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繰り返す餅好き

お正月が過ぎてもう一か月経とうと言うのに、母はお餅を好んで食べている。お雑煮用に年末にお餅を買い始めて、無くなると補充し、お雑煮を食べていた。近頃は海苔巻きやら、きな粉餅にして食べている。
昔、お餅が好物だった祖母に、
「よく飽きずにお餅ばっかり!」
と言っていた母がである。今では、週末に帰ってくる妹に同じように言われている。

食べ物の好みは年を重ねるごとに変わる。子供の頃嫌いだったモノが、大人になってうっかり口にして、美味しさに気づくことがあるのは良くあることだ。
私は、小さい頃からお餅好きで、スイカ好き。祖母の好みと似ていたかもしれない。日頃の食事は小食だった祖母が、お正月のお雑煮なると2つ、3つとお餅を食べてるのが面白かった。祖母と競うように、私も食べたのを覚えている。その姿を母は面白がって、半ば呆れて見ていたものだ。
三時ごろになると、こっそりきなこの入ったタッパーを見せて、
「きなこもちする?」
と、「Have a break?」てな感じで言う祖母を思い出す。

母は、年々祖母に似てくる。ことのほか、お餅を好んで食べる様はそっくりだ。
「おばあちゃんも食べてそう…。」
母を見ながらそう思った。もうこの世にいない祖母や祖父、父達の好物を食べる時、必ずと言っていいほど、それぞれの好物だったなと思い出す。そういう時って、一緒に食べていたとしたら面白い。実際には食べられないだろうけど、そばにいてクンクン食べたつもりでいるかもしれない。そう空想すると、「いただきます」の重みがガラッと変わる。
そのうち、自分も母や祖母とそっくりにお餅を頬張るのだろうな。
「最近、お餅が美味しくて。」
と、そのうち妹も言いだすかもしれない。

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