見出し画像

介護保険制度を少し深掘りしてみる


1:介護保険制度

近年、介護サービス付き高齢者向け住宅や在宅介護サービス事業者の増加に伴い、介護保険サービス制度を利用している人も増加しています。

厚生労働省webサイト「介護をめぐる状況について」より引用

介護保険サービス制度を受けるためには介護認定を受ける必要があります。
介護認定を受けられる人は、
(1)第1号被保険者(65歳以上)
(2)第2号被保険者(40歳以上64歳以下)
   (ただし、加齢によって生じる16種類の「特定疾病」と
    診断された場合に限る。

と定められています。

<16種類の「特定疾病」一覧>

厚生労働省webサイト「特定疾病の選定基準の考え方」より引用

さらに、日常生活を送るためにどのくらいの介護(介助)が必要かを表す指標として、「要介護度」が8段階で定められています。

さて本記事では、この介護保険制度、特に第2号被保険者(40歳以上64歳以下)の介護認定について、自分の実体験も含めて少し深堀りしてみます。


2:なぜ16疾病に限定されているのか?

前章で示した通り、第2号被保険者(40歳以上64歳以下)介護認定を受けられるのは、限られた16疾病に罹患している人のみです。

・・・・・。世の中には数え切れないほど疾病の種類がありますよね。
それぞれの疾病を介護保険制度の「要介護度」という切り口で見てみると、
介護が必要になる状態まで悪化する可能性があるもの、ないものが当然あります。
少なくとも国が指定している指定難病、障害者総合支援法の対象となるだけでも、それぞれ338疾病、366疾病(ともに2021年11月1日時点)もあります。

文章だとなかなか伝わりにくいと思うので、ちょっと図を書いてみました。
介護認定対象16疾病以外の疾病を、要介護5に至る可能性のあるものから順番に並べてみると、こんなイメージになるかと思います。

ざっくりとこんなイメージ



さて、この介護認定を受けられるかどうかの境目、なぜ16疾病だけなんでしょうかね?
厚生労働省のWebページにこんな記載がありました。

2 特定疾病の範囲
特定疾病については、その範囲を明確にするとともに、介護保険制度における要介護認定の際の運用を容易にする観点から、個別疾病名を列記している。(介護保険法施行令第二条)

特定疾病の選定基準の考え方|厚生労働省 (mhlw.go.jp) より引用

・・・・・。え・・・・?
介護認定の申請は、居住地の役所に対して行います。つまり、

窓口の担当者が、介護認定申請書の疾病名を見てふるいにかける作業を容易にするため

というバカげた理由で対象疾病を限定している、ってことですよね。

窓口の担当者が、介護認定申請書の疾病名を見てふるいにかける作業を容易にするため?


本当に介護サービスを必要としている人に届くようなルールとは到底思えません。


3:介護認定申請してみた

私の病気である「先天性ミオパチー」については国の指定難病(指定番号111)なのですが、介護認定を受けることができる16疾病には含まれていませんでした。しかしながら、将来的な居住地の選択肢を増やしたい(在宅医療や療養型病院に変わる選択肢)との考えから、介護認定の申請を行うこととしました。

申請後、当然のように「16疾病に当たらないので受理できない」と連絡を受けたのですが、ソーシャルワーカー、主治医にあの手この手で説得を続け(このあたりもいずれnoteに書きたいと思っています)、最終的に
①区役所の方から主治医宛に意見書記載依頼を送付してもらい、
②先天性ミオパチーは16疾病には当たらないけど、意見書を基に介護認定に相当するかどうか、区役所で審査してくれることに
➂主治医も意見書記載了承済
というところまで漕ぎつけることが出来ました。

住んでいる市区町村や主治医の考え方によって大きく異なる部分はあると思いますし、ここまで漕ぎつけられた自分は恵まれていたのかもしれません。
少なくとも自分の主治医や区役所の窓口の方は、なんとか介護認定を受けさせてあげたいと動いてくれました。

関係者みんな、こうあるべきだと動いてくれました。(紫色の丸は自分の現在地です)

結果は「16疾病に当たらない」という理由で認定はおりませんでした。
不服申し立てまで行いましたが同じ理由で却下。不服申し立てを行ったため区から弁明書が届き、その添付資料により自分が要介護5相当であった事、主治医意見書の内容、関係者の想いを知ることができ、このような分析に至りました。


4:おわりに

現行法では、第1号被保険者(65歳以上)は全て認定を受けられます。
逆に40歳未満ではどうやっても介護認定を受けられません。40歳以上65歳未満もほぼ絶望的。
要介護5相当の当事者がこうして情報発信できるいい時代ではありますが、なんとかならんのでしょうかね。

以上、最後までお読みいただきありがとうございました。


この記事が参加している募集

やってみた

頂いたサポートは、クリエイターとしての活動費として使用させていただきます!