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善くするではなく、悪しきをなくすことこそ改善とす

 改善とは、良くするというよりは不便を取り除くことである。何かをプラスすることではなく、マイナスを小さくすることだ。だから改善のためには不便を知らねばならず、不便を調べねばならない。
 どれくらいの不便か、どうして不便が起きるのか、なぜ不便なまま置いておかれているのか。不便を知るとは、それに興味を持つことであり、それを定義することでもある。あるいは、不便を好きにならなければならないかもしれない。それは改善すべきものではあるが、忌み嫌って遠ざけてしまっては意味がないものだ。

 積極的に不便と関わり、調べ、向き合い、取り除いていく。そういう態度を「改善」と言う。より高みを望むという心持ちではない。上ではなくむしろ下を見て、何かを支えているものにある不便をなくしていくことこそ、改善だ。その意識なくして「改める」ことはできない。そして「良くする」という未来的な言葉に惑わされず、振り返って、先へ進もうとする意思を引き止めるような不便にこそ、目を向けねばならない。

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