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It was terrible Christmas.

カッフェSS群。に入れていいのか悩むけど。カッフェSSの世界の、新しい子です。2020クリスマス記念。ちなみにコロナはない世界線だとお考えくださいませ。

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 最悪だ。
 何十回目かそう呟いて、俺はしつこくずり下がってくるリュックを背負い直した。
 12月25日、つまりクリスマス。聖なる日。キリスト教的には重大な一日で、欧米的には長期休暇の象徴。家族で過ごす大切な日。日本的にはサンタクロース気取りの大人が大枚をはたいたり、可愛い恋人に大枚をはたいたりする季節のイベント。配達屋の俺にとっちゃただの書き入れ時。そう。ただの。
 なんてことはない、昨日今日と仕事だから、待ってる人たちがたくさんいるから、と説得の末に後日埋め合わせをする約束でお許しいただいた恋人を、たまたま偶然道端で見かけたというだけの話だ。そう、整った顔立ちの男と2人きりで仲睦まじく。嗚呼、3年間の我が恋物語よさようなら。
 足元に転がる小石をぽーんと蹴り放って、支給の携帯端末で次の目的地を確認する。賃貸マンション、小学校圏内。荷物は大きめの段ボール。恐らく、サンタクロースではない方の贈り物。そこまで重くないから、おもちゃか人形、きっとそのへん。
 今日はこの地区を配り終えたら終業になる。そしたらサプライズがてら彼女に電話しようと思っていたけれど、そんな今朝のわくわく気分はどこかへ萎んでしまっていた。

 配達終了、終業。お疲れ様でした。また明日。クリスマス終わったと思ったら年末年始だせ。おせち、気を使うよな。そんな騒めきを背に建物を出る。ぐぅっと伸びをすると、背骨がばきばきと音を立てた。冷たい強風が襟元から侵入してきて、マフラーを忘れたことが悔やまれる。
 ピロン。
 消音モードにし忘れていたスマホがメッセージの受信を告げる。差出人は最近知り合ったミュージシャン。
『今日この後ヒマ?今からマスターんとこでクリスマスパーティーすんだけど。』
 なんと。このタイミングでのお誘いである。マスターとは懇意だ。料理も美味い。けれどもこのカフェは家と方向真逆。だがしかしこの傷心を抱えたまま1人家で過ごすのもなんとなく癪だ。
 暫しの逡巡ののち、返信ボタンをタップ。画面を2回フリックして、送信。途端吹き付けた北風に身震いして、ポケットに両手を突っ込んで歩き出した。ピロン。再びの受信。

『今マスターがターキー焼いてる。匂い充満しすぎて近所迷惑だわこれは。【添付写真があります】』

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