「戦時」には障害となった。市民自身が、「課題解決」能力を身につけるべき、とのこと。
これは、およそ70年前に最大の政府機関であった旧日本軍も同じで、(軍隊のくせに)「戦時」には極めて貧弱な対応しかできなかった。
ところが、日露戦争時の日本海軍や太平洋戦争時の米軍は、適材適所の配置など、見事に「戦時」対応している。
「戦時」と「平時」は、違った組織運営が必要なんだろうけれど、どうすればうまくいくんでしょうね? (自問自答)

DIAMOND.JP
震災支援、善意とニーズが繋がらない-政府の限界を乗り越える市民の「課題解決」能力
政府の問題解決能力と統治能力の低さが明らかになったのに対して、震災の現場で起こったことをみると、市民こそが課題解決の中核になりうる。

5月3日

連休の大渋滞を抜けて大船まで寄ったついでに、本屋で平積みになっていたので購入。タイトルは扇情的だが、中味は理性的で良いです。
気付いたら活断層&ゆるゆる地盤の真上に建ててしまった、浜岡原発の危険性を主に指摘。
しかし建設現場は、地層ボーリング調査資料を入れ換えたり、水増しコンクリで工期を短縮したりと、やりたい放題。”ケシカラン”と怒る人も居るだろうが、仕方ない、現場とはそういうものです。
それ以上に、「原発を建てて良い」という報告を出すために、マズイ情報にフタをしまくる審議会の面々こそ、一人一人が責任をとってほしい。
浜岡は、”地震が先か、廃炉が先か、勝負だ!”といった、チキンレース。
でも、負けたら、東京もなくなりますね。

AMAZON.CO.JP
原子炉時限爆弾
原子炉時限爆弾

5月12日

ダイヤモンド・オンラインの記事。広瀬隆というと、今まで”なんか左翼系の人”と思っていましたが、実に真っ当です。いい記事です。

DIAMOND.JP
広瀬隆 特別インタビュー「浜岡原発全面停止」以降の課題
菅直人首相が浜岡原発の全原子炉停止を中部電力に要請し、日本のエネルギー政策が大きく

5月13日

大前研一さん含め、1ヵ月以上前から多くの人が指摘していたのを、ほとぼりが冷めた今更やっと出してきた。最初から(規模はともかく)メルトダウンは明白だったのに、本当にしょうもない連中。
NIKKEI.COM
福島1号機「圧力・格納容器に損傷」 注水、大半漏出か  :日本経済新聞

5月14日

〇〇さんからの共有。
さすが大前さん、1ヵ月以上前に、見事に言い当ててます。
技術の本質を理解している経営コンサルタント、目指したい姿です。

NIKKEIBP.CO.JP
炉心溶融してしまった福島原発の現状と今後| nikkei BPnet
さまざまな情報を総合してみると、1~3号機はすべて炉心溶融(メルトダウン)している可能性が高い

5月14日

参号機、見事に吹き飛んでますね。
使用済燃料プールの水が残っているのが不思議(映像紛失)。
この状態で、プールに撮影ロボットが行ったのがスゴイ。さすがアイロボット社、戦場と、(私のような)戦場のような家、で鍛えられただけのことはある。
しかし「厳秘」の写真なんて、「建造中の戦艦大和」の写真くらいしか記憶なし。
NEWS.LIVEDOOR.COM
政府が非公開にした福島第一原発3号機の惨状写真極秘入手(NEWSポストセブン)

5月14日

「核実験時代の放射能の方が、福島より100倍多かった」という俗説がある。
事実は逆で、今の福島の放射能の方が、昔の核実験時代より100倍強い。
こういう”耳によい”話は、”イヤな事実”より、広まり易いようですね。
※東大の押川教授より

TWITPIC.COM
核実験時代のフォールアウトと福島原発事故

5月15日

◯◯さんより。アエラのちょっと古い記事の全文です。
当事者達は事故後早々のメルトダウンを「当然」知っていたにもかかわらず、指摘した人達を「居丈高に弾圧」してきたことは、太平洋戦争で日本の勝利に疑念を持つ人達を国賊としてきた軍部と、全く同じですね。
HASHIGOZAKURA.AMPLIFY.COM
東電「原子力村」ドンの大罪-ドン・武藤栄副社長はあの3日間、何をしていたのか..

5月18日

責任者が全面に出ないことを非難する声が多かったが(私もその一人)、「日本の会社でそんなことができるわけないでしょ!!」という話。
言われてみれば、その通り! それが良いとは思わないが・・
で、米国の組織と日本の組織は、ここまで違う。
この現実を看過しては、組織論を語れないな、と思った次第です。
NEWS.LIVEDOOR.COM
東電社長はなぜ現場で陣頭指揮をとれないのか?

5月21日

日本の原発は「安全」だから、条約には加盟してなかった、とのこと。
どこまで馬鹿?

ASAHI.COM
原発賠償条約、加盟を検討 海外から巨額請求の恐れ
東京電力福島第一原子力発電所の事故で、日本が海外から巨額の賠償を負わされる恐れがあ

5月21日

ちょっと前に多数コメントいただいた、政府とテレビ局の、「(特権階級である)自分たちだけが知れる大事な情報」と、「国民にまぁ知らしめてよい、ゴミ情報」と、2つの区分の記事について、内田樹さんが同様な記事を書いているので、ご紹介 (◯◯さんより)

BLOG.TATSURU.COM
内田樹の研究室
ONE PIECE STRONG WORDS/集英社新書ビジュアル版 尾田栄一郎さんの国民的ベストセラーマンガ『Onepiece』から選んだ「名言集」です。 年末年始に61巻一気読みして、解説を書きました。 どうしてこのマンガがこんなに人気があるのか。その歴史的意味について大胆な仮説を展開してみました。

5月21日

今までの流れもあり、◯◯さんのリンクから紹介。
エネ庁長官は「今までの苦労は何だったんだ!」と怒っているが、東電救済のための苦労なら、別にしなくてもよいです。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/5036 

5月23日

小出裕章氏講演@奈良「原発推進派の学者がわたしに言う。勝った、と思っているでしょう、と。まさか。ボロ負けに負けたと思っている。原発を止められなかった。こんな事態がくることを食い止められなかった。責任を感じている」
小出さんの人柄が偲ばれるが、学問的正しさよりも「勝ち負け」を考える人達には、圧倒的に負けるだろう。万年助手のまま、可哀想です。(まあ会社員だったら、即座にクビとは言え・・)

5月23日

週刊現代、頑張ってますね。応援します。(〇〇さんのリンクより)
「安全」を主張する政府・原発村住民と、それを疑う人達との溝は深いですね。
で、私に名案。
「安全」を主張する政府の方々は、まずは自分の子供達の夏の林間学校・修学旅行の行き先に、20mSv/年ていどの”安全な”地域を選んで欲しい。そして、育ち盛りの旺盛な食欲には現地の”安全な”魚と野菜をあて、”安全な”自然の土で存分に遊ばせてほしい。
こんな「頑張ろうニッポン」を率先垂範する姿勢を示せば、国民は大いに感銘を受け、政府の支持率も倍増する。
ちなみに、3日くらいで帰ってこさせちゃ、ダメだからね。

KODANSHA.CPLAZA.NE.JP
週刊現代 「隠された放射能汚染」

5月25日

小出さん、孫社長と共に、参院の委員会に出たのですね。
とても格調高くて、よい良いです。
ガンジーの7つの罪について、リンク紹介してくれた〇〇さんが解説してくれてます。
HIROAKIKOIDE.WORDPRESS.COM
5月23日 参院行政監視委員会 小出裕章 « 小出裕章 (京大助教) 非公式まとめ

5月26日

世間ではデタラメ唖然委員長に非難集中しているが、実は私は(さんざん書いた割に)あんまり責める気にならない。
安全委員会には、(どんな欠陥があろうと)経産省の原案を追認する役割しか、期待されていないからだ。
私も原発企業にコンサルをしているが、まともな知性と技術的センスがある人で、今の原発政策に全面賛成という社員は居ない(と思う)。
でも、みんな仕事だから、「ベトナムに原発売ろう!」という話をするし、私もけしかけている。まあ、自分がやらなくても、誰かがやることだしね。 (う~、自己嫌悪)
マダラメ氏も、東大教授という知性があるなら、役割だと割り切っているのだろう。収入も良いし、自分がやらなくても、誰かがやるし。
全面賛成だったら、「放射能なんて不気味なもの、安心できるわけないでしょう」とか言わないし、第一もっと仕事するはず。(美しい誤解?)
でも、いまはそういう役割なんだから、せいぜい叩かれてくださいね。

5月30日

〇〇さんのリンクより、けっこう面白い。
20mSvは、オジサンでも体に障害でるようです。子供はまぁ見殺しかな?
放射能が漏れるのは仕方ないのだから、重箱の隅をつつく保安院対策をするのは、会社員の基本です。まあどこの現場でもやっていること。
しかし私も、どうせ後でコンサルに転職するんだったら、最初は東電に入って上乗せ退職金を貰える道を選ぶべきだった。後悔・・
QETIC.JP
【驚愕】元東電社員の内部告発

5月30日

〇〇さんからの紹介。
小沢一郎がウォールストリートジャーナルに語った記事が、インパクト大。
「このままでは。汚染はどんどん広がるだろう。・・日本の領土は あの分減ってしまった。・・・東京もアウトになる。ウラン燃料が膨大な量あるのだ。チェルノブイリどころではない。あれの何百倍ものウランがあるのだ。みんなノホホンとしているが、大変な事態なのだ。」
小沢さん、国内ではなぜ黙る?
BLOG.GOO.NE.JP
ジャーナリスト 木下黄太ブログ 「福島第一原発を考える」

5月31日

冷たい世間で日本政府の原発推進政策を理解してくれる、「心の友」はフランスだけ。
世間の声に耳を塞ぎ、人の道を踏み外し、フランスの手癖の悪い女?に入れあげて、破産するとは・・・ほぼ演歌の世界。
ZASSHI.NEWS.YAHOO.CO.JP
原発汚染水処理 トンあたり”10万円”の日本企業案を蹴って、トンあたり”1億円”のフランス企業に発注


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