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静脈瘤の手術をした。(全身麻酔)

手術をしたのは二週間くらい前の話。

一応、人生初の全身麻酔だったので記録として残しておく。

静脈瘤の診断は10年前に出されていたけれど、当時は一部血管が浮かんでいたくらいだったので、(手術も怖いし)放っておいた。

だが、最近特に痛んだり、むくみがかなり目立つようになってきて、生活に支障が出始めたし、要するに悪化しているので、去年の12月に血管外科の診察を受けた。

先生は、私のふくらはぎを一目見て
「これ、辛いでしょう。いつからこうなの、もう手術しなきゃダメだよ!」と有無を言わさず手術待ちリストに私の名を加えた。

手術は1月22日だったのだが、その数日前に施術の説明とリスク、説明を聞いた、リスクも理解したという同意書にサインをさせられ、あと、施術前夜と術後数日間、自分で打つ抗凝固剤の注射の処方箋をもらう。

「ええええ!注射、自分で打つんですか」
注射、自分で打つとか超イヤ。
私はHeilpraktikerのAusbildungを修士していて、東洋医学の講義で鍼の実習をしていたから、体に鍼を刺すことに抵抗はないけれど、注射の針は本当に針で、鍼灸の鍼より全然太いから恐怖しかない。

すっごい嫌な顔をしている私に、スペイン語圏の先生はニコニコして
「大丈夫、Omi(お婆さんたち)もちゃんと打てるんだから」
と訳のわからない理由で慰める。

しかし、この先生、ドイツ語が微妙に怪しいんだけれど、それでもドイツの診療所で働けるんだな。
専門用語でなんとかなる世界なのか、そもそも言葉よりも病気の症状そのものの方が雄弁なのか。
単なる医者不足か。

さて、手術前日に麻酔技術士から電話が来て、身長と体重を聞かれたり、施術8時間前に食事は禁止、などの指示を受ける。
正直、このあたりでビビりな私は足を半分黄泉の国に突っ込んでいるような心境になっていた。
麻酔されて、一生目が覚めなかったらどうしよう、とか。葬式代を出すために銀行口座の暗証番号を息子に教えておいた方がいいのか、とか(旦那は信用ならない)そんなことをぐるぐる考えていた。

*ちなみに、死亡証明とった後に銀行など金融機関に死亡を知らせると一旦口座は凍結するので、遺族がお金が必要な場合は知らせる前に引き出した方がベター。

手術前夜、例の注射をなんとか腹に打つ。(これは術後五日間続いた)
手術当日。
もう、ドッキドキである。
術前に麻酔技術士さん(おじさん)から説明を受ける。
ここでも、サイン。
その後、手術用のスモッグに着替えて、(下着も使い捨てのガーゼのやつ)いざ手術室へ。
先生が左脚の施術部にマジックで印をつけて手術台へ!
緊張はピークである!
看護師さんが右腕に注射を打ち、私の顔の横に立った麻酔技術士さんが私の鼻と口を麻酔のマスクで覆う。
「はい、今からよく眠れるよ。後でどんな夢見たか聞くからね」なんて言われて、あはは、と思った直後に意識飛んでた。

次に目覚めたのは、覚醒室。
数人収容できる大きな部屋で、午前の弱い陽の光が差し込んでいた。
頭がぼうっとしていたが、まず、生きてて良かったと思った。
だがしかし!
寒い!めちゃくちゃ寒い!!!
体の芯から寒い!
一応布団は掛かっているけれど、寒さから3秒ごとに歯の根があわないくらい震えが襲ってくる。

なんだろう、絶食が長かったから、低血糖値症状?
寒さと闘っている私が起きているのに気づいて、看護師さんが「お茶?それともコーヒー?」と聞いてくれたのでお茶を頼んだ。
熱いもの。とにかく熱が欲しい!あと、砂糖入れるか聞かれたので、普段は砂糖入れないが、それも、エネルギー!エネルギー!注入!と必死で首を縦に振った。
お茶を受け取りながら
「すごく寒いんですけど」
と言ったら、「あ、それ普通だから」とあっさりとした返事だった。
だからと言って毛布をくれるとかなかった。

それからまだしばらくブルブル震えて、これ絶対に筋肉痛になるやつだと思っていたら、主治医が来て、無事終わったことと、術後も同じ時間に注射すること、と念を押された。
1時間くらいして、帰宅許可が出たので、ぼうっとしながら着替える。
迎えに来るはずの相方は、もちろん時間通りに来ずに、待たされ一緒にタクシーで帰った。

それから、麻酔が抜けてなかったのか、半日は眠ったり、たまに目覚めたりの繰り返しだった。
そういえば、なんで術後は寒くなるんだろうと調べたら、低血糖ではなく、麻酔のせいで体温調節機能も低下するために、体温が低くなるらしい。
やっぱ、麻酔怖い。

そういえば、以前慶應だか早稲田大の大学院生さんと話す機会があったのだが、(確か薬学?忘れたけど)体温の研究をしているとのことで、その研究結果はユニクロも使っているし、(ヒートテックとか。ジャパンテクノロジーだね)、もちろん薬による体温調整も可能で、だから安楽死も技術的に全然できるんだよ。でも倫理的にダメだけどね。なんて言っていたのを思い出した。

そう考えると、自分の意思に関係なく、体温を調節したり、ウィルス系の風邪を引いたら体温上げてウィルス駆除して生き延びるために働く体って、めっちゃ偉いと思ったし、さて、では自分の意思とは?私は実は体に生かされているのでは?と、改めて考えてしまった。



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