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第6回 日本人の災害感 〜フォークロアから読み解く日本人の災害感〜

川瀬流水です。今回、災異思想という視点から、平安前期の清和天皇に光をあてつつ日本人の災害感についてみてきました。こうした意識は、千年の刻を超えて、歴代天皇のなかに連綿と受け継がれてきたように思います。

もともと中国からもたらされたものですが、天皇という存在をキーマンに、自然災害多発国の日本に根づきました。制御しがたい災害を前にしたとき、為政者の象徴である天皇が、被災者に対する儀礼としての共感の表明ではなく、もう一歩踏み込んで、私はあなたが受けた苦しみに対し責任を負う者であるというメッセージを伝えるとき、庶民と天皇という対極的立場にある両者が、この島国に住む同じ日本人として、一体となって災禍に立ち向かおうとするパワーが生まれてくるように感じています。

上皇ご夫妻による沖縄訪問・阪神淡路大震災被災地訪問、天皇ご夫妻による東日本大震災被災地訪問など、天皇による被災地巡幸は、我々と同時代の出来事として記憶に残るものですが、こうした行いが我々の心を強く揺さぶるのは、その背後に、長く受け継がれてきた為政者の災異に対する罪の意識が潜んでおり、それを我々が敏感に感じとっていることによるものではないかと感じています。

最後に、大地震による被災者に一日も早い日常が戻ることを祈りながら、このシリーズを終わらせていただきます。


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