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蒙古の怪人キラー・カーン

そこは西新宿7丁目に有る人情酒場カンちゃんです。
プロレスの世界で国際的な成功を収めた数少ない日本人、
日本では悪役のモンゴリアンとして有名ですが、正真正銘の
日本人だったのです。
私が子供の頃は、プロレスの人気がとても高く国民全体が
プロレスファンと云う時代背景でした。
三種の神器と言われた「冷蔵庫」「洗濯機」「白黒テレビ」が
世を席巻し豊かな生活を手に入れた時代に、プロレスが人気を
博した訳です。時にカラーテレビが台頭して更に人気が爆発
したと云えるでしょう。なにせ日本を敗戦に追い込んだ憎っくき
アメリカ人をボコボコに殴り顔中流血させるのですからたまりません。
カラーテレビを見に集まった人達は
真っ赤な血が流れると興奮のるつぼと化し奇声を上げ失神する者も
いたのです。又、テレビの中のレスラーに同期して自分の髪の毛を
引っ張ったり、隣の人を殴ったりして誰もが熱狂していた時代でした。
日本人レスラーに対する反則は許せないけれど、外国人レスラーに対する
反則は応援し許容するみたいな雰囲気も今にして思えば笑えますね。
悪役のモンゴリアン、キラーカーンが登場するとテレビに向かって野次を
飛ばしたものです。変な帽子を被りちゃんちゃんこみたいな民族衣装を身に
纏った髭面の巨漢は実は心優しき日本人だったのです。
いつも本人が店で出迎えていますが、話せばそのギャップに驚く事でしょう(笑)
                                                                                           川嶋謙一







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